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蟲の王女  作者: 長谷川
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愛なる毒


 色とりどりの水上花が咲き乱れる池の真ん中に、ぽつねんと佇む(あずまや)がある。

 白亜の中から削り出された四本の柱と半球状の屋根が美しいその亭に向かって、今、岸から滑り出した小舟が一艘(いっそう)あった。

 壮麗な装飾が施された天蓋と、船側を飾る金彩が目を引く舟である。

 船上に(しつら)えられた腰かけに座しながら、王女は船頭役の騎士が立てる微かな水音を聞いていた。船底がわずかな波を立てると、水上に浮かぶ花々が道を開けるように揺れて流れてゆく。雨季が明けたこの季節にしか()でられないという稀少な花に、王女は思わず目を奪われ、手を伸ばしたくなるのをぐっと(こら)えた。


 なぜなら今日の目的は皇宮の池の遊覧ではない。

 花の道をゆっくりと進んでゆく舟の行き先には女がひとり。

 亭の内で優雅に腰かけ、彫溝の美しい柱の(あわい)からこちらを見つめる女の口もとには、品のよい(しわ)がたたまれている。それは女が重ねた歳月(としつき)の象徴であり、同時に刻まれた威厳と貞淑さの発露。ほどなく白亜の屋根を(いただ)く小島に降り立った王女は、女に向けて(うやうや)しく臣下の礼を取った。細身のドレスの(すそ)(つま)み、蝶の飾りのあしらわれた靴を片方引いて、黒髪を彩る銀の(かんざし)の細工を揺らす。


「ご機嫌麗しゅうございます、皇太后陛下」


 そうして王女が口上を述べれば、女は静かな微笑みと共に頷いた。金獅子帝国第二十七代皇帝の(つま)──すなわちあの若獅子の実母に当たる女人である。

 皇宮に伝わる古くからのならわしで、皇妃たちはふた月に一度、こうして皇太后の催す茶会に招かれるのだった。しかし茶会とは言うものの、招かれる者は一度にひとりだけ。すなわち皇妃と皇太后が一対一で内々の言葉を交わす場なのである。


 特に当代の皇后が定まらぬうちは、皇太后が皇帝の(きさき)となるにふさわしい相手を見極めるための場だとも言われていた。

 もっとも初めから皇后になるつもりなどあるはずもない王女にとっては、ただ己の近況を報告し、他愛もない世間話に(ふけ)るだけの席でしかない。

 ゆえに他の皇妃たちのように、殊更(ことさら)豪奢に着飾る必要も、皇太后の関心を引くための話題を掻き集める必要もないのが気楽だった。

 もっともここで彼女の機嫌を損ねれば、皇帝の夜渡(よわた)りが絶えるおそれがあり、その点だけはよくよく気をつけなければならなかったが。


「花の季節によく似合うドレスね。其方(そなた)の黒髪と線の細さがよく映えること。まあ、お座りなさいな」


 と、向かいの席を示されて、王女は再び礼を取った。

 されど真っ先に本日の衣裳(いしょう)について触れられたことが気恥ずかしく、目を伏せたまま席に着く。なぜならたった今、王女が身にまとう爽やかな若草色のドレスは、自らが好んで選んだものではないためである。ゆえに王女は頬が微か熱いのを自覚しながら、膝の上で重ねた繊手(せんしゅ)をきゅっと握った。


「お褒めに(あずか)り光栄です。ですが、こちらのドレスは……本日のためにと、陛下より(たまわ)ったものでして」

「知っているわ。陛下は其方が暗い色の服ばかり好んで着ていることを好ましくお思いでなかったようね」

「は、はい……ですのでせめて皇太后陛下の御前では、失礼に当たらぬようもう少し華のある装いをせよ、と」

「ふふ……そう恥ずかしがることはありませんよ。似合っていると言ったのもお世辞ではないわ。陛下は普段、ご自分のお召し物にはほとんど頓着なさらないのに、女人の服を選ぶのはお上手なのね」

「……お言葉、有り難く頂戴致します」


 ドレスの袖と揃いの線帯(レース)手套(しゅとう)を握ったまま、王女は微笑とも苦笑ともつかぬ笑みを返した。あの荒々しい若獅子は本当にこの女人の腹から生まれたのかと疑ってしまうほど、皇太后の物腰は穏やかで気品に溢れている。

 が、深海のごとく青い瞳の奥には、獅子の母を名乗るにふさわしい鋭利な洞察力と胆力が秘められているのを、王女は薄々感じていた。ゆえに彼女の前では滅多な言葉は口にできない。王女が茶会に招かれるたび、毒にも薬にもならない閑談(かんだん)にばかり興じているのも、そういう警戒が先立ってのことだった。


「ですが陛下が女人に贈り物をするなんて前例のないこと。先に妃となった娘たちは、宝石のひとつも下賜(かし)されたことがないはずよ。陛下はこれまで后選びにもまったく関心を示されなかったから……そんな陛下が自らドレスを選ばれるなんて、よほど其方を気に入ったようね」

「そう……なのですか? ですが他の皇妃様方の宮は、紫蘭宮よりも遥かに(みやび)やかで……あれもきっと陛下のご配慮なのだろうと思っていたのですが」

「ほほ、まさか。皇妃たちはそれぞれの家門の財力を示すため、宮を飾るのに余念がないだけ。つまりいずれの宝物(ほうもつ)も彼女たちが自ら持ち込んだものよ。その点、其方の暮らす紫蘭宮は質素すぎるわね。蝶の国の優れた工芸品は、王侯貴族の間では垂涎(すいぜん)の品。持ち込めば間違いなく陛下の目を引けるでしょうに」

「確かに祖国の伝統工芸は各国で愛好されているようですが、陛下のお好みとは(いささ)齟齬(そご)があるように感じますので」

「ほう。では陛下は逆にどのようなものならお好みになると?」

「蝶の国の工芸品はこちらのカップのように、淡い色彩と精緻な装飾を美として尊ぶ傾向がありますが、陛下のお好みはもっとはっきりとした色合いの……かつ機能美を優先した品かと存じます。ひと目見ただけで、溢れんばかりの生命力や力強さを感じさせるような」


 と、王女が白亜の円卓に用意されていた花模様のカップを手に取れば、皇太后は再び微笑を浮かべた。釉薬(うわぐすり)による美しい(つや)をまとったこの白磁のカップの造形は、言わずもがな王女の故国たる蝶の国で手がけられたものであろう。

 されど皇帝はこうした装飾美には目を留めない。贈られたドレスを見ても分かるとおり、動きやすさや使いやすさを何よりも重視している節がある。でなければ、女人たちが己の腰をより細く見せるべく手を変え品を変えて膨らみを持たせた、ありきたりなドレスを贈って寄越したことだろう──それこそが今の帝国で最も美しいとされる衣裳であり、皇妃たちも競って身につけている品なのだから。


「なるほど。後宮に入ってまだ半年も経たないというのに、其方は陛下のことをよく理解しているようね。そういうところがあの方のお心を掴んだのかしら」

「い、いえ、陛下は王女らしからぬ私の振る舞いを面白がっていらっしゃるだけかと……私はあまりにも世間を知らずに育ったもので、ゆえに無知な言動のひとつひとつが、陛下のご竜眼には物珍しく映るのでしょう」

「確かに陛下は昔から好奇をそそるものに目がないお方だけれど、同時に宮廷での無益な(いさか)いを嫌うお方よ。そのようなお方が数ヶ月もの間、他の皇妃には見向きもせずに其方の宮にばかり通っているというのは、どんな理由であれ大きな意味を持つことだわ」

「……では私が紫蘭宮を賜る以前は、他の皇妃様方を平等に扱われていたと?」

一所(ひとところ)に寵愛が集まれば、皇后の座を狙う皇妃たちは動かざるを得ませんからね。陛下が后選びに積極的でない理由はそこにもあるのよ。無論、いずれは誰かひとりを皇后として迎えなければならないのだけれど……陛下は女たちの醜い権力争いに巻き込まれることを嫌っておられる。だから野心のない其方に惹かれるのだわ」

「い、いえ、私は……」

「其方の目的は人質として自らの身を捧げ、祖国の安寧を守ること。初めからそれ以上のものなど望んではいない。そうでしょう?」


 ひたりと据えられた皇太后の眼差しに、王女は背筋を凍らせた。

 この女人にはやはりすべてを見透かされている。そう思うと(おそ)れで肝が震える。

 普通であれば王女が寵愛を受けるため、小狡(こずる)く皇帝の気を引いていると邪推するところだろう。ところが皇太后は初めから王女に野心がないことを見抜いている。

 ならばこれは忠告なのであろうか。皇后になるつもりがないのなら(いたずら)に皇帝の関心を買い、争いの種を()くべきではないと?


「……いいえ、孤島(ここ)迂遠(うえん)な言い方をする必要はないわね。はっきり申し上げておきましょう。本音を言えば、わたくしも其方の無欲さは買っています。其方は己を無知と言うけれど、世間を知らぬだけであって決して愚かではない。入宮後の政務の様子を見ても、物覚えがよく理性的で、皇妃としての教養は充分備わっていると判断しました。されど惜しむらくは、其方の後援である蝶の国がさしたる国力を持たぬこと。仮に其方を皇后に迎えたとして、我が国が受けられる恩恵は如何程(いかほど)のものがありましょう? 其方もそれを理解しているからこそ、自身が皇后に選ばれる理由はないと達観している。そうですね?」

「……」

「とは言え周囲が何と言おうと、最終的な決定権は陛下にあります。特に今、大陸統一を目前に控えられた陛下のご威光は天をも焦がす勢いで、何人(なんぴと)たりとも異を唱えること(あた)わないでしょう。ゆえに問います。仮にもし、陛下が其方を后に選ぶとおっしゃったなら、其方には求婚を受ける覚悟がありますか?」

「私は──」

「其方にその気概があるのなら、わたくしも助力は(いと)いません。無論、真に優先されるべきは陛下のご意向ですから、あくまでも仮定の話だけれどね」


 王女は返答に(きゅう)した。自らが帝国の国母になるなどと、夢想したことすらなかったゆえに、すぐさま正答が出てこない。

 そもそも皇帝は間もなく命を落とすさだめだ。近頃は(むし)の毒による病の兆候も著しくなっており、(とこ)()せるのも時間の問題であろうと王女は踏んでいる。

 だのに皇后になる気があるか否かなど、なんと(せん)なき問答であろう。

 もちろん皇帝が崩御の前に后を指名する可能性も皆無ではない。

 されどそこに王女が選ばれる未来などありはしないのだ。なぜなら蟲の毒で満たされた王女の子宮は、()()()宿()()()()()()()()()()()のだから。


「……皇太后陛下は、私が后に選ばれる可能性がわずかでもあるとお考えなのですか?」

「少なくとも、昨今の陛下のお振る舞いを見る限り、あると考える方が自然でしょう。あれほど注意深く後宮の均衡を保っておられた陛下が、勢力(ちから)の天秤が傾くのも厭わず、其方の宮へ通い続けておられるのだから。母であるわたくしでさえ、あのお方がひとりの女人にここまで入れ込むさまを見たことがないのですよ」

「しかし、陛下は……」


 と、とっさに反駁(はんばく)しかけて、口を(つぐ)んだ。

 何を抗うことがあろう。この皇宮で皇帝の次に力を持つ人物が、王女に皇后となる覚悟さえあらば助勢を惜しまないと言っている。これは今日まで何の後ろ盾も持たずに孤軍奮闘してきた王女にとって、またとない申し出ではないか。


 実際、皇帝が紫蘭宮以外の宮に足を向けなくなってからというもの、後宮に流れ始めた不穏な空気を王女の肌も感じ取っていた。初めは何の力も持たぬ小国の王女(むすめ)(あざけ)っていた他の皇妃たちも、近頃は目の色を変えつつある。

 であるならば、偽りの返答ひとつで皇太后という味方を得られる好機を逃す手はない。ここは大人しく(はい)と答えて、彼女の助力と歓心を得るべきだ。


 ところが刹那、王女の脳裏をよぎったのは、


『ならば()()()()とはどういうことか、この俺がとくと教えてやる』


 王女の心臓が一際大きな異音を立てた。

 にわかにそんな記憶が呼び起こされた事実に驚き、思わず唇に手を当てる。


 なぜ、今、皇帝の腕の中で迎えた初夜の記憶など。


 よもや自分は自惚(うぬぼ)れているのだろうか。

 己が本当に、皇帝に()()()()()()などと──


「しかし、何です?」


 風が奏でる水音(みなおと)も遠のくほどの心音に、王女は狼狽(ろうばい)し切っていた。そこへ追い討ちのごとくもたらされた皇太后の問いかけが、すべての歯車を狂わせる。


「へ……陛下は近頃、ひどくお疲れのように感じます。ですので夜のお渡りは、しばらくお休みになるのではないかと……」

「まあ。疲れているとは、どのように?」

「こ……このところ妙に体が重いとおっしゃっておりましたし、お話し中もどこか上の空といったご様子で、日に日に生気を失われていらっしゃるように感じます。以前に比べて眠りも深く、朝、お声をおかけしてもすぐには目を覚まされませんので……」


 と言い終えてから、はっと我に返ったときにはもう遅かった。

 なぜ、よりにもよってそんな話を。

 皇帝の夜渡りが絶えれば、使命を果たせず困るのは己自身であるというのに。

 焦燥から生まれた自問はさらに王女を追い詰めたが、前言の撤回など今更できようはずもなかった。現に菓子と紅茶が宝石のごとく散りばめられた円卓の向こうでは、金色の睫毛(まつげ)に縁取られた瞳を見開き、皇太后が絶句している。


 かと思えば彼女はただちに扇を開き、傍らに佇む年配の侍女を呼び寄せた。

 そうして眉根に深刻さを匂わせ、扇の陰で何事か(こと)づける。

 すると侍女も万事心得た様子で頷き、身を(ひるがえ)して亭を出た。

 向かう先は(うかが)うまでもない。

 恐らくは岸辺で待つ騎士に、宮医(ぐうい)への伝言を預けに行ったのだろう。


「こ……皇太后陛下、」

「ああ、ごめんなさい。其方の話が事実ならば、万一に備えて宮医を手配しなければと思ってね。実はここしばらく、わたくしも陛下に拝謁できていないのよ。来月に控えた催涙祭(さいるいさい)の支度に追われているものだから」

「さ……左様でございましたか。では陛下がお疲れのご様子なのも……」

「ええ、同じく政務が立て込んでいるためかもしれないわ。おかげで其方の話を聞かなければ、陛下のご不調を見逃すところでした。感謝します」

「い、いえ……身に余るお言葉です」

「けれどそんな状態でも、陛下は紫蘭宮に足繁(あししげ)く通われていたのね。もしも本当にお体が優れないのであれば、大事を取っていただく必要があるというのに……それほどまでにご執心となると、其方の方は(さわ)りないかしら?」

「はい……残念ながら」


 と、自身の犯した(あやま)ちに打ちひしがれながら、王女はうつむき、気も(そぞ)ろに答えた。これにて夜の営みが絶たれ、皇帝が快癒してしまえば、何もかも初めからやり直しである。否、場合によっては時間(とき)を置くことによって皇帝が正気を取り戻し、二度と紫蘭宮には姿を見せない可能性もあるだろう。


 何しろかの若獅子が()かれたように王女の肢体を貪るのは、蟲の毒が彼の命と引き替えに、常では決して味わえぬ()()()()()をもたらしているためなのだから。


 ところが王女の思考が失意の(よどみ)に沈みかけた刹那、朝露がぱっと弾けるような哄笑が響いた。不意を()かれて顔を上げれば、広げた扇の向こうで皇太后が愉快そうに笑っている。帝国に輿入(こしい)れしてから初めて耳にする彼女の笑声は、王女が唯一初夜に聞いた獅子のそれと驚くほどよく似ていた。


「まったく、本当に面白い娘ね。けれど今のは懐妊の兆しについて尋ねたわけではないの。ただ其方の国に生まれる王族の娘は皆、病がちだと聞いたから、陛下の無理に付き合わされて難儀しているのではないかと案じたのよ」

「あ……」


 言われてようやく皇太后の真意を悟った王女は、日の光とは縁遠く育った自身の肌がたちまち赤く染まるのを感じた。果たして今日の自分はどれほどの失態を重ねれば気が済むのかと、眩暈(めまい)を催しながらも辛うじて平静を手繰り寄せる。


「も、申し訳ございません……幸いにして私はこの歳まで大病もなく育ちましたので、ご心配には及ばないかと。幼少の頃はいくらか病弱ではありましたが、ご覧のとおり、今では差し障りなく生活できております」

「そう、それはよかった。蝶の国の王女はなぜか生まれてすぐに夭逝(ようせい)することが多いと聞いていたから、実を言うと、当初は政務も執れぬほど虚弱な娘が人質として送られてくるのではないかと案じていたの。けれど其方はよく陛下を補佐してくれているし、夜の務めも問題なくこなせているようね。ひょっとしたら其方もまた不死蝶(ふしちょう)に選ばれし姫なのかしら」


 まったく予期せぬ皇太后の言に、王女はますます面食らった。

 不死蝶。それは帝国の建国神話に語られる金獅子と同じく、王女の故国たる蝶の国を築いたとされる神である。長きに渡る戦乱で荒れ果てた南方の地で、初代王の平和と豊穣の祈りに応えたとされる不死蝶は、見る者すべてを魅了する虹色の(はね)にて天を舞い、あらゆる争いを鎮めたと伝えられていた。かの蝶が羽ばたくたびに降り注いだ鱗粉(りんぷん)は星のごとき光を帯びて、荒野に芽吹きをもたらしたという。

 だが王女は自身が不死蝶に選ばれた存在などと考えたことは一度もない。


 なぜなら王女を選んだのは、神なる蝶とは程遠い、闇から生まれし(まが)つ蟲……。


「……いいえ、とんでもございません。そのようなお言葉はあまりに(おそ)(おお)く……私が早世を免れたのは、城の優秀な侍医らが力を尽くしてくれたおかげだと、かねてよりそう思っています」

「あらあら。本当に謙虚な娘だこと」


 目尻に刻まれた皺を(ほころ)ばせながら、無知なる女は扇の陰で微笑んだ。

 彼女は知らない。たった今、目の前にいる(うつろ)な娘が、神なる獅子に選ばれし愛し子を(あや)めるためにやってきた(わざわい)だということを。それは彼女の子がかつて夢に見たという獅子の予言を、彼女もまた信じているためなのだろうか。

 だとしたらあの若き獅子は、まったく無垢なる母の愛に殺されるのだ。


 王女がどれほど望んでも手に入れることの叶わなかった、母の愛に。


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