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プロローグ
戦場。
世界がそれだけだとは言わないが、少年にとってはそれが全てだった。
昨日まで隣で戦っていた仲間が、突如吹き飛ばされ、地面の染みへ成り下がる。
仲間は死に、新しい兵が隣に配置される。
運良く生き残り、そして次の日を迎える。
初めて銃を握ったのは6歳。親に売られた結果だった。
最早顔も覚えていない母親だ。
兄弟は皆残されていた。だが、彼だけがこの傭兵団に売られた。
理由はあったような気がする。
が、銃を握り続け、爆音の響き続けるこの戦場では、記憶を保つのはかなり難しい。
心のない人間を死んでいると表現するならば、まさに今の彼は生ける屍だろう。
また、戦場へ行く。これから12時間、戦場に居続けなければならない。
昨夜交代した兵と交代し、敵めがけて銃を撃つ。
その日もそれで終わるはずだった。
が、
「逃げろ!!アマリカの新型爆弾だ!!」
遠くで上官が何か言っている。
周囲がにわかに陰る。上を見る。
巨大な爆弾が、頭上すぐそこまで迫っていた。
助からない。
「うわあああああ!!」
逃げ出した。助からないというのに。
「死にたくなッ…」
カッ
視界が閉ざされた。
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