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支配領域拡大①

あの出来事から1週間程の時間が経ったが人間達がこの森の中に入ってくる事は無かった。


時折、冒険者の様な武装をした人間たちが入ってくるが森のモンスター達を倒す程度で帰っていく。


森の最奥にある俺の塒には来る気配はない。


「嵐の前の静けさかもしれないな」


【支配領域の拡張を推奨します】


数週間ぶりに導きの声が反応した。


ある程度の事では反応を示さなくなったから無くなったのかと思った。


「拡張っていってもな」


森の南側は飛竜の狩場だから支配領域には出来ない。


北側は標高の高い山、東側は岩場が広がっている、西側には大きな湖がある事は把握している。


山には飛行モンスター、岩場には爬虫類系のモンスター、湖には水棲モンスターがいる事は確認済み。


飛んでいる相手への攻撃手段はアロー系のみ、確実に当てらえなければコッチが返り討ちになる。


爬虫類のような姿をしているが表皮は岩の様に固そうで俺の魔法が弾かれる可能性が有る。


水棲モンスターは論外、水への弱点を持っている俺ではハンデがありすぎる。


すでに周辺への調査をしていて領域拡大するにしてもリスクがあった。


この森に住むロックボアとノーブルベアでのレベル上げも限界が来てしまった。


あの時逃がした人間達が大勢引き連れてやって来るならば戦力を拡大する必要がある。


「岩場か」


候補3つからは岩場を選ぶ。


唯一攻撃が届きそうな相手だからだ。


夕方ごろから移動を開始して岩場へと向かう。


ノシノシノシッ


ゆっくりとした動作で動く爬虫類型モンスター。鰐に近い体系をしている。


背中全体を岩の様な鱗で覆っている。


「ブラッドアロー」


ヒュォッ


キィン


やはり、矢程度では弾かれてしまった。


キュロロロッ


攻撃を受けて周囲を見渡すモンスター。


「ブラッドハンマー!」


ドォオンッ


キュォオオオ!


巨大なハンマーがモンスターの頭上に出現させ振り下ろす。


別に手で持って振り回す事をしなくても良い。


これは魔法なんだからな。


流石に操作可能範囲があって10mが限界だ。


グルルルッ


流石にダメージが入ったようだ。


アローより目に見えて挙動がおかしくなった。


「ブラッドハルバード!」


ブシュゥウッ


ギャァアアッ


地面からハルバードを生やして下から攻撃を加える。


腹の防御力は低い様で簡単に突き刺さり持ち上がる。


ジタバタと暴れるが突き刺さったハルバードに毒が仕込まれている。


俺の特性は毒での殺害をメインとした技だ。


血魔法との相性がいいのか、常に毒の攻撃も同時に行われている。


ギブブブブッ


体内から侵入した毒でモンスターは死に絶える。


【ロックリザード(Lv12)を倒しました】


ガブリッ


「ほほぅ」


俺の送りつけた毒の含んだ血液を飲む。


喉を心地よい刺激が通り過ぎていく、まるで炭酸飲料の様だ。


毒無効でなければ痛い思いをしているだろう。


失った血液を補充して、ブラッドナイフでロックリザードの固い外皮をはぎ取る。


「簡易的な篭手が出来たな」


腕に巻いて防御面を上げる。


それからロックリザードを倒しつつ奥へと進む。


「そろそろ帰るか」


ある程度レベルが上がって日が昇る前に帰る。


何度も岩場に赴いてロックリザードを狩る日々を送る。


【レベルが上がります】


前回、進化した条件である20を超えても何も起こらなかった。


【進化条件はそれぞれ変動します。上位個体程条件は難しくなっていきます】


なるほど、レベルだけが条件ではないといった感じか。


【是】


森に住み始めて2年半経過して森のモンスターは優しい環境であった事に気づいた。


ホーンラビットはレベル1~5、ノーブルウルフはレベル3~7、ロックボアはレベル6~11、ノーブルベアはレベル10~15で存在している。


岩場のロックリザードはレベル13からいる。


段階を踏めば強くなれる場所で目を覚ましたのだと。


「さてと」


レベル上げも限界を感じて岩場のボスに挑戦する。


ロックリザードの上位個体であろう全身が岩で身を固めている相手だ。


腹の部分も岩で囲われており二本立ちをして空いている腕の部分には短いながら被膜がついている。


飛竜種にも見え無くもない。


「ブラッドハンマー」


固い敵には斬るや刺すより衝撃を当たる方がダメージが通りやすい。


ドゴンッ


「固っ!」


いままで一番固い感触を受ける。


衝撃の一部が跳ね返ってきて手が痺れた。


「ブラッドハルバード」


バギンッ


地面からハルバードを生やすが奴の体重を支え切れず即折れた。


「これ(ハンマー)でしか倒せそうにないな」


ノソッ


ようやくコチラを振り向いた上位個体。


ガバッ


フォオオッ


俺に向けて口を開き、魔力が集まっていた。


「なっ!?」


ドッ


目の前が光に包まれた。


一瞬遅れて衝撃が全身を打ち吹っ飛ばされる。


ジュウウウウ


「熱っ!」


全身から煙を出し、手足が燃えている。


ブラッドドレスやロックリザードガントレットも消し飛ばされた。


明らかに大ダメージを負った・・・


なんとか痛覚耐性(Lv3)と恐怖耐性(Lv3)が俺の理性を保たせてくれている。


「強い」


第一印象で強者だと感じる。


動きはロックリザードよりも遅いが防御力が高く、あの口から出た魔法が厄介だ。


【竜種は総じてブレスと呼ばれる魔法を有しています】


「あれが竜種なのか?」


【見た目では判断が難しいかもしれませんが土属性の竜種でしょう】


俺が見た飛竜とは姿形が全く違う。


「ブレスって」


【竜種の固有魔法で口から出す魔法です】


固有魔法か・・・あのブレスを防ぐ方法は?


【限りなく防ぐ方法は少ないです】


「方法を言え」


【同威力魔法で相殺、反対属性魔法で相殺、あるいは魔法防御の高い防具です】


同系統・・・アレは土なのか?


何もかも焼いた魔法だぞ。


【ブレスの基本は炎です。竜の保有属性で水や雷に氷と変化します】


土属性だと炎のブレスを使うか。


「炎の反対属性は?」


【水、氷です】


「俺にはない属性だな」


【是】


反対属性魔法も無い、魔法防御の高い防具も無い。


「試してみる価値はあるか」


一つ考え付いたことがあるが、もう一度ブレスが来ないと分からない。


「ブラッドハンマー」


ドゴォッ


グルゥウウ


再び挑んでくる俺に奴は喉を鳴らして再び口を開いて魔力が集まっていく。


来た!


「うぉおおお!」


予備血液からも大量に引っ張り出す。


ドッ


光の奔流が俺を飲み込もうと迫り狂う。


ジュッ


俺の作り出した血液の壁が防ごうと抗う。


ビシッ


「駄目か!?」


凝固した血液の壁にヒビが入る。


トッ


それでも逃げるには十分な時間が作れている。


ジュォオッ


壁ごと飲み込みブレスは通り過ぎていった。


【ブラッドタワーシールドを取得しました】


血液の水分が一瞬だけブレスの進行を防いだ。


「使い勝手が悪いな」


今ので1000mlの血液を消費した。


血魔法を主体に戦う俺には長期戦を視野に入れると使い辛い。


ブラッドハルバード1回にブラッドハンマー2回とブラッドタワーシールド1回で2600mlも消費している。


使用できる血液は600mlしかない。


ジリ貧だ・・・


ガバッ


考えている間に3発目のブレスの構え。


「シャドウワープ!」


唯一魔力消費だけの影魔法を使って逃げる。


「撤退だ」


奴との闘いに血魔法だけでは勝てないと悟った。

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