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侵攻準備

婚約破棄騒動の後、俺はその時が来る前に前準備する事にした。


「間に合うか・・・」


目の前に聳え立つのは標高2000mの山。


ベイクラム王国とサーペンティン王国の間に位置する山脈。


ココを超えれば隣国へと繋がるが馬車一台が通れる山道しか存在しない。


ハーピーの群れに襲われれば一溜りもない危険なコースを通り抜ける必要があった。


だから通る人間はハーピーを単独で倒せる実力持つ人間かよほど急いでいる人間しか通りぬけようとしない。


だが、ここの道を使えば迂回するより3日間は短縮できる。ましてや行軍となれば半月は掛かるんじゃないかと思う。


「インパクトカノン!」


ドォオンッ


山肌に魔力の衝撃はを一点集中させて放つ。


ピシッ


「罅は入るか・・・」


俺の魔法の中で最高威力だったんだが・・・・


山という質量の前ではビクともしない。


ピィイイッ


森や湖のモンスターであるノーブルベアとデスマンティスを呼び寄せる。


「血化粧」


ノーブルベアの爪、デスマンティスの鎌に俺の血をコーティングする。


「掘ってみてくれ」


グォオオオ!


キシャァアア!


2種のモンスター達は血化粧を施された爪と鎌で目の前の岩を切りつける。


ガリッ


ガギィンッ


ノーブルベアの方は爪痕がデスマンティスの鎌は岩に突き刺さる。


「ピッケルとしてはデスマンティスが優秀だな」


グルゥ


「お前たちにも役目はあるからな」


グルゥアア


ノーブルベアにそういうと森へと返っていった。


ワラワラワラワラッ


湖周辺に住まうデスマンティスを全部呼び寄せる。


「血化粧!」


可能な限りデスマンティスの鎌に血のコーティングをする事で頑丈さや切れ味を増加させる。


「人海戦術ならぬ、蟲海戦術だ」


ワラワラワラッ


視界いっぱいに広がるデスマンティス達が次々に目の前の岩に鎌を振るい続ける。


1時間もすれば数十人が一気に通れる幅の洞穴程度は掘れた。


「血がもたん」


ただ、血化粧の効果は一時的でコーティングが時間経過と共に剥がれ落ちてしまう。


その度に血化粧を施すが俺自身の血が足りなくなってきていた。


「殺し合え」


だから俺はデスマンティス達に100匹になるまで殺し合えと命令を下す。


王の命令に絶対服従のデスマンティス達は殺し合った。


お互いの貯めた経験値が一つに集約されて次々にレベルアップを起こす。


1日を要して生き残った100匹のデスマンティスは進化を遂げた。


「蟲毒は成功だな」


ヘルマンティスという体長5m程までの大きくなった。


100匹なら血化粧も耐えられる、さらにヘルマンティスになる事で一撃の威力が増している。


死体となったマンティスの死体からも血を回収して


「お前たちの出番だ」


グォオッ


ノーブルベアからブラックベアに進化した体長10mの巨熊達が中へと入っていきヘルマンティスが崩した岩の破片を岩場まで運んでいく。


岩場に居たロックリザード達もメタルリザードへと進化している。岩の破片を砕き細かくしている作業をさせている。


ピィイ


ハーピーから、より人間に近づいたハピネスへと進化した偵察部隊が帰ってきた。


「また来たか」


ここの所、山を越えてやってくるの反乱軍の一部隊の情報を手に入れる。


「油断している所で叩け」


ピィイイ!


ハピネス達は飛び去っていく。


【予備血液(Lv5)になりました】


バンバン血を使っては予備血液を満タンにするのを繰り返していればレベルアップもするだろう。


ガラララッ


「やっと繋がったか」


メタルリザード達が噛み砕いた砂に血を加えて一枚のプレートを作り出してトンネルの床に敷き詰める作業をしていたら奥の方で崩れる音が聞こえてきた。


ヒュォオッ


風通しの良くなり奥から風が吹き込む。


「あれが隣国サーペンティン王国か」


風景はベイクラム王国と変わらない。


「隠蔽するぞ」


今度は空いた穴に被せるように隠蔽工作を施す。


直前まで知られるわけにはいかないからな・・・。


バキバキバキッ


森の木々を切り倒して洞穴が崩れないように立てていく。


専門家ではないから適当だ。


「ん?」


着工してから1週間ほど経過して森に兵士達がやってきた。


「下見?」


「ベイクラム王から行軍する道のりを下見するよう言い遣われました」


「なるほど、先日完成したばかりだ」


「?」


兵士達は俺の後ろに着いていき目の前に広がる巨大な洞穴を見て固まる。


「横一列で10名は同時に進める洞穴を隣国まで繋げておいた。これで大幅な短縮になるだろう」


「私は夢でも見ているのか・・・たったの1週間でトンネルを作りだしたというのか」


一番頭の回りそうな兵士が呆けている。


「アリア殿下、この穴はどうやって?」


「配下達が頑張ってくれたからな」


ガサガサッ


森と湖からモンスター達が姿を現す。


「ヘルマンティスにブラックベアだぁあ!」


「ひぃいい」


兵士達は恐怖に腰を抜かす。


「たしか、この付近はデスマンティスやノーブルベアが生息地域だったと記憶している」


「進化させた」


「させたのですか!? 一体どうやって!」


「それは秘密だ。一国の主が秘密を漏らしてどうする?」


「この洞穴、向こうにも筒抜けでは?」


「遠目から見てもバレない様に隠蔽しているから大丈夫だろう。今日も向こう側から渡ってこようとした部隊を叩いているからな」


「了解しました。この事は陛下にお伝えします」


「頼むぞ」


こうして着々と準備は整っていった。

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