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毒の支配者

ガサガサッ


ここは森から西に向かった所にある湖周辺だ。


森は探し尽くしたが状態異常を引き起こすのは毒キノコくらいしか見当たらなかった。


「またか」


キシャァアア!!


体長2m程のカマキリが湖周辺の森に生息している。


ヒュンッヒュンッ


巨大な鎌を振り回して近づいてくる。


「腕力アップ」


グンッ


両腕が魔力で熱くなる。


「ブラッドソード」


ビュルッ


一瞬にしてブラッドソードを作り出す。


キシャァア!


何度も戦ってカマキリの攻撃パターンは見えてきた。


上段からの打ち下ろし。


ギギィンッ


軌道を読み、ブラッドソードで防御する。


ドッ


カマは剣に沿って地面へと突き刺さる。


キシャァ!


「遅い!」


残った腕でも攻撃モーションを行う。


が、腕力アップで攻撃力の上がったブラッドソードで根本から断ち切る。


キィイイ


切断されて後ろに下がった。


「ブラッドハルバード」


ブシャァッ


カマキリの足元からブラッドハルバードが飛び出て串刺しになる。


【デスマンティス(Lv26)を倒しました】


豊富なスキルのお陰で格上でも難なく倒せている・・・これが自我がある者とそうでない者の違いでもある。


もし自我が無かったら俺はウルフに殺されていただろう。


「うえっ」


カマキリの血液は苦い・・・虫系でも血は持っていた。


「無さそうだな」


コレはという物を手あたり次第口に運んでみるが大体は雑草に該当して苦いだけだ。


こういう時に鑑定系のスキルがあれば便利なんだが・・・


【教えませんよ】


なんでも知っていそうな導きの声からは厳しい一言が返ってくる。


「はぁ」


パクッ


適当に新たに発見した草を口に運ぶ。


見た目は猫じゃらしのように先端がモフモフとしている。


ビリリッ!


「!?」


舌が痺れるような感覚が襲う。


毒とは違った痛みだ。


「あっ、がっ!」


モフモフとしていた部分は小さな棘で舌に突き刺さり何かが入ってきた。


それは脳へ達すると効力を発揮した。


「あっう」


ドサッ


膝から落ちて、うつ伏せに倒れる。


時間経過と共に手や脚にも浸透していき小刻みに震える。


「あうぅうう」


呻く事しか出来ない・・・体全体が麻痺になったようだ。


辛うじて自分に起こった事を理解する。


ガササッ


嘘だろ


ここでデスマンティスが現れた。


キョロキョロ


目をグルグル回して周囲を見ている。


足元の俺には気づいていない。


キシャァア


だが、早々に見つけ出して本能のままにカマを振り下ろす。


血操術・・・


グイッ


体中の血を強制的に動かす。


麻痺して動かない体を内側から操作する。


脚力上昇で速力と跳躍力を上げて軽々と木を登っていく。


ギィイイイ


ガンガンガンッ


デスマンティスは獲物を逃がして幹をカマで叩いている。


「ふぅ」


血操術がこんな所で役にたった・・・。


マンティスの事は無視して麻痺が回復するのを待つ。


【麻痺耐性(Lv1)を取得しました】


「アレは何なんだ?」


【体内に取り込むと麻痺症状になる草です】


そのまんまの説明かよ。


「しかし」


脳へ麻痺の効果が発動して体全体が動かなくなった。


一時的に運動能力を落とす効果なのか?


「同じ草は・・・」


木の上から見渡すとそこら中に生えている。


麻痺草の群生地の様だ。


とりあえず、大量に刈り取って塒へと返る。


「うぅううう」


塒で麻痺草を摂取して耐性を上げる。


【麻痺耐性(Lv3)になりました】


「毒生成」


毒袋を魔力を送って変質させる。


これまで麻痺してきた実体験を元に麻痺の能力を毒に与える。


【麻痺血毒(Lv1)を取得しました】


遂に新たな力を手に入れた。


「麻痺の力を持った毒という事なのか?」


【是】


「なるほど」


グルルッ


俺は麻痺血毒をノーブルウルフに撃ち込んでみた。


レベル1で低確率ではあるが発動すれば強制的に全身麻痺に陥って地面に倒れている。


「これは・・・強いな」


毒状態より麻痺状態の方がヤバいと感じる。


「ピリピリするな」


麻痺の状態のまま倒して血を飲むと麻痺毒が舌に刺激を与える。


「これは・・・麻痺毒の餌が作れるんじゃないか?」


死んでもなお麻痺毒はモンスターの血に残っていた。


ノーブルボアを大量に仕留めて、麻痺毒を体内に残したまま南の草原に運ぶ。


バサッバサッ


森から草原の様子を伺うと飛竜がノーブルボアの死体に近づいてき。


バクバクッ


まったく気にせず口にする飛竜・・・自我は無いのか?


ピクッ


食べ進めていく内に飛竜に変化が起こった。


ドドォンッ


そのまま倒れて痙攣をし始めた。


「おぉ!」


その様子に声を上げる。


【毒生成(Lv2)になりました】


「実験は成功だな」


そのまま俺は塒へと帰る。


飛竜に挑まないのかって?


勝てる訳がないだろ・・・調子に乗れば返り討ちになるしな。


麻痺毒では飛竜を何分動けなくさせるか分からないし、上位種族であれば耐性を持っていても不思議じゃない。


「毒、麻痺とくれば・・・眠りだよな」


三大状態異常と言えばコレだ。


ただ、強制睡眠を誘発させるのは難しいと思う。


たとえ、経験できたとしても理解する前に眠っているだろうしな。


麻痺は意識があって何が起こったのか理解できたからスキルとして昇華できた。


状態異常の睡眠は難しいと感じた。


「ふわっ」


今日は色々と考えて眠気がおこった。


「寝よう」


塒で横になって眠りに入る。


【睡眠血毒(Lv1)を取得しました】


「はい?」


起きた途端に導きの声から伝えられた。


「睡眠その物が条件だったなら早く取得していた筈だし、睡眠について知らないんだが」


【毒生成(Lv2)と睡眠する事で条件達成になりました】


毒生成が鍵だったのか。


「毒生成、ブラッドアロー」


睡眠の効果を持った血をブラッドアローに乗せてノーブルベアに撃ち込み様子を見ていたら突然眠りに入った。


「遅効性の効果か?」


それから何度も麻痺血毒や睡眠血毒で実験を繰り返した。


【血毒、麻痺血毒、睡眠血毒を統合する事が可能になりました】


「統合?」


【体力を奪う血毒、全身の自由を奪う麻痺血毒、無防備な状態になる睡眠血毒の効果を1つにまとめ上げます】


「体力、自由、意識を奪う毒を作り出せるのか?」


【是】


「やってくれ」


【血毒、麻痺血毒、睡眠血毒を統合を開始しました。猛血毒(Lv1)が取得されました。引き続き統合前のスキルも使えます】


「猛血毒と血毒の違いはなんだ?」


【毒よりも即効性のある毒です】


通常の毒は遅効性だが猛毒は速攻で発動するのか?


「猛血毒、ブラッドアロー!」


ズダァンッ


ロックリザードに撃ち込んでみれば速攻で効果が発揮した。


毒、麻痺、睡眠が同時に発動して身動きが取れないまま体力が奪われている。


効果切れ直前に撃ち込めば持続する能力が猛血毒には備わっている様だ。


ただし、血毒・麻痺血毒・睡眠血毒を単体発動時に猛血毒を撃ち込むと上書きされてしまうようだ。


【レベルが上がります。猛血毒(Lv3)になりました】


湖のマンティス相手に戦っていたらレベル25になっていた。


【マンティスの武技:カマイタチを取り込みますか?】


「もちろんだ」


マンティスの攻撃パターンの中に低確率で放ってくる遠距離攻撃カマイタチがある。


【飛刃血を取得しました】


「飛刃血!」


バキッ


近くの木に向けて使ってみたら、刃渡り50センチほどの半月を描いた血が飛んでいき幹の半分は斬った。


ブラッドアローよりも強い遠距離攻撃を手に入れた。


メイジなのに近距離系しか手に入らなくて困っていた所だ。


本来なら遠い場所からの攻撃を主体とするメイジの筈が、魔法で作り出した物で近距離戦をしていた。


「寝るか」


バサルリザード戦に向けてレベルを上げ、スキルを増やしたし再挑戦も近いうちだな。

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