体育祭の最中で
スタートを告げる爆発音が鳴った。
「あぁー」
「どうしたの瑠依?」
瑠依は競技者とは別で陣地のテントで座ってその様子を見ている。その途端に声を上げたので観戦席の隣に座っていた女子が心配そうに瑠依の顔をのぞき込んだ。それに対して顔を上げて瑠依は首を振った。
「いや、ただ次の騎馬戦の相手が強敵そうで萎えてた」
瑠依は少し眉間にシワを寄せてそう答えた。しかし実際はそんなこと一ミリも思っていない。その証拠に口許は少しにやけている。だがそれに気がつく者はいない。なぜなら顔を見られないように自然体を装って項垂れている風にしているからだった。
しかし、そんなことを知る由もない女子生徒はこれを好機だと思ったのかそっと瑠依の膝に手を添えて満面の笑みを向けた。
「大丈夫だよ!あんなに一生懸命やってたじゃん、努力は報われるんだよ!」
「そうだね。ありがとう晴ちゃん。優しいね」
瑠依も笑みを作り晴に笑いかけた。さりげなく自身の膝に置かれている手をどかしながら。
そうこうしていると翠が出ていた障害物競走が終わった。
「ちょっと行ってくるね」
瑠依はそう声をかけて席を立った。勿論翠に会いに行く為に。
そんなことは露知らず、後方では晴と他の女子たちの嬉しそうな声が響いていた。
「話せた!!」
「いーな!!ズルいよ!」
「良いでしょ〜」
「やっぱイケメンだねー」
「ホントにそれ」
「はぁー!彼氏欲しー」
「私も頑張る!晴は〜?」
「もちろん、右に同じ」
そう言って晴は、他の色の陣地へ向かって歩いていく後ろ姿を見つめたのだった。




