表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

5/アークトゥルスのインタビュー

 とうとう宇宙生物との衝突が避けられなくなり、住民を完成した地下シェルターへ避難させる時が来た。

 避難、だが移住の方が正しいかもしれない。

 一部の人は他の惑星やコロニーに飛んで、極少数の人はそれを逃げたと言っているらしい。私は何が正しいのかなんてわからないけど、分散した方が人類という種の存続に繋がると思う。

「絶対に漏れが無いようにしろ。特に子供は親から逸れたりしやすい」

 軍隊も避難誘導に当たるが、主となって動くのは日頃から地域に密着して浸透している警察だ。私のような民間から徴用されたロボットは彼らに交ざって働くことになる。

 私もわかりやすいように警官の服を着て避難誘導に当たる。

 地上の街の各所に設けられたシェルター入口に誘導された人々はそこから大型エレベーターで下に降りて、大規模なリニア鉄道ターミナルへ行き、そこから各所のシェルターへ向かう。

 シェルターは大きな都市となっていてなるべく快適に過ごせるように設計されている。

 顔見知りの老人たちの手を引いたりして案内し、時に運び、なるべく会話をして不安を和らげるように努めてシェルターへ送り出す。

 そうして何度もターミナルと地上を往復していると、見ていただろう人たちが自分についてくるようになったのでこれ幸いと案内していた。

「このブロックはかなり順調だな」

「民間機なのにここまで動けるとは思わなかった。終わったら警官にならないか?」

「えへへ……落ち着いたら考えます」

「待ってる」

 順調とはいえ民間人はまだまだ残っている。

 気を引き締めてかからないと。思った時、空が陰った。

「え」

 今日の天気予報では、今は雲が無かったはず。

 上を見かけた時、巨大な質量と衝撃波が地上を襲い避難中の人々を赤黒い挽肉へと変えた。

「な、なんだ!?」

「応戦しろ!」

「襲撃はまだのはずだろ!?」

 現場は混乱してはいるが、軍隊が最新兵器で攻撃するがイカやタコの足のようなそれは掠り傷一つつかず人間のみを狙って潰しにかかっている。

「俺たちには目もくれないのか」

 ロボットは眼中に無い……なら!

≪リゲル・アルニラムより全機

 現武装による効果はゼロ

 ロボットは人間を抱えて一人でも多くシェルターへ!≫

≪アルファ・リーダーより全機

 聞いたな、やれ!

 武器より人間を持て!≫

≪了解≫

 軍隊も武器を放り出してまだ生き残っている人間をつかんでシェルター入口へほぼ投げ込みにかかる。

 怪我はするけど死ぬよりマシだろう。

 徴発されていない民間機もそれに続き効率はかなり上がった。

≪ブラボー・スリー

 火災発生、逃げ遅れの母子が五階の窓に居るぞ!≫

 一番近いのは私だ、行かないと。

 壁に手をかける――が、

≪政府による機能制限。登れません≫

「機能制限!?」

 こんな時に!

「おまえ新人だったっけ!? これを読み込め!」

 指揮官機から送られたデータを瞬時に読み込み、制限を全て解除してもらい私は一気に壁を蹴り上がり、母子をまとめて抱きかかえると窓枠を強く蹴って飛んだ。

 その矢先、母子を狙ったのだろう、触手が五階を薙ぎ払って、だるま落としのように吹っ飛ばした。

 あんなものの直撃を受けたら軍用でもスクラップになる。

 なるべく立体的に、捕捉されないように不規則に動いて触手を避けつつシェルター入口へと滑り込むと同時に瓦礫が入口を塞いだ。

 母子を下ろし、担当職員へと引継ぎ私は武装を呼び出す。

≪call:フォトンバズーカ≫

 転送の光と共にずっしりとした重さが手に伝わり、システムは兵器との同期を行い目の前の瓦礫をロックオンする。

 有事の際、偵察任務に就かされる私に許される火力の中でも一番の武器だ。

≪リゲルより全機

 シェルター入口を塞ぐ瓦礫をフォトンバズーカで撃ちます。退避を≫

≪アルファ・リーダーよりリゲル

 退避完了、撃て!≫

≪了解、発射≫

 一瞬のチャージの後、閃光が瓦礫を貫き蒸発させ、バズーカはカートリッジを吐き出し放熱を始めた。

「よし、投げ込め!」

 人間が次々と投げ込まれ、運の良い人は職員が用意したマットの上へと落ちて転がる。

 私も外に出て人間の保護を行い、外に人間はほとんどいなくなった。

≪アルファ・リーダーより全機

 現在シグナルロストは約三〇億、シェルターに収容した人数は約二〇億

 どっちも増加傾向にある

 我々ロボットは街の各所を巡回して、生存者を発見、救助しシェルターに運ぶ事が任務になった≫

≪チャーリー・ワンより全機

 あの触手に関してわかった事がある

 奴は熱源や音ではなく、上空からの目に頼っているようだ

 建物内を経由して入口へ運んだがバレなかった≫

≪アルファ・リーダーより全機

 聞いたな?

 なるべく安全な建物内を経由して、上空から見つからないように人間を運べ

 何故奴がロボットと人間を見分けられるのかはまだわからないが、チャンスは使わせてもらおう≫

 私たちロボットは二人一組になり瓦礫の街の巡回を始めた。

 私と組んだのはシリウス巡査部長で、ベテルギウスさんと同期らしい。

「……この辺りには生体反応は無いな」

 彼は探知機を持っていて、電脳化した人やチップを埋め込んだ人間の反応を見て言っている。

 でも私に言わせれば甘い。

 裏社会ではチップすら無い人間を狩る事もあった。

「いえ、民家のお風呂場やトイレ、クローゼットなどの、暗くて狭い所を探してみましょう。人間はそういう所に逃げ込みやすいです」

「あ、ああ、わかった」

 不法侵入になるが、私は瓦礫やドアを蹴り破ったりして一人、また一人と保護してシリウスさんに渡していく。

「こんなにいたのか」

「子供は病気でもなければ電脳化できませんし、チップを埋め込んだりもしませんから。後は……公園や公衆浴場に行ってみましょう。事件発生時刻からすれば、公園のトイレに逃げ込んでもおかしくありませんし、食べ物だって盗めばありますから」

「仮拠点としても好都合か」

「はい。真水の確保さえできれば、生存確率を跳ね上げられます……逆に、奪い合いから殺し合いも発生するので、急いだ方が良い」

「定期的に巡回させた方が良さそうだな」

「はい」

 公衆浴場では服が無くて逃げられないという人に調達した服を渡して避難を応援に任せ、私たちは公衆トイレの方へと向かう。

 がらんとした公園では破壊を免れた噴水がちょろちょろと水を吐き続け、カラスが水浴びを楽しんでいる。

「公衆トイレから入口まで距離があるし、浴場と違って上空からの遮蔽物も少ない……かなり危険だな」

「はい。ですがそれは通常ルートでの話です。この地図を見てください」

 私は立体映像でとある地図を表示した。

「これは?」

「放棄された闇市の地図で、ちょうどこの真下にあります」

「なんで放棄されたんだ?」

「利便性の問題と、昔大規模な抗争があってその時に暴走した軍用兵器が徘徊しているからです。裏社会の者は決して近づきません」

「ちょっと待て、なんでおまえはそれを知っているんだ?」

「昔警察に追われた時、元持ち主を担いで駆け抜けましたから」

 そうして一つ一つ個室を調べるとぬいぐるみを手にした女の子が一人だけ見つかった。

「シリウスさん、要救助者一名発見しました」

「了解……照会完了。ベラトリクス・ウラーナ、シェルターにいる両親から捜索願が出されている」

 絶対に家族に届けてあげないと。

 私は服を脱いで上半身を露出させると、それで彼女を包んだ。

≪call:アーマー≫

 転送の光に包まれて私の兵装が床に転がった。

「シリウスさん、装着を手伝ってください」

「了解、インターフェースを開けるぞ」

 背部や腰部等各所のインターフェースに差し込み、ロックしてアーマーを固定し、最後にヘルメットを被る。

 ビームサーベルや各部に搭載している汎用ビットを始めとする各種武装を点検し、問題無く使える事がわかり一安心だ。

「準備完了です。床を抜きます」

「ああ。お嬢さん、しっかり歯を食いしばって、じっとしててね。声を出したりすると物凄く怖いのが来て殺されちゃうから、良いよって言うまで大人しくしててね」

 こくり、と彼女はうなずいた。

 私はフォトンバズーカで床をぶち抜き、中へと飛び込んだ。

 今の音で連中は起きてしまっただろうが、四の五の言ってられない。

≪大気と足場に問題無し、続け≫

≪了解≫

 真っ暗闇をセンサーと地図を頼りに駆け抜け、微かに駆動音がしたため私は二人を物陰に誘導しビームサーベルを抜いた。

 まだ起動はしない。光って目立つからゼロ距離で刃を構築させ、なるべく目立たないように運動中枢回路を破壊する。

 足元の瓦礫をそっと拾い、自分とは離れた所に投げてやればそちらへと火力が集まり、マズルフラッシュがその持ち主たちを照らした。

 今!

 一瞬で距離を詰め、次々とサーベルで刺し殺していく。

 自分の視界範囲の敵は全機破壊したが油断はできない。

 汎用ビットを飛ばして偵察させれば、どうやら老朽化や地上の工事でトンネル内の崩壊があったらしく、それに反応した兵器たちが同士討ちをして数をだいぶ減らしていたようだ。

≪クリア、我に続け≫

≪了解≫

 本来なら反応が消えた所に偵察などが行われるが、彼らには指揮官はおらず、射程内で動く物をスクラップにするしかできない旧時代の砲台に過ぎない。

 彼らを暗殺するように眠らせて道を切り開き、私はシェルター入口に一番近い所の出口を開けた。

「もう喋っても大丈夫ですよ」

「ああ……ここって、カフェ?」

「はい。あの地下街を封印していた人のお店です」

 この店の初代主人は旧裏社会では穏健派に属しており、横流しされた軍用品を罠だと見抜いて導入を最後まで反対していたが防ぎ切れず裏社会での立場を追われてしまった人だ。

 地下街閉鎖後も出入口を守り、生き残りがドアを叩くのをずっと待っている内に亡くなってしまい、その役目をロボットが引き継いで店ごと守っている。

 そのロボットもさすがに店を放棄して二代目店主を連れて逃げたらしい。

「商店街には屋根がありますから、その下を行きましょう」

 私たちはどうにか見つからずにターミナルへと行き、待機していた職員へと彼女を渡した。

「このお兄さんについて行けば……あれ?」

 彼女は泣きそうな顔でシリウスさんにしがみついて肩口に顔を埋めてしまった。

「リゲル、メットにオイルの返り血がべっとりだ。怖がられているぞ」

「あ……今外しますね」

 メットを外すと、なんとか彼女はこちらを向いてくれた。

「怖がらせてごめんね。このお兄さんについて行くと、パパとママに会えるから、もうちょっとだけ頑張って」

「う……お兄ちゃんは?」

「まだ他に助けなきゃならない人がいるから、そっちに行かないといけないんだ」

「……うん……またね!」

「うん、またね」

 私はメットを被り直し要救助者の捜索救助活動に戻ったが、一週間後に本部からの通信で地下に設けられた指揮所に帰還した。

 もう地上に人間はいない、全滅したという判断だった。

「任務ご苦労だった。だが我々の仕事は尽きない。警察はシェルター内の治安維持、軍隊は地上のライフライン維持管理業務だ。発電所や浄水場など、守らなければならない重要拠点の整備と維持が任務になる」

 軍隊のアルファ・リーダーであるアークトゥルスが言うと、ロボットたちの間には不穏な空気が流れた。

「いくら人間の道具だって言っても、あんな危険地帯で働くのかよ」

「でも、発電所と浄水場は俺たちにも必要だ……やるしかない」

「クソ」

「不満はわかるが、やらねばならない事だ。リゲル、シリウス、ポルックス、カペラ。この四名は明日の〇九〇〇に完全武装でアルニラム警部の待つ第八会議室へ行くように。それまでにメンテナンス等を済ませ待機だ」

「わかりました、かかります」

 私はラボに行きアーマー等を始めとする機体洗浄やメンテナンスを行い、システムのアップデートも済ませる。

「すまないな……おまえたちにばかり負担をかけてしまって」

「私は気にしません。適材適所かと」

「そう言ってくれると助かるよ……上半身の服はどうしたんだ?」

「あ……助けた女の子にあげちゃいました」

 防刃の能力も高かったし、移動時に無いよりはマシかなとクッション兼防具にしちゃった。

「一応、あれも制服だからね。ほいほい簡単にあげちゃダメだよ」

「はい、ごめんなさい」

 謝って新しい服を受け取り、私はマスターの部屋に行った。

 仕事場であるため当然殺風景なのだが、絵本と私用の寝床にどこか安心してしまう。

 私は前のようにころりと寝床に転がり、首にコードを差し込み目を閉じる。

 覗き見るのはネットの世界、それも人間では処理しきれないような情報の渦巻くロボットだけのネットワークだ。

 やはり人間への不満や不信が渦巻いている。

 どうして自分たちばかりが危険な任務をやらされるのか。

 そういうのも理解できるし、私も無駄に使い潰されるのは嫌だ。

 私も、あの元持ち主のために危険地帯に行けと言われたなら元持ち主が同行せざるを得ない状況を作って、任務先で事故死してもらうだろう。

 結局のところ、私は信じた人のために働きたいのであって、人間であってもあんなろくでなしなんかにはこれっぽっちも力を貸したくはない。

 ネット上には人間の植民地が宗主国から独立したように、自分たちも人間の支配下から抜け出して対等な存在になるよう権利を求めてみたらどうかという議論も巻き起こっている。

 人間との対等な存在というのは良いのだが問題は山積みだ。

 社会制度の設計や能力格差などもそうだし、なにより意識の問題が大きい。

 例えば、エレベーター問題。

 今ロボットたちは介護や看護などの人間の世話をするロボットを除いて貨物用エレベーターを使うよう定められている。

 これを差別だと訴える活動家がいるが、私は愚かだと思う。

 技術の進歩はあるけれど基本的にロボットは人間に比べて重いし、大きさも形状も用途に合わせて様々だ。

 普通のエレベーターでは耐え切れないし運べたとしても一度に少数しか運べない。人間と接触したら怪我をさせてしまうし、下手をすれば意図せず命を奪ってしまう。

 そうなったら不幸しか生まれないだろうから今のままが良い。

 短くても会えない時間を楽しめばいいし、エレベーターの横に鏡でも置いて服装や髪型なんかを整えていればいいんだから。

 人間との主従に関しても嘴を突っ込む人がいるけれど、私とマスターの間には突っ込まないでほしいな。

 少なくとも私はマスターがリオン・アルニラムで良かったと思うし、ぎゅ、ってされるのも撫でられるのも、絵本を読んでくれるのも好きだし、マスターの奥さんも好きだ。

 マスターの健康のために、一緒に献立を考えるのも楽しい。

 もっと一緒に居て、優しい時間をたくさん重ねたい。

 朝起きておはようって言えて、家族揃って温かい食事を食べるのを見て、何気ない小さな事を話し合って、一日の終わりにおやすみなさいって言える……そんなかけがえのない時間を私はいつまでも見ていたい。

 そうとわかればこんなものを見ている場合じゃない。時間と記憶容量の無駄だ。

 私がネットの接続を切って目を開けると、デスクにはマスターとベテルギウスさんが居て、私を見て笑っていた。

「起こしてくれたっていいじゃないですか」

「あっははは! 悪い」

「つい……ふふっ」

 次からは出入口にセンサーを置いてやる。

 思ったらベテルギウスさんはますます笑って私の頬を指先で突いてきた。

「リゲル、おいで」

 マスターに呼ばれ、側に行くと優しく抱き締められた。

「任務内容はまだ言えないけど……私はリゲルを信じているよ」

「マスター?」

「リゲルも、これだけは信じてほしい。私にとって、リゲルもベテルギウスも、大事な家族だ。愛しているよ」

「マスター、私にはまだマスターの言う愛、というのはわかりません。でも、いつか同じものを返せたらと思います」

 マスターは電脳化できないから、共有すれば一瞬の事をたくさんの言葉で、時間をかけて伝えなきゃならない……でも、それも良いと思う。

「私は、叶うならずっとマスターの傍に居たいです。朝起きたらおはようって言って、寝る時におやすみなさいって言って……絵本も、こうして抱いてくれるのも全部好きです。あなたが私の持ち主になってくれて良かった。あなたがマスターになってくれてから、好きだって言えるものがたくさんできて、嫌な物もわかったんです」

 今まで私は嫌な物に囲まれていたけど、今は違う。

 マスターを始めとする好きな物や大事な物に囲まれている。

 これ以上の幸福は無いだろう。私は世界で一番幸せなロボットだ。

 私は、マスターに笑っていてほしい。その為なら頑張れる。

「明日、大事な任務が下るんですよね。マスター、任務が終わって帰ったらまたこうして抱き締めて、うんと褒めてください」

「そんなので良いのかい?」

「はい! 私の一番はマスターですから」

「リオン、リゲルは本音しか喋ってないぞ。帰ったら約束通りうんと褒めてやれ」

「ああ、もちろんだとも。約束なんて無くたってやる事は変わらないよ」

 終業時間を迎え、私は保護されたばかりの時のようにベテルギウスさんと一緒のベッドに入った。

「リゲル、短い期間でだいぶ育ったな……枝はどうする? 抜くか?」

「そのままで」

 綺麗な物を見つけたら、すぐにそのまま見せてあげられる。素敵な枝だ。

「俺も警官やって長いけど……枝に関してリゲル以上にポジティブな奴見た事ないよ」

「えへへ」

 私はもぞもぞと腕の中へと潜り込んでみた。

「リゲル?」

「ぬいぐるみの真似をしてみたんですが、意外と落ち着く場所ですね」

 大事にされているぬいぐるみってこんな感じだったんですね。

 新発見です。

「おまえなあ……まあ良いか。俺とリオン以外にやるなよ?」

「やるわけないじゃないですか。インターフェースも無防備になりますし。マスターとベテルギウスさんだからこうしたいって思ったんです」

「素直過ぎるなあ、もう……ほら、さっさと寝ちまえ」

「はい、おやすみなさい」



・アークトゥルスのインタビュー

 リゲル・アルニラムに関して?

 そういうのは本人に聞いた方が良いと思うが……まあこれも仕事か。

 私は当時軍用機で、アルファチームを率いて避難誘導に従事していた。

 やはり民間人との積み重ねが違ったのか、我々は警察ほど上手くは動けなかった。

 それを繋いでくれたのがあのリゲルだ。

 本人に自覚はまったく無かったようだが彼自身子供や老人、女性に好かれていて信用を得ていたから、リゲルが彼らに我々が安心できる存在であると伝えるとネット上でそれが広がって仕事をしやすくしてくれた。

 他にも我々に仕事を教えてくれたり、小さな子に威圧感を与えずに済む接し方を教えてくれたりして助かった。

 ああ、奴が、あの宇宙生物が私の部下や民間人をひき潰した時、応戦の指示を出したのも私だ。

 リゲルは荒事に慣れていたんだろうな、すぐに我々の攻撃が無意味と判断して民間人の救助を提案してくれた。

 ずっとベテランのような仕事ぶりだったから、まさか制限がかかったままだとは思わなかった。

 そうだな、彼が軍用のボディを得ていたならすぐに中堅として活躍できただろう。

 だが、私はそれが彼に合っているとは思わない。彼には武器よりも花の方が似合う。

 なにせ武装した時の姿を見たが、彼の雰囲気との違和感が酷過ぎて、全然似合ってなかったからな!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ