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幽霊人間と殺人鬼  作者: 真知コまち


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11話 復讐は踊る

~登場人物~

 主人公~~ベル

 貴族の息子~~ルイ

 村長~~カール

 村人~~ヘレン

 村人~~キャシー

 幽霊~~ルイン

 ルインの親友~~トーマス


_(〘ベル〙)「う、ん~ん」

   地面に伏せたベルが、目を覚ます。

_(〘ルイン〙)「目が覚めたか」

_(〘ベル〙)「ここは…どこ?」

   辺りには、腐った木材や、埃を被った麻袋が置いてあった。

_(〘ルイン〙)「川の畔にある納屋だ。今は、使われていないけどな」

   木材に腰掛けるルインが、立ち上がる。

_(〘ベル〙)「ここで…何をするつもりなの?」

_(〘ルイン〙)「君を人質にして、ルイ(あいつ)を誘き出す」

   ルインは、角材を固定した紐に、手を置く。

_(〘ルイン〙)「万が一、ここで事故が起きても、誰も、助けには来ない…」

   握り締めたルインの手が、紐をすり抜ける。

_(〘ベル〙)「ここで、仇を獲るつもり?」

_(〘ルイン〙)「仇じゃないよ。これは、僕の復讐だ」

_(〘ベル〙)「あなたが、復讐をする相手は、”トーマス”じゃないの?だって…トーマスが、あなたを…」

_(〘ルイン〙)「知ってるよ。殺された時の記憶が、残っているから…」

_(〘ベル〙)「だったら、どうして…」

   立ち上がっていたルインが、再び腰を下ろし、語り始めた。

_(〘ルイン〙)「都の学園へ旅立つことになった僕は、あの日、村を出る予定だった」

   ルインの話しを聞きながら、ベルは、脱出の隙を窺う。

_(〘ルイン〙)「僕の父親は…君も、知っているのかな?」

_(〘ベル〙)「え?ええ。知っているわ」

   突然の問いかけに驚き、適当に話しを合わせる、ベル。

_(〘ルイン〙)「聞いての通り、ここで父は、トーマスの母親の顔を潰したんだ」

   顔を潰した⁉

   母親は、18年前に事故で死んだはずじゃ…

   あれは、嘘だったの?

_(〘ベル〙)「村長は、トーマスの母親を殺したの?」

_(〘ルイン〙)「ああ。そういう約束だったそうだ」

_(〘ルイン〙)「トーマスの父親が、僕の母を殺し、僕の父が、トーマスの母親を殺す」

_(〘ルイン〙)「これが、酒に酔った父が、5歳の僕に語った真実だ」

   母を思う悲しい表情で、天を仰ぐ、ルイン。

_(〘ルイン〙)「この事実を村人たちが知れば、父は、村長で居られなくなる。僕の未来も…消える」

_(〘ルイン〙)「そう思った僕は、トーマスの親友になり、監視することにした」

   後悔した表情のルインは、立ち上がると、積み上げられた角材に近づく。

_(〘ルイン〙)「親友を騙していた償いとして、旅立つ前に、18年前の真実をトーマスに打ち明けた」

_(〘ルイン〙)「トーマスは、事実を受け止めきれず、掴み合いになった末、頭を打った僕は”死んだ”」  

_(〘ベル)「事故だったのね…」

_(〘ルイン〙)「だから、トーマスを恨んではいない。僕が、復讐したいのは…」

   誰かが、納屋の扉を開ける。

_(〘ルイン〙)親友(トーマス)を殺した、お前だ!」

   ルインの手が紐を掴み、勢いよく降ろされた腕で紐の縛りを解く。

  グラ!

「え・・・」

  ガラガラガラ。

   積み上げられた角材が、バランスを保てず、雪崩れ落ちた。  

_(〘ベル〙)「ルイ!」

   崩れ落ちた角材に、滴る血。

_(〘ルイン〙)「終わったよ。トーマス」

   ルインの体が、徐々に薄れていく。

_(〘ルイン〙)「君も、自由だ…」

   そう言い残すと、ルインは消滅してしまった。

_(〘ベル〙)「そ、そんな…ルイ!」

   角材に手を掛け、持ち上げようとする。

   何本も積み重なった角材は、重く、一人ではとても動かせない。

_(〘ベル〙)「お願い!動いて!」

 _(〘ルイ〙)「俺は、手伝わないぞ」

_(〘ベル〙)「そう言わず、手伝って…ルイ⁈」

   ベルの隣には、下敷きになったはずのルイが、立っていた。

_(〘ベル〙)「じゃあ、この人は…」

 _(〘ルイ〙)「知らないほうが、良い…」

_(〘ベル〙)「・・・わたしが、知っている人物なんだね」

 _(〘ルイ〙)「・・・村はずれの林道に、馬を用意してある。帰るぞ」

_(〘ベル〙)「優しいね…ルイは…」


   馬に乗り、村を出た二人は、ゆっくりと帰路を歩いていた。

_(〘ベル〙)「村人たちに、挨拶も無しで出て来たけど、よかったの?」

 _(〘ルイ〙)「今は、そっとしておいた方がいい。村長を殺されて、殺気立っているから」

_(〘ベル〙)「あ~そう言えば…」

   ベルは、納屋から林道への道のりで、破壊された村長の家を見ていた。

_(〘ベル〙)「結局、村長を殺したのは、ヘレンだったの?」

 _(〘ルイ〙)「状況的にそうなるね。ヘレンの家にあった焼死体は、母親だったのかな~」

_(〘ベル〙)「でも、火事の時、お隣の人は、ヘレンの名前しか呼んでいなかった。一人暮らしだったんじゃ…」

 _(〘ルイ〙)「…俺にも、わからないな~」

   馬の脚を速める、ルイ。

_(〘ベル〙)「ねえ。18年前に村を追い出された女性って、ルイの…」

 _(〘ルイ〙)「ぷ、ははははは」

   突然、笑い出すルイ。

 _(〘ルイ〙)「まさか、僕がルインの弟だと思っていたの?僕の方が、年上だよ?」

   恥ずかしさで、顔が真っ赤になる、ベル。

_(〘ベル〙)「だ、だって!名前も似てたし、ルイの年齢も知らないし…」

 _(〘ルイ)「それで、勘違いしたわけか。僕は、今年23歳だよ。女性が村を出た年とは、年齢が合わないでしょ?」

_(〘ベル〙)「へ、へ~。結構、歳上だったんだ」

   同い年だと思っていたベルは、意動揺し、馬から落ちそうになる。

_(〘ベル〙)「ついでに、もう一つ、教えてほしい事があるの…」

 _(〘ルイ〙)「なんだ?」

_(〘ベル〙)「あなたは、誰?」

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