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フラグだったらどうしよう。


そして更に数日後、何事もなく順調に卒業と立太子、そしてその後に行われる婚約発表を兼ねたパーティの準備は、着々と進んでいた。私のドレスも装飾品も、ベル様が何から何まで用意すると張り切ってくれているが、何故かアンディまで準備したいと言い出した。これにはさすがにシスコンが過ぎるのでは?!


と思ったけど、ベル様に断固拒否されて心底落ち込んでいる姿を見たら、私まで落ち込んでしまった。そこで以前作ってもいいかと訊かれていた、「魔道具のついたアンクレット、こっそり作ってくれる?」と問うと、首が取れるのではないかと思う程に強く激しく何度も上下に振っていた。かわいい!!どんな魔道具か分からないけど、アンクレットなんてお洒落だし、アンディからの初めてのプレゼントだと思うと余計に嬉しかった。


この事をこっそりヤナにだけ言ったら、とんでもなくニヤニヤしながら「あいつの悔しそうな顔が見られるのが楽しみですねえ。」なんて言っていた。たしかに悔しがるだろうけど、私が弟を溺愛しているのも知ってるし、結局は大目に見てくれそうだけどな?!それでもダメなら、およそ1年振りに謝罪の木内をお披露目するしかないな……!!


そして卒業式まであと2週間という時。もうほとんど学園に通う必要のない私は、王宮でマイヤー先生の授業を受けたり、王妃様にお茶をしながら勉強させていただいたりしていた。当然ベル様もほぼベッタリ張り付いているけれど、立太子するにあたっていろいろと細かい打ち合わせや仕事が増えているために、以前程は私に張り付く事もなくなった。


しかし周りからすれば、全然同じぐらいの時間を私にくっついているらしい。それはもう王妃様なんて、「鬱陶しい!!見ていて腹が立つわね?!陛下の若い頃もそうだったわ。あれはもう遺伝ね。」と言ってブチギレていた。私のいないところで再びお説教をしてくれていたみたいだけど、素直に話を聞くくせに全く言う通りにしないと怒り狂っていた。そりゃあだって、魔王ですからね……?なんて、怖すぎて言えなかったけれども。


そしていつもの3人でのお茶の日。遂にアンディがアンクレットを完成させたらしい。ベル様に見せ付けたいんだと言って、内緒の約束だったのに堂々と渡してくれたのは白目になった。



「俺の姉さんの細くて綺麗なすべすべの脚にに、ピッタリだと思うんだ?どうしてもこの色が良くてね、納得のいくガーネットは目を付けていたからすぐ見つかったけど、付与する機能を迷っちゃって時間がかかったんだ。待たせてごめんね?ふふ、これでいつも一緒だね、俺の姉さん!」


蕩ける笑顔でまたしても、無理やりベル様の膝の上に座る私の左側に腰掛け、果敢にも左手を自分の頬に当ててスリスリしながらそう言った。いやいや、これは本当に謝罪の木内の出番じゃないの?!後ろからの圧がすごいし、実際この部屋が既に極寒地獄だって!!天井に氷柱が下がってもおかしくないじゃん!!どうしてアンディは平気そうなんだろう??もしかしてそういう魔道具を作ったのかもしれないけど、そういうのはお姉ちゃんも欲しいな?!



「へえ、そんな約束をしていたのか。どうせお前がサラの優しさに付け入って、なんとしても作らせて貰えるようにしたんだろう?サラはお前にべらぼうに甘いからな。あと何度も何度も言わせるな。お前のではなく俺のサラだ、いい加減にしろ。」



そこまで言うと寒さと恐怖で、超大型トラックのエンジン並に振動していたら、そっと右手の甲で頬を撫でてくれた。すると瞬時に全身が温かくなったけど、部屋は変わらず極寒のままだ。そして私の恐怖も。だからつまり震えはおさまらなかった。そんな私を愛おしそうに頬を撫で続けながら、今度は右耳を舐めたり噛んだりし始め、左隣のアンディの怒りのボルテージも上がっている。どうしたらいいんだこの状況!!!



「姉さん、大丈夫だよ俺が守るからね?さあこのアンクレットを付けよう。ふふ、細くて綺麗で本当にスベスベだよねえ。」



ベル様が阻止する隙も無い程に、ものすごい速さで私の左足首に装着してくれた。少し捲られたスカートから出ている足首に、綺麗なシルバーの細いチェーンの鎖が、まるでレースのような模様で3重になっており、およそ2cm程の感覚で美しい深紅の小粒なガーネットが輝いていた。それは光を反射して、揺れる度にキラキラと煌めいて乙女心をくすぐり、感嘆の溜め息を吐いては見とれていたのだった。



「ああ姉さん、やっぱり似合うね?!これは俺達の色だよ!!やったやった!!」



大はしゃぎしてそう言うアンディが、パチンと指を鳴らしす音がしたと思った瞬間にどこかへ消えてしまった。ファッ?!と慌てて首を振って確認したけどどこにもおらず、ますます混乱してだんだん指先が冷たくなっていく。そんな私を強い力で後ろからギュッと抱きしめて、ベル様が首とチョーカーを舐めたり噛んだりしているけれども。えええ……??



「あの、ベル様?アンディはどこですか……?」



誰がどう見ても世界を滅ぼしそうな程、怒りの魔力を漏れさせているベル様(魔王)に、恐怖を乗り越えてなんとか質問する。だって絶対に犯人は彼以外ありえないし、アンディの安否が気になる!!!プルプル震えている私に、わざと強めに首筋を噛んでから漸く答えてくれた。痛いって!!



「あいつは無事だよ?ただ家に送ってあげただけさ。だから心配要らないからね?それにたぶん、その魔道具のせいでここの来る可能性もある。ああ腹が立つなあ、俺のサラに他の人間が贈ったモノが着いているなんて。弟と言えども男なんだから、サラも警戒しなくてはいけないよ?いつも言ってるのに、まだ分かってないんだもん。俺は怒ってもいいと思うんだよ、そうだねえ?」



ねっとり耳を舐めながら、そんな怖い事を言う彼から逃げる方法なんてある?急募したいんですけど、早急にアンサーしてくれる人っている……??なんて目を泳がせて考えている間にも、彼はどんどんその手を不埒に動かして触れてくる。こ、これはまずいのでは?!貞操を奪われる流れでは?!そんなのはダメに決まってる!!いや相手はベル様がいいけど、そうじゃなくて今はまずいのではないかと思うのですけどもね?!わーわー慌てつつも、どうにか言葉を発しなければ!!



「あ、あのベル様?!確かにアンディは弟で男ですが、それ以前に家族です!!私はせっかくまた元に戻られそうな気がしているので、この機会を逃したくないというか…。それにこのアンクレットだって、お守りとして欲しかっただけです!!他意はありませんよ?!今後はベル様の選んだものだけを身につけますから、アンクレットだけは見逃していただけませんか?!」



最後は叫ぶように言ったが、、彼の機嫌が徐々に戻っていくのがわかる。何が気に入らなくて何なら機嫌が直るのか、その見極めが上手くいかない時がまだまだあって、私の伸び代が楽しみー!なんて考える余裕も無く。ひたすらにスンスンスリスリペロペロちゅっちゅされているのを、プルプル震えながら耐えるしかないのだった。なんとか貞操を守れて良かった……!!



「まあそこまで言うなら、今回は大目に見てもいいよ。サラにとって、家族は大切なんだと理解しているけど、やっぱり腹が立つものなんだよ。アンディは特にサラが大好きだし、油断ならないからね。それでも君にとってはただの弟だって言うんだから、なら許してもいいかなと思ったんだ。これを違えるならまた話は別だけど、すぐに閉じ込めるからそのつもりでいてね?」



ニコッ、じゃねえわこの魔王が!!!簡単に閉じ込めるなんて言うなってば!!怖い怖い!!だがしかしなんとかこのアンクレットも守れたし、アンディの身の危険も去ったみたいだから本当に良かったー!!あれ、そう言えばさっきベル様が、この魔道具を使ってアンディが来るとか言ってたけどまさかね??


しかしさすが天才魔道具士である愛しの我が弟、本当に転移してきたのである。アンクレットが熱くなった?!と思っていたら、近くの床に魔法陣が浮かび上がってズズズ……という効果音でもつきそうな程に黒い影がゆっくりと出てきて、あまりの恐怖にベル様にしがみついて悲鳴を上げた。そんな私を頬を染めて恍惚とした顔をしながら、



「サラはかわいいね、愛おしいよ。今後もずっと何があっても、俺にしか頼らないでね?んふふ♡甘えて擦り寄るサラかわいい。」



とか言ってたけどそれどころじゃない私は全然きいてなかった。だって本当に怖かったし!!しかして出てきたのがアンディであり、心底泣きそうな顔をして「姉さん!!」と言われた時には安堵のあまり、目に涙を溜めて「アンディ?!何事かと思った!!」と抗議してしまった。すぐに私を抱きしめようとしたけど、当然魔王がそれを阻止した。



「やっぱりな、そうだと思ったよ。そんな魔道具作りやがってお前、弟じゃなかったら即処刑してたからな?サラに感謝するんだぞ。」



グイグイとアンディを押し退けながら、地獄の底から響き渡るような低い声でそう言った。しかし弟はまったく気にしていない様子で、ほとんど無視すると私に向かって眉毛をハの字にする。ゔっっ……!!だからその柴犬みたいな顔をやめてよ!!撫でないっていう選択肢なんてある?!


そして迷ったのは数秒で、後は撫で撫でニコニコしてしまった。仕方がないでしょうが!!実家で飼ってた柴犬に激似なんだから!!物凄い黒いオーラが漂ってきており、またしても部屋が極寒地獄になり兼ねないので、慌ててベル様の頭も撫でた。はい、コスコスコスコス!!



「俺の姉さんは優しいなあ。殿下なんかにそんなに心を砕いてさ。それにしても酷いよねえ?ちょっとアンクレットを贈っただけで、俺を家に問答無用で転移させるなんてさ?でも大丈夫だよ、こんな事もあろうかと、俺の魔力を使って姉さんの所に転移する魔道具を作ったんだから!褒めて?この為に俺の魔力を吸い取って使用するための魔道具も作ったんだよ!!」



それはもうブンブンと、見えない巻き尾を必死に振っているのが見える。ああなんてかわいいのか!!さっき守った貞操が、すぐそこまでまた危機が迫ってきている気がするけど、それでもやっぱりアンディかわいい……!!ていうか魔力を吸い取って使えるようにするとか、天才すぎじゃないの??下手したら悪用されるかもしれないし、極秘って事なんだろうか??



「ねえアンディ?とても素晴らしい発明だし貴方は本当に天才だと、心から誇りに思うのだけれども、魔力を吸い取って使用する魔道具というのは大丈夫なの?」



しこたま撫でてニコニコしていたけど、気になりすぎて訊いた。すると何故か不機嫌そうなベル様が答えてくれた。



「それなら大丈夫だよ。これは魔力が一定量を超えていないと吸い取れないようになっているんだ。しかも簡単に誰でも使えるわけじゃなく、その個人の魔力を宝石に登録してからでないとダメなんだ。その登録だって面倒だからね、物凄く時間と労力が掛かるんだ。それでも君の弟は、どうしてもやりたいと言ったから許可したんだよ。本当に凄いのは俺でしょう?ほら、褒めてくれるね?」



えええっ?!つまり王族経由じゃないと登録出来ないってコト?!そんな話は聞いたことがないし、いつの間にアンディとそんなやり取りをしていたんだろう??そんな事を考えていたら、顔に出ていたようでいつものように読まれてしまった。くそ、どうにかして無表情を身につけたいものだね!!



「俺だってアンディがサラの元に転移するためだっていうのは気付いたけど、それでも許可したのは、いざという時に盾になってもらうためだよ。俺のサラに何かあったら、簡単にこの国は滅びるからね?だからしぶしぶではあるけど、許可する事にしたんだ。それにこの登録制の特別魔道具を使えるのは、今のところアンディだけだ。この魔道具の存在を知っているのも、極わずかだから問題ない。漏れたらどこの誰が原因か、瞬時に分かるようになっているし。」



スンスンスリスリペロペロしながらも、事細かに教えてくれた事は大変ありがたい。それにアンディがムッとした顔でベル様を睨みつつも、ちょっとドヤ顔風なのがかわいいね!!これはあれか、やっぱり天才だからという事で、誰でもは不可能なのか。それなら大丈夫そうだけど、転移出来る程の魔力を持っているアンディはすごいなあ……!!



「姉さん、これでいつでも助けに来るからね!だから外さないでずーっと着けてて?ただ問題があるとすれば、殿下みたいに一瞬で転移出来るわけじゃなくて、ちょっと時間が掛かるんだ。そこさえ何とかなれば、もっと俺の姉さんに会いに来られるのに!」



ぷんすこしながら言うけど、全然すごい事だって分かってる?!王族以外で気軽に転移出来る人間なんて、この世界にアンディだけじゃないの?!


あんまり考えないようにしていたけど、いざという時とベル様は言った。それってつまり、彼にもどうしようもないような事が私に起こる事があるという意味??だとしたならば、彼がアンディに許可したのも頷ける。


そうか、きっと何かあるんだ。やっぱりこのままでは終わらないような気がしてたけども。でもベル様のチョーカーがあるし、すぐに助けてもらえる、なんてどこかで甘えていたんだと思う。だから彼にも対応出来ない問題が起こるかもしれない、という事が猛烈に不安になって、ドキドキと心臓がうるさく鳴っている。そうか、そうだね。


私は当たり前に助けてもらおうとしていた。だけどそうじゃない。だから、私もそれに登録してもいいんじゃないの??自分の身を自分で守る事も、きっと必要になるんだろうし。ベル様のそばにいるならば、そういう危険も多いはずだ。よしっ!!と意気込んでキラキラした目をベル様に向けた途端。



「サラ、それはダメだよ。君は絶対に登録なんてさせないからね。俺がいるんだから問題ないよ、不安にさせちゃったけど、ちょっとやそっとじゃそのチョーカーを超えるような事は無いから安心してね?大丈夫大丈夫、ほらおいで?」



ヒョイッと膝の上に乗せると、幸せそうにギュッと抱きしめてくれた。いやいやそうじゃなくて?!さっきの私の決意は?!と慌てながらアンディを見ると、ものすごい憎悪の目をベル様に向けながらも、私の左隣に座っていた。しかし私が困った顔をして見ている事に気づくと、途端に蕩ける笑顔になって、「姉さんは俺に守られてたらいいんだよ?」と言った。シスコン!!!


どうにかしたいと考えただけなのに、なんかやっぱり上手くいかないなあ、と思いながらも、ヤナに相談して一緒に運動してもらおうと密かに計画を立てたのだった。


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