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狩り

「ブラッドアロー」


茂みの中からホーンラビットを狙い撃つ。


ピギャッ


視界に映る〇を当てたい箇所に合わせて撃てば殆ど必中に近い確率でヒットする。


この1週間の実験で近ければ近いほどヒット率が上がり、遠いと下がる。


ゴクゴクゴクッ


失った血を取り戻す為にホーンラビットの血液を残さず飲む。


「う~ん、ブドウジュースだな」


野生動物の血に味がある事に気づいた。


ヴァンパイアという種族は血に味を感じる舌を持っている様だ。


「これ、どうしよ?」


ホーンラビットは血の抜かれて少し萎れてしまった。


人間だったら肉を焼いて食べるんだが、ヴァンパイアになった事で血さえ飲むことで栄養を摂取している。


狼の群れがいなくなって狩りのしやすい環境ができている。


「ナイフもないしな」


そうすれば皮を剥いで毛皮の服とか作れそうなのにな。


【ブラッドナイフを取得したいですか?】


ファッ?


唐突に導きの声から答えが返ってきた。


「使えるのか?」


【ブラッドソードの熟練度が規定値に達成すればです】


「熟練度?」


一部のゲームで実装されていた奴か。


【スキルとは先天的スキルと後天的スキルが存在します。先天的とは最初から備わっているスキルを指し、後天的とは自らの経験を元に発生します】


「つまり、俺の経験が無いから使えなかったと?」


【是】


「しかし、ブラッドソードは虎の子、切り札なんだよな」


500mlの血液を使う大技、いざって言う時には使えないのは困る。


【経験というのは自らの限界を超えようとした時にも発生します】


「・・・そうか」


今まで限界値までしかやって来なかった・・・逆に限界を超えた事をすれば経験になるのか。


「ラビット狩りだ」


俺は油断しているホーンラビット狩りを開始する。


ブラッドアローで200ml失うが頑張れば300ml程取り戻せる。


その100ml分の加算がいい塩梅なんだ。


予備血液を500ml貯めた状態で限界を迎えるために狩りを続行する。


クラッ


【血の過剰摂取により、状態異常:血液過多が発生。思考能力が低減されます】


「休もう」


この状態になると判断が遅れて危険だ・・・木の上で休む。


それを繰り返し行う。


【予備血液(Lv2)になりました】


何度も血液過多状態となって予備血液のレベルが上がった。


「総量は?」


【750mlです】


「1.5増量か・・・更なるレベルアップに期待だな」


他の脅威が出てくる前に出来るだけ自身の強化を図る。


血を飲み過剰摂取する事で予備血液の量を増やし、腹痛を貰って痛覚耐性も同時に上げる。


「全然上がらないな」


血耐性、痛覚耐性、予備血液がレベル3になったがレベルの上がる気配が無かった。


ホーンラビットでは上がらないのかもしれない・・・レベル制なら強い相手の血液が必要なのかもしれないな。


俺自身のレベルも2のままだしな・・・


格下をいくら倒してもレベルアップしないのは経験値無効化されているのかもしれない。


【是】


早く教えてくれよ。


5日間無駄にしてしまったようだ。


【主の思考に対して答えるのが導きの声です】


つまり考えていなければ教えてくれない訳か。


【是】


ホーンラビット以外は何処にいる?


【スキル未取得により教えできません】


探知系スキルがある訳だな?


【是】


どうやって手に入れられる?


【取得方法はさまざまですが経験することが近道です】


その経験とは?


【行動するのみです】


どういう行動をすればいい?


【気配を感じてみてください】


どうやって気配を感じる?


【お教えできません。自ら考えるのです】


肝心な所はこっち任せかよ!


【全てを導くのでは意味がありません】


手厳しい導きの声様だ・・・


どこぞの大賢者さまとはえらい違いだ・・・大賢者ってだれだ?


【分かりかねます。賢き者の上位存在かと思われます】


万能ではないようだ・・・


【是】


そこは否定してくれよ。


とにかく、生物の気配を感じるか・・・


昔、漫画とかで目を閉じて周囲に意識を向けるっていう方法があったよな?


フッ


木の上で安全を確保しつつ俺は目を閉じる。


ザァアア


チチチッ


光が遮断されて、周囲の音が聞こえるだけだ。


・・・


「駄目だ」


1時間粘っても糸口すら見つけ出せなかった。


そもそも気配察知なんて素人が出来る訳が無い。


「どうした物か」


フヨフヨッ


暇なときは自身の血を操って遊びを思いついていた。


血を飛ばしたり、引き戻したり、形を変える程度の遊びだが中々面白い。


娯楽が無いからな!


魔法として使用しなければ魔力は消費しても血は一時的に外に出るが体内に戻せることを知った俺はこの遊びを覚えた。


グニャグニャッ


100mlの血液を操って小さな血のホーンラビットの形にしてまるで生きているような動きをさせて地面を飛び回らせる。


ある程度の動きであれば命令するだけで動き回る。


ズキッ


久しぶりに角から痛みが走った。


ガササッ


ビチャッ


突如、茂みの中からノーブルウルフが飛び出してきて血のホーンラビットに襲い掛かった。


血の匂いに釣られてきたのか?


「ブラッドアロー」


キャウゥンッ


俺の存在を知らず、10m以内にいたノーブルウルフの真上からブラッドアローを撃ち込む。


【血操術(Lv1)を習得しました】


「これ使えそうだな」


ガササッ


グルルッ


茂みから2頭のノーブルウルフが姿を現す。


「ブラッドアロー」


キャウゥンッ


まだ、俺に気づいていないノーブルウルフは沈んでいく。


予備血液も使ったが3頭分のノーブルウルフから血液を補充する。


【ノーブルウルフ(Lv4)を倒しました。レベルアップします】


久しぶりにレベルアップだ。

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