12話 傷は踊る
~登場人物~
主人公~~ベル
貴族の息子~~ルイ
_「誰?僕は、ルイだけど…」
毅然とした態度で答える、ルイ。
_「ルイは、自分を”僕”なんて言わない」
_「そう?無意識に変わっていたかな?」
平然を装い、馬足を速める、ルイ。
_「嘘ね。納屋に現れた時、口調を隠そうとしてた!」
_「上手く騙せていると思っていたが、見抜かれていたとは…」
_「疑いがあったから、違和感に気づいたの。ルイが、二人いるって」
天を仰いだルイは、馬の脚を止めた。
_「そうですね。僕は、二人います。ここに。ね」
自分の胸に手を当て、ベルを見つめる、ルイ。
_「どうして…いえ、何時から二人に?」
_「その質問には、答えない。隠し事の一つぐらい、ベルにもあるよね?」
_「隠していたわけでは…」
顔を背けたベルは、気まずい表情で、話しを続ける。
_「確かに!物に触れられる様になった事を、ルイには話していなかったけど、私の体が変化しているが事は、ルイも知っていた事でしょ!」
_「無駄な会話は、止めよう。僕達には、使命がある。これ以上、詮索しないでほしい」
_「使命?その使命が、ルイが、人を殺し続ける理由なの?」
_「僕達を知れば、ベルも、ルインの様に、消えてしまうかもしれませんよ」
_「わたしが?どうして…」
_「それは・・・」
_「ルイ?」
会話の最中、突然、意識を失った、ルイ。
_「危ない!」
バタ。
頭から落馬したルイを、地面に当たるぎりぎりで、受け止めた、ベル。
手に触れたルイの体は、高熱を帯びていた。
_「ルイ。いつから熱が…」
呼吸が荒くなり、ベルの呼びかけにも、反応が無い。
_「ルイ、ルイ。急いで、お医者様に見せないと!」
意識が無いルイを、無理矢理、馬に乗せる。
ルイを抱えながら馬に跨るベルは、ルイの屋敷へと、急ぎ馬を走らせた。
_「誰か!」
ルイの屋敷に着き、馬に乗るベルが叫ぶ。
当然、ベルの声は、誰にも届かない。
_「ルイを置いては行けない。でも…」
苦しむルイを見つめる。
_「ごめんなさい…」
ルイを馬から降ろし、地面に寝かせ、門をすり抜け様とした。
カンッ。
_「痛い!」
門に頭をぶつけた、ベル。
_「この体…もう自由には、動けないんだ…」
ベルは、ルイが使っていた裏口から、中へ入る。
_「声を使わず、人を呼ぶ…」
辺りを見回し、人が通るところを待つ。
_「・・・来ない」
_「早く、早く、誰か来てよ!」
焦りを露にするベルは、頭を抱え座り込む。
_「・・・そうだ!」
何かを思いつき、屋敷の扉へと近づく。
_「お願い…届いて…」
コンコンコンコンコン。
何度も、何度も、必死に扉を叩く。
_「はい?」
_「来た!」
屋敷の執事が、扉を開ける。
_「誰も居ませんね…」
顔を出し、辺りを見回す、執事。
_「門の前に、ルイが居るの!気づいて!」
誰も居ないことを確認した執事が、扉が閉める。
_「そんな…」
希望がついえたベルは、その場で崩れ落ちる。
バタバタ。
突然、足音と共に扉が開き、慌てた執事が飛び出して来た。
何かを見渡し、門まで走る、執事。
_「ルイ様?居ませんか・・・ルイ様!」
執事は、門の前の地面に伏せたルイを見つけ、慌てて駆け寄る。
_「意識が無い。医者、医者を!誰か、来なさい」
_「良かった。これで…」
ルイが運ばれるところを見届けたベルは、力尽き気を失った。




