体育祭の最中で...2
お久しぶりです(__)
「あ”あ”終わったー」
「翠、おつかれさま!」
「ありがと」
翠が出る予定1つ目の競技である障害物競走が終わった。
運動面では全体で見て上の方にいる翠は5人レースで独走。見事1位を取り陣地に待機していた紗菜のもとへと戻った。この学校では何の競技に出るのかは各自決めて良いことになっている。よって誰をどの競技にクラスから出すか、そのメンバー選出までもが色の勝利に大きく関わってくるのだ。
渡された水筒を素直に受け取り冷たい水を喉に流し込んだ。そしてニコニコしながらその様子を眺めていた友達に、翠は濡れた口元を拭きながら尋ねた。
「紗菜はどうだったの?」
「私は勿論、」
「1位ね」
「私が言いたかったのにー!!」
ピースしながら報告しようとする紗菜の言葉の続きを奪って結果を確認する。そう、紗菜が100m走で1位を取るのは当たり前。なんてったって生きてきた15年間、短距離では負け無し。まぁ、簡潔に言えば紗菜はスポーツが超得意なのだ。
「ていうか翠、今日の髪型めちゃくちゃに合ってるね!いつも下の方で一つに束ねてるだけなのにポニーテールとか...好きな男でも!?」
「んなわけないでしょ。第一ほぼ毎日一緒にいるのは紗菜だよ。この私に男の影、あった?」
「あれは瑠依君はどうなの!」
「瑠依は男とか言うより友達。性別は腐れ縁」
「ん?なんじゃそりゃ」
他愛もない話をしていると2年生のクラス対抗リレーが始まった。
グラウンドは1周300m。各クラス40人中、クラスの中で17人が選ばれ競争するものだ。基本は一人100mなのだが特に見せ場であるアンカーは200mとなっている。
「あっ!翠ほらあの子、ソーランの子じゃない?」
「ん〜?あぁ、流星だ。出るのかな」
「出るからいるんでしょ」
「確かにー」
競技の疲れを癒しながら喋っていると突如目の前に美女が現れた。いつ見ても美しい、と翠はこんにちはと軽く頭を下げ挨拶をした。
「紗菜~」
「えっお姉ちゃん!?大学は?」
「ん?休んだ」
「そうなの!?ちょっゴメン。行ってくるわ」
そういって席を離れていく紗菜を見送り一人になった翠は背もたれに身を預けた。そして水筒片手に後輩の出陣姿を眺める。
翠の周りにはあまり人の姿はない。男子は騎馬戦に向けて練習しているらしく、女子は女子で今行われようとしている2学年のリレーの鑑賞に繰り出している。どうやらイケメンがいるらしいが興味がないので誘われたけど行かなかった。
「ここからのほうが見える気がする…」
「誰が?」
「んー?競技の様子」
突如頭上から独り言に応える声が降ってきた。しかし翠は驚かなかった。こんな風に突如現れ話しかけてくるこの声の持ち主は一人しかいないからだ。
「瑠依、練習は?あっ答えなくていいや。どうせうちが勝つから」
「うちは負けないけど」
「そうだねー」
話は終わりといわんばかりの態度で翠は競技の鑑賞を再開した。さすがに座っている状態で首を上に向けているのは疲れる。翠は首を回してから手に持っていた水筒に口をつけた。
「なに?」
「俺にも頂戴」
(何言ってんのコイツ)
暑さのせいで真後ろにいる彼は少し頭がおかしくなってしまったらしい。そのうえ、翠は隣の陣地から女子がこちらをすごい目でこちらを見てることに気が付き気が重くなるのを感じた。
深くため息をついた翠の目線の先の女子に気が付いたのか瑠依は笑顔でそちらに手を振った。
「ほら行ってあげなよ」
「あーうん」
じゃあね、と意外にあっさり離れていく瑠依に適当に手を振った。きっとあの女の子のところに行くのだろう。少しして、翠は後ろを振り向き少し遠くを歩く背中を見つめた。視線に気が付いたのだろうか。瑠依が振り向きそうになったので翠は直ぐに正面を向きなおした。
◇◇◆◇
瑠依は視線を感じ後ろを振り返った。
(今、翠こっち見てた?)
しかし、いやそんな訳はないと思い直しまた歩き始めた。
途中色んな生徒に話しかけられたので結構寄り道した。翠と離れた瑠依は自陣地に戻り水筒を手に取ると勢いよく喉を潤す。翠に冗談で言ってみたけどやはり貰え
「凄い!あの子足速いね」
「うん。確かに」
(ね、ってなんだよ)
隣に座る女子がこちらを向き同意を求めてくるので仕方なく返事をする。正直面倒くさいがあからさまに態度に示すと余計何か面倒くさそうなので愛想笑いでその後の会話も適当に流す。何回かやり取りをしていると目の端でポニーテールの女子が立ったのが分かった。瑠依はバレないように横目で遠くのポニーテールの女子を見る。
何やらはしゃいでいるので競技に動きがあったのだろう。そして駆け寄ってきた2学年の男子とハイタッチをしていた。
(俺だったら…)
自分が勝ったら翠は喜んでくれるだろうか、そんなことを考えながら瑠依は席を立った。
「頑張ってね!!」
応援してる、と横に座る晴に腕を両手でつかまれた。
「ありがとう」
瑠依はそういうと彼女の肩にポンっと触れ、チームメイトが待つ円陣のほうに真っ直ぐ向かった。だからその光景を見ている女子には気が付かなかった。
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「湯河原先輩どうかしました?」
「ううん。何でもないよ。おめでとう!」
「ありがとうございます///」
待っててくださった方、読んでくださった方、ありがとうございます。




