6話 犯人は踊る 【フリガナ版】
~登場人物~
主人公~~ベル
貴族の息子~~ルイ
村長~~カール
村人~~トーマス
村人~~ヘレン
一人、取り残され、路頭に迷うベル。
『ベルにはベルにしかできないことがある』
_「・・・別に、命を狙われる村長の傍には、常に誰かが居るわけだし、
わたしが見張る必要ないよね?」
犯人は、村長だと思うけど…
年寄りの日常を追っても、つまらないしな~
わたしも、証拠を捜そう!
一度、話を整理しよう~
この村では、人狼による殺人事件が起きている
最初の被害者は、ヘレンの夫
死体が、二つに引き裂かれていたそうだ
犯人の情報は、人狼の仕業だと言う、村長の証言だけ
確かに、わたしも事件を見て、人間の仕業じゃないと思った
でも、二つに引き裂かれていただけで、人狼の仕業だと思うかな?
この村では、18年前にも事件が起きている
その事件で、村長カール・ トーマス・ヘレンの身内が亡くなった
村長カールの妻は、死体が”ばらばら”にされていたため、
人狼の仕業だと思われる…
_「18年前の事件と、今回の事件。必ず関係あるはず…」
_「あと・・・ルインか」
結局、ルイの思惑通りになったことに、頭を抱える。
_「まずは…昨夜、暗くて見えなかった家の中を、見て回るところから!」
ベルは、村にある家々の中を探し回った。
しかし、特に何も見つからない。
_「ここが最後~」
_「はぁ~、ルイの言う通りね。証拠なんて、どこにも残ってない」
ベルが腰掛けようと、椅子に尻を下ろした、その時!
スッー
_「あれ?」
ベルのお尻は、椅子をすり抜け、体が地面に吸い込まれる。
そのまま、体は半回転して止まり、足が二本、地面から生えた。
_「・・・びっくりした。暗くて見えないけど、土の中かな?」
暗闇の空間に、段々と目が慣れてくる。
_「あれは…机?と、椅子。ここ、土の中じゃない?」
ベルは、足をばたつかせ、土の中を進む。
_「…地下室だ」
そこには、人が三人寝れるぐらいの空間があった。
見つからないわけだ…
こんな小さな家に、地下室が作ってあるとは、誰も思わない…
しかし、地下室には机と椅子があるだけで、他には何も…
ガチャン。
_「!」
何かが崩れる音が、地下室に響く。
_「人…じゃない。じゃあ、何の音?」
暗闇の中、辺りを探る。
コロン。
祭壇のような物が置かれた机から、何かが落ちる。
目を凝らす…が見えない!
落ちた物を拾おうとするが、当然、掴めない。
_「証拠かもしれない物が、目の前に落ちているのに!」
この手が触れらたれたら…
ルイを頼る?
いやいや、ルイに頼るのは…
それ以外、わたしに選択肢は無いか・・・
地下を出たベルを、真上から太陽が照りつける。
_「そういえば…ここって誰の家なんだろう?」
_「ちょっと!」
_「はい!って、わたしじゃないよね…」
ベルの後ろから人が歩いて来た。
_「大丈夫だったの。都から来た偉い人だって言ってたけど…」
_「大丈夫よ。ただ話しを聞きに来ただけだって」
_「あら、そう。私はてっきり、夫を殺したあんたを捕まえに来たのかと」
_「え?」
_「ふふ。殺したのは、私じゃないわよ」
_「でも、あんた。あの夫に酷い扱いされてたじゃない?」
_「別に、殺すほどのことじゃないわ」
_「それも、そうよね。この村には、だらしない男ばかりだし…」
_「私の夫なんて・・・」
_「ふふふ。それは、大変だったわね」
_「ねえねえ。話しを聞きに来た偉い人って、いい男だった?」
_「ふふ、それは…長くなるから、中で話さない?」
_「あら。お邪魔しちゃおうかしら」
二人は、地下室のあった小さな家へと入って行った。
_「・・・凄い情報を聞いてしまった」
地下室のある家の持ち主は、ヘレンだった。
しかも、夫を殺す理由もあった。
村長が犯人じゃない?あんなに怪しいのに…
そもそも、あの地下室には何が置いてあったのかな?
_「急いでルイに知らせないと!」
赤く染まった部屋のある、村はずれの家へ向かう、ベル。
_「なんて伝えればいいかな」
『見つけたわ!』『何を?』『暗くて見えなかった…』『はぁ~』
_「ねえ、君!」
『ヘレンが犯人だと思うの!』『なぜ?』『なんとなく…』『はぁ~』
_「ちょっと待って。待ってくれ!」
_「え⁈わたし←」
_「そう、君だ。はぁはぁ、君は何者なんだ」
_「…わたしが見えているの?」
_「見えてる?やっぱり君は、他の人には見えていないのか」
噓!ルイ以外に見える人がいるなんて…
そうだ、この人に手伝ってもらえば…
_「あの!」
_「?。なんだ」
_「…なんで、わたしが見えるんですか」
この人も、犯人の可能性があるわけだし、安易に話すわけには…
_「わからない。君は、自分が何者か、わかっているのか」
_「わたしは、ある人に殺されて…幽霊になったんだと思います」
_「ある人?」
_「そんなことより、わたし、あの家に行きたいんだけど→」
村はずれの家を指差す。
_「あ~あの家か…今は、誰も住んでいないよ」
_「今は?前は、誰か住んでいたんですか」
_「君も聞いていたっけ。18年前に追い出した”女”だよ」
_「へ、へ~」
あの家が!そうだったんだ…
え、あの家に人が住んでいたの?
じゃあ、あの赤い部屋は、女性が染めたもの…
_「あの家に行きたいなら、案内するけど?」
_「お、お願いします」
家に着くと、扉を破壊して、誰かが家に上がり込んだ痕跡があった。
_「前に来た時は、壊れてなかったのに。誰が…」
ゴソゴソ。
_「誰だ‼」
_「僕ですよ」
_「こ、これは。失礼しました」
_「しーー」
_「?」
ルイに”話しかけないように”と、ジェスチャーで伝える、ベル。
ルイが、わたしと話せることは、伝わっていないはず…
_「どうかしましたか」
_「いえ」
_「いえ。何も」
_「ところで、こちらで何を?」
_「調査です。ただ、腐敗が進んで壊れた物が、散乱していて…」
_「一緒に、片付けてもらえませんか」
_「はい。いいですよ」
_「では、奥の物から…」
トーマスは、壊れた扉を動かし、中へ入って行った。
_「ベル。なぜここへ?」
_「え、えっと…見張りに飽きたから?」
_「そうじゃない。なぜ、犯人と一緒にここへ来た?」
_「え⁉」




