八回目の王の勇者(前編)
ザァァァァァーーー、、、
、、、私の頬に雨がつたう。
イヤァーー!
、、、彼女が叫ぶ声がする。
それでも時間は戻らない、
死んだ人は帰らない、
殺したことは消え去らない。
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私はエナ・ホープ。光の勇者だ。
この世界に勇者は六人存在する。
火水土風の基礎属性に加え、
光と闇を足した六属性の勇者がいる。
この世界に危機が訪れると現れるとされているが、
光の勇者だけは違う。
生半可な危機では現れず、
魔王などが現れた時のみ生まれる。
基本は人間だが、人間に近いピポイ族や
亜人なども勇者が生まれる可能性がある。
そんな中で私はエルフの子として生まれた、
エルフの祖と言われる存在は、
歴史ができる前から生きていると言われている。
そんなエルフも血が薄まり、短命になりつつある。
しかし私は純血の家に生まれてしまった。
光の勇者として永久の時を生きなければいけなくなった。
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生まれてから人間の王が八回変わったころ、
「エマさーん、エマさんってば~。」
「うるさい、ちょっとは落ち着けないのか。」
今怒られたのはピポイ族のハルト、
まさにムードメーカーな性格だ。
そそっかしいところもあるが、闇の勇者である。
そして注意したのは人間のマオイ、
常に冷静で私たちの司令塔である。
まさに水の勇者といったところだ。
「なんだい?ハルト、用があるみたいだけど。」
「マオイがダンジョンにソロでいかせてくれないんだ、
俺だってもう大人なんだよ?」
「だってあなた12でしょう?まだ子どもよ。」
「もう12なの!」
「いいんじゃないか?ピポイ族は短命で、8でもう大人だ。
いつまでも子ども扱いはしてはいけないよ。」
「むぅ、わかったわ。いってもいいわよ、
ただし、死なないでよ。」
「わぁってるって、死なないよ。」
「とりあえず、今日は宿へいきましょう?
もう遅いわ。」
「オーケー、いつもどうり二部屋だね」
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夜のとばりが落ち、ハルトが部屋で休んでいるころ、、、
「ふぃぃ、今日は一段と疲れたなぁ。」
ーなら疲れる要因を消せばいいのでは?ー
「誰だ!」
ー私はクロ、光の勇者の敵ですよー
「ならなおさら見逃せねぇな、
何が目的だ。答えな。答えなければ殺す。」
ーなに、簡単です、あなたを誘いに来ました、
光の勇者は過去に何人も人を殺しています。ー
「なっ!そんなわけッ」
ーあるんですよ、老若男女問わず、
残酷な方法でね、だからこそ、
光の勇者は殺さなければいけないー
「、、、」
ーお返事は闇へ言ってください。では。ー
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あいつ、そんなやつだったのか