表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ジニちゃんシリーズ

改訂版 ジニちゃんのみずさし

作者: 風 ふわり

 今日は、おひさまがポカポカして、とってもいい天気ね。


 おやおや?


 お庭をポテポテあるいているのは誰かしら?


 「ジニって言うんだよ。ジニは、ウサギぞくだから、あしのうらにニクキュウがついているの~」


 ああ、それで、ポテポテ音がしていたのね。


 「あう、あう、おう♪」


 お世辞にも上手くないわね(音痴)。


 挿絵(By みてみん)


 ペッタ、ペタペタ。


 「おそとであそぶのは、とってもたのしいの~」

 

 シュルシュルシュル~。


 あら、岸壁から遊びに苔スライムが来たみたい。


 ジニちゃんは、気がつかないで土コネに夢中ね。


 でも……。


 ポイ、ポイッ、ポイポイ。


 遊んで欲しくて苔を投げつけてきたわよ。



 「あう、あう、やめてほしいの~」


 土に苔が混ざって、やっと気づいたみたい。


 「いろがまざっちゃうの~」


 と、大きなタレ耳をピロンピロンと上げ下げして、抗議しているわ。


 でも、ひとつの色よりも、他にもあった方が綺麗よね。


 そう思ったジニちゃんは、また、楽しく土コネをしていたわ。




 「あ~、できたの~」




 苔スライムと仲良く作った器が出来たみたい。

 

 少し個性的だけど、上手くまとまったわね。


 「かわかさないとやけないの」


 ポテポテポテ。


 歩き出したジニちゃんは、布を敷いてから、お庭にある大きな木の影に置いたのよ。


 きっと、大切な物なのね。


 しばらく見ていたけど、お家に帰るみたい。


 「またなの~」


 苔スライムに手を振って別れたようよ。



 ポテポテ。


 「ジニ、帰ったよ~」


 あら、感心だわ。手足を洗って、うがいもしている。


 前に、家を汚して反省したのかもしれないわね。


 それから、カラフルなクッションのある自分の部屋に戻って行ったわ。




 「あうあう~、くもさんがあつまってきてるの~」


 窓からお外を眺めたジニちゃんは、どうやら、お空を気にしているようね。


 挿絵(By みてみん)


 突然、小さな鼻をヒクヒクさせたと思ったら……。


 「うにゃ! ケーキを焼いてるの」


 飛び跳ねて行っちゃったわ。


 窓外から、スポンジを焼く美味しい匂いがしたのね。




 □



 今日はまた、さらに澄んだ青い空が広がっていたわ。


 「おそとにいるの~」


 ポテポテポテポテ。


 ジニちゃんたら、昨日、作った器を早く見たいのね。足取り軽く跳ねているもの。


 



 「『みずさし』さん、おはようなの……?」


 どうしたのかしら、フワモコのタレ耳が、頭の上にネジネジされていってるわ。



 「うにゃあ! ないの!」


 挿絵(By みてみん)


 ああ、ビックリした。


 ジニちゃんたら、随分、高く飛び上がったのよ。



 「おとしものだとおもわれちゃったかもなの~」


 ジタジタ、あうあうと忙しそうね。


 ん?


 どうやら、お家の門の方に探しに行くみたい。




 「ん~、これじゃないの~」


 ふにゃ目を細めたりして確認しているようだわ。


 「もんのはしらにのっているのは、いろがちがうの」


 次は、花壇を探すのね。


 こんな時は、動きが素早いから追うのが大変よ。


 「これもちがうの~」


 今度は、葉っぱに隠れていたマイマイツムリさんのお家を確認したのね。


 「ちょびっとちいさいの~」


 自由自在に動くタレ耳と尻尾で、ジニちゃんの感情は、わかりやすいわ。


 


 そのまま歩いて、お隣りに行ったみたいだけど……。


 「あう、イーグ、おはようなの」


 ジニちゃんのお友達のイーグが居たわ。


 でも、大丈夫かしら……。

 イーグは、可愛いジニちゃんに嫉妬しているから、少し、辛くあたるのよね。

 


 「ジニがつちでつくった『みずいれ』がなくなっちゃったの。そとにおいておいたんだけど、イーグしらな~い?」


 ジニちゃんの頭は重いから、首を傾げると身体がグンニャリ曲がって、少し残念になってしまうのよ。


 「きのうのよるは、あめがふったんだぜ。くずれるにきまっているじゃん、ポンチョコリンだなあ」


 挿絵(By みてみん)


 あらら。


 やっぱり、言われちゃったわね。


 「あう、あめがふっていたの? ジニ、しらなかったの……」


 タレ耳が頭を抱えているから、何かを我慢しているのかもしれないわ。


 プイッと家に入ってしまったイーグ。


 「あうぅ、ジニは、ぽんちょこりんじゃないもん」


 逆立てたタレ耳をぶんぶん振って、膨れ面のジニちゃん。


 それから……。


 「ジニの『みずさし』……つちになったゃったかもなの」



 ポテポテ、ポテン。


 まぁまぁ、しょんぼりして、つまずいちゃったみたいだわ。


 下を向いていたから、悪い事が続いたのかしらね?

 



 「ただいまなの」


 お家の中は、何だか甘い匂いがしているのかしら。


 あらあ? 急いで手足を洗ったみたいよ。


 「あう、あう、あう~♪」


 ふふっ。


 どうやら、清潔になって機嫌が良くなったみたい。単純ね。


 ピョピョピョンと食堂に跳ねて行っちゃったわ。


 


 「お帰りジニ」


 おやつの時間だったから甘い匂いがしていたのね。


 テーブルには、一本角兵の形をしたケーキや、固めたグルトに甘いソースがかかった物が用意されていたわ。


 「オーリー、ちゃんとあらってきたから、みてほしいの」


 まあ。


 早く食べたくて、叔父さんに可愛い肉球を見せたみたい。


 「そうだ、昨夜あめが降っていたから、コレを預かっておいたよ。はい、大切な物なんだろう?」


 ジニちゃんたら、被さる勢いで差し出された物をガン見しているわね。


 「うにゃ! ジニの『みずさし』なの!」


 挿絵(By みてみん)


 まぁまぁ、わかりやすいこと。


 フワモコのタレ耳がピンとなって、手のひらをニギニギしているもの。驚いているんだわ。


 「うちにいれてくれたの~? ありがとうなの~」


 テーブルの周りをピョンピョン跳ねちゃってるのよ。


 「それならよかった」


 オーリーも、ニコニコして嬉しそう。



 「オーリー、ジニ、コレをさがしにいってたの~」


 「それで、朝早く出掛けて行ったんだね」


 「うん、だれかに、ひろわれたとおもっちゃったの」


 「間違いじゃないけど、観察力が足りないな」


 「ふよよ?」


 ジニちゃんたら、あどけない顔を向けているわ。

 

 「今朝は、空が洗われたみたいに透明だったろう? それに、雨の臭いがしていたんじゃないかな? だから、マイマイツムリなんかが活動していただろう?」


 「うん、もんのかざりとかマイマイツムリのおうちをしらべたんだよ。オーリー、すごいの」


 「褒めてくれてありがとう」 


 あれ? 何だか、タレ耳がもじもじし出したわね。


 「あのね、イーグがね、あめがふったことをおしえてくれたの……」


 また、元気がなくなっちゃったみたい。


 「それでね、ジニのことぽんちょこりんっていったんだよ……ううっ」


 あらあら、オーリーが優しいから、また思い出して悲しくなっちゃったみたいね。

 

 


 「気にする事はないよ、ジニ。イーグは、甘えているだけだからね。いつか、恥ずかしく思う日がくるだろう」


 「わかったの~」


 

 「ジニもイーグもまだまだだね」


 どうやら、オーリーの慈しみ深い微笑みで、ジニちゃんは安心したみたいだわ。


 「ジニ、これからもイーグとなかよくするの。でも、オーリーがいちばんだいすきなの~」


 「私もだよ」


 「うふふなの~」

 

 『みずさし』が見つかって良かったわね、ジニちゃん。


       おしまい

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 改訂版を書かれたのですね。 ナレーションが入って、誰かがジニちゃんを見守っている感じがマシマシになりましたね。 みんなに囲まれて、ジニちゃん大きくな~れ。
[一言] 改訂版を出されたのですね。 ナレーションが入ることで、ジニちゃんや周囲のみんなの気持ちがよくわかってとても面白かったです。より物語に入りやすくなりましたね。
[良い点] ナレーションが入り(?)雰囲気が変わって、またこちらもいいですね。 こちらにカサカサは現れていないようでよかったです。 ほのぼの癒されました(*^^*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ