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番外編:ニャモニャの日

今回は番外編です。

本編と分けてお楽しみください。

「ニャン! 皆ッ、今日はニャン月ニャン日か、知ってるニャーッ?」

「ニャ月!」

「ニャンニャン日!」

「つまりニャァ?」


ニャモニャの日ニャーッ!


―――村の広場は大盛りだ。

久しぶりに立ち寄ってみたけれど、今日は何かのお祝い?

ニャモニャの日って、建国記念日みたいなものかな。


「ハル!」


嬉しそうに駆け寄ってきたサフィーニャとハイタッチ!

それからお互い手をギュッと握りあう。

フワフワして柔らか、でも肉球はぷにっとしてる。

相変わらず可愛いなあ。


「ねえ、今日って何かのお祝い?」


辺りを見回していたら、サフィーニャの傍にニャレクとニャードルも歩いてくる。

二人とも今日は鎧を着ていない、シャツにパンツの楽な姿だ。


「毎年二月二十二日は、この里の記念日として祝っておりますニャ」

「もしかして、ニャンニャンニャンで、ニャモニャの日?」

「うふふ、そうですニャ」


私の隣にいたセレスが口元を押さえて俯いた。

どうしたの? 顔が赤いよ?

何だか興奮して見えるけど、その気持ちは少し分かるかも。

ニャモニャの里っていつ来ても落ち着くというか、いいよね。

ニャモニャたちは可愛いし、小さな家が立ち並ぶ風景も可愛い、向こうに見える霊峰サマダスノームは雄大で見応えたっぷりだ。

兄さん達やモコも一緒だとよかったんだけどな。

まあそれはともかくとして、お祭りか、楽しそう!


「ハルとセレス様も是非参加して欲しいですニャ」

「そうですニャ、お二人も是非」

「楽しんでいって欲しいですニャ」

「有難う、それじゃ、お言葉に甘えて」

「しかし祝って何かするのか?」


セレスが訊いた直後に、ニャルディッドの声が響く。


「まずは皆で乾杯だニャーッ!」

「ニャーッ!」


私とセレスにも、ニャモニャがカップを手渡してくれる。

中身は酒? 甘くていい香り、美味しそう。

大人のニャモニャに混ざって、小さなニャモニャたちもカップを手に待ちきれない雰囲気だ。

ふふッ、なんだかワクワクしてきた!


「今日この日、二月二十二日、二が三つ並んだ我ら記念の善き日に」

「挨拶なんてやめろニャーッ」

「早く飲ませろニャーッ」

「引っ込めニャーッ」

「ニャアーッ」

「うるさいこの飲んだくれどもめ! とにかく美味い酒が飲める日! 乾杯ニャッ!」

『カンパーイ! ニャッ!』


あちこちで杯を空けて、大騒ぎが始まった!

楽隊の奏でる楽しい音楽の中で、飲んだり、食べたり、騒いだり、それぞれすごく楽しそう。

小さなニャモニャたちもあちこちで走り回っている。

眺めていたら、さっき挨拶していたニャルディッドがエメラニャと一緒にこっちへ歩いてきた。


「やぁやぁ、楽しまれておられますかニャ? ハル様、セレス様」

「ニャルディッド、エメラニャも」

「うふふ、以前リュゲル様から教わったお料理をアレンジしたものも卓に並べておりますニャ、是非召し上がってくださいニャ」

「有難うございます」


二人も元気そうで何よりだ。

ニャルディッドとエメラニャは顔を見合わせて微笑み合う。


「時にハル様、良い人はできましたかニャ?」

「えっ」

「あなた、そんなことを訊くのは野暮というものニャ」

「ニャハハ、すまんですニャ、何せうちのはじれったくて」


言いながらニャルディッドはサフィーニャとニャレク、ニャードルを順に見る。


「お父様?」


急にムッとするサフィーニャの後ろで、ニャレクとニャードルは互いに横目で見合うと、ニャレクは上を、ニャードルは下を向いて目を瞑る。

一緒に様子を見ていたセレスがクスクス笑い声を立てた。


「今、そういう話はやめて欲しいニャ」

「すまんすまん、だがサフィーニャ、私達ももう歳だ、そろそろ孫の顔が見たいと」

「ですからそれはいずれニャ」

「大体私の娘だというのに、お前はどうして恋愛が絡むとそうも鈍くなるニャ」

「そ、そんなことありませんニャッ」

「よしてあなた、こういうことは本人たちの問題でしょうニャ?」

「まあ、それもそうだがニャア」


あーじれったい、じれったいニャ! って地団太を踏むニャルディッドは、サフィーニャの後ろへ目を向ける。


「お前たちもはっきりせんから」

「あなた」


エメラニャが「祭りを楽しんでいってくださいニャ」とニャルディッドの肩を押しながら、二人で向こうへ行ってしまった。

なんだか気まずい雰囲気?

溜息を吐いて「困ったものですニャ」なんて言って、サフィーニャは笑う。


「ええと、でもその、サフィーニャはいずれ長として」

「はい、どなたかと婚姻を結び、跡継ぎを産まなければなりませんニャ」

「その相手は?」

「まだ探している最中ですニャ、里長の夫となる方ですし、慎重に選ばなければなりませんニャ」


ニャレクとニャードルがガクリと肩を落とす。

うーん、なるほど、相変わらずなんだね。

でもサフィーニャらしいというか、ふふッ、私は全員のことを応援しているよ。


「そんなことよりハル、お祭り、楽しんでいってくださいニャ」

「そ、そうですニャ、色々と催しも行う予定ですニャ」

「あちらの卓ではすでに始まっておりますニャ、覗きに行きましょうニャ」


本当だ、大勢集まっている。

何しているんだろう。


「あれは『マタタビの実積み』ですニャ」


マタタビの実?

卓を囲んで騒ぐニャモニャたちは、ドングリみたいな形の緑の実を何とか積み重ねようとしている。

一番多く実を積めたら優勝で、勝者には合法マタタビ一年分が贈与されるんだって。

合法マタタビって何だろう。

それはともかく、集まったニャモニャは全員ほろ酔いで、中には実をムシャムシャ食べてしまったりしている。

なるほど、やっぱりニャモニャはマタタビに弱いんだ。


「ニャハーッ、コロコロして積みづらいニャア!」

「美味ッ、美味いニャッ」

「こら食うニャァ! ゲームの分が無くなるニャ!」

「ミャウン、ミャン」

「まだ子供は駄目ニャ、あっちに行ってニャさい」

「ミャッ、ミャアーッ」


ふふッ、私も参加させてもらおう。

転がっているマタタビをいくつか拾って、積み、重な、ら―――ないッ、ダメだ、全然ダメ!

コロコロ転がってどうにもならない、何人かのニャモニャは二つ三つ積めている。

すごいな、こんな丸い実、どうやったら積めるの?


「私にもできませんニャ」

「サフィーニャもか、そうだよね、全然バランスが取れないよ」

「ハル様、そういう時は側面を軽く潰しますニャ」

「ニャッ、兄さん!」

「実を潰してはいけないというルールはありませんニャ、要は勝てばいいんですニャ、ですから」

「またそういうことを! 兄さんはそういうところがよくないんだニャッ」

「お前は頭が固いなニャードル」

「兄さんが柔らか過ぎなんニャッ」


言い争う二人にサフィーニャがクスクス笑う。

仲がいいね、いつもこんな調子なんだろうな。


「よし、私にもやらせてくれ、ハルちゃん」


セレスが隣に腰掛ける。

卓に転がる実を取って、形をじっくり調べると、おもむろにひょいひょいっと三つ積み上げた。

えっすごい、出来た!


「セレス、凄いね」

「上手ですニャ、凄いですニャ!」


セレスはちょっと得意そうにして、その実の上に更に一個、もう一個、もう一個と実を追加していく。

どんどん積み上がっていく!

卓の周りで騒いでいたニャモニャたちまで集まってきた。


「おおーっ」

「やるニャァ、あんたマタタビの実を積むプロニャ!」

「すごいすごい! もう七個目だよ、あと三つで十個じゃないニャ!」

「この調子ならいけるニャ!」

「すごい、がんばれミャンッ」

「じょうずミャン、かっこういいミャン、がんばれーっ」


あと二粒で十個!

積み上がったマタタビの実は少しだけグラグラと揺れている。

うわぁ、緊張してきた、あと一つ、あと一つで十粒だよ、セレス!


「うぃーッ、っく!」


その時、ニャモニャの一人が卓にドンッとぶつかって。


「あッ!」


マタタビの実の塔がバラバラ―ッと壊れて卓状に散らばった。


「ああーッ!」

「ニャッ、ニャアァァアッ」

「お前! 何してるニャ!」

「へ? ニャハハ、ニャモニャの日かんぱァい」

「こンの酔っ払いニャッ、こうしてやるニャッ、こうしてやるニャッ」

「ミャンミャッ、ミャアーッ」


そのまま寝転がったニャモニャは、皆からポフポフ叩かれても酒瓶を抱えて笑ってる。

惜しかったねセレス。

セレスは「残念」って笑いながら席を立った。


「調子よかったんだけどな」

「でもあなたが優勝ですニャッ!」

「え?」

「ゆーしょぉーッ、セレス様! 賞品の合法マタタビ一年分贈与ですニャーッ」


おおーっ、パチパチと周りから拍手で祝福されつつ、恭しく差し出された袋をセレスは受け取る。

中を覗いてから、困ったように私を見て「いっぱい入ってる」って教えてくれた。

うーん、どうするかはセレスが決めたらいいよ。


「そうだな、それじゃ、せっかくの祝いの席だし、この賞品は、ここにいる全員に振舞うとしよう!」

「おッ、おおおーッ! それは本当ですニャッ?」

「ニャンと太っ腹! よっお大臣!」

「いや王子だけどな」

「さっすがはエルグラート王家の方ですニャァ! よーし皆、セレス様のご厚意に感謝するニャーッ!」

「ニャアーッ!」


またセレスから袋を受け取り、ニャモニャたちはどこかへ走り去っていく。

合法マタタビ、どういう使い方をするのかさえ分からない。

でも大喜びしていたね。

いいことしたね、セレス。


「やれやれ、あんなの貰っても困るだけだ」

「フフッ、セレス様にとっては確かにそうですニャ」


クスクス笑うサフィーニャと、一緒になってセレスも笑う。


「じゃあ、セレスには私から一等の賞品を何かあげるよ」

「えッ!」

「何がいい?」

「あッ、ええと、ええとッ」


慌てだしたセレスを見てサフィーニャがまた笑う。

今度はニャレクとニャードルまで一緒になって笑った。

私も楽しい。

これから毎年、二月二十二日にはこの里へ足を運ぶことになりそうだ。

ニャンニャンニャンで、ニャモニャの日。

後で兄さん達とモコにも教えておこう。

次は皆で来られるといいね。

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