体育祭の最中で…3
「ここまでよく頑張った。私たちなら出来る」
「そうだよ。あの顧問の下でよくやって来た」
青い法被をまとったチームメイトの顔を見ながら円陣を組む。片手は隣の仲間の肩に、もう片方は中心で重ねられている。翠の隣には紗菜と流星。円陣の後方では顧問がパイプ椅子に座りながら何故か満足そうに目をつぶり頷いている。
いや、あなた何にもやっていないでしょ。ソーランメンバー全員、きっとその様子を知りながらも誰一人として円陣の中に入れてあげようとしない。しょうがないなあ〜とか、そんな雰囲気も一ミリもない。
(ざまぁみろ!)
◇◇◆◇
結果から言うと演舞は大成功を収めた。途中、石に足を取られて滑りそうになったぐらいで全体的に見たら完ぺきと言っても過言ではないだろう。
残すは応援合戦だけになった。これは全校でやるには人が多すぎるからと応援団と希望者だけが参加する。もちろん翠は観る側なので陣地で絶賛涼み中である。
「先輩、お疲れ様です!」
「お疲れー!!流星、今日キレキレだったね!」
「先輩も、です」
(はにかみ笑顔の破壊力…ヤバ!)
「ありがとう、でも流星ガチでカッコよかったってうちのクラスの子が言ってたよ!あと、演舞の最後、キメたとき女子の歓声凄かったって!あっ、あとー」
「先輩はどう思いましたか?」
「どうって?」
「いや、その、カッコよかったとか何とか…」
急に目線を外したかと思うと今度は顔を勢いよく上げてきた流星と翠の目線が絡み合った。流星の顔はほんのり、いや、かなり赤い。それに伴い翠はわけも分からないまま自身の顔が火照っていくことに気付いた。
「えと…」
言葉に詰まる。しかし一言振り絞ろうとしたとき、翠の視界が真っ暗になった。
「翠、これ持っておいて。」
「はっ?なにこれっ…て汚いじゃん」
頭上から傲慢な声が聞こえた。翠は視界を覆っている物体を掴み、それが琉依の着ていた体操服だということに気がついた。
(なんか湿ってる…)
「しっかり見とけよ」
そう言いながら琉依は他の応援団員が待つ円陣へと走っていった。別に上裸にならなければならない、という伝統は今の御時世的にも無い。しかし、団長だけは毎年なぜか脱いでいるのでそれに倣ったのだろう。
「気を付け。礼!」
琉依が演武開始の号令をかける。その瞬間女子の黄色い声とピストルの音が校庭を埋め尽くした。
結果はもちろん(?)琉依の組が優勝を収めた。




