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9011M列車 五回目

四回目も記録はちゃんと更新。と言っても四回目は満点を取った。五回目はもう一度満点を取るしか残されてはいない。その結果のために僕は勉強してきたんだ。

「じゃ、前回やったテストを返却します。名前呼ばれたら取りに来てください。」

先生の声が教室に響く。僕は心臓の音が大きくなっていることを感じた。これですべてが決まるからだ。

(満点・・・満点・・・満点・・・。)

そうあってくれ。僕には今その思いしかない。

「輝君。」

「はい。」

そして、その時・・・。

「ただいま。」

僕は家に帰った。さっさと返ってきた五回目のテスト用紙を机の上において塾に行く準備をした。はぁ。電車内での勉強は楽しかったけどそれも終わりだ。諦めはつかないけど約束した以上諦めるしかない。達成できなかったんだからなぁ・・・。

「真ちゃん。」

お母さんが僕を呼び止める。

「ママ。」

「塾やめてもいいわ。」

「えっ・・・。」

「真ちゃん、たくさん頑張ってたことは知ってるんだから。」

「・・・でも約束は。」

「ええ。結果は結果。でも、頑張ってたって事実は変わらないでしょ。だから、塾をやめることも電車で勉強することも許します。真ちゃんの好きなように勉強なさい。」

「本当にいいの・・・。」

「本当にいいの。」

「ずるい。」

「そうね。頭ごなしに否定してた上に約束までママが破ろうとしてるんだからね。怒りたければママのこといっぱい怒っていいわよ。」

「・・・。」

お母さんは目線を僕に合わせてきたので、

「めっ。」

と言いながらグーを頭に優しくつけた。

「・・・あら。それでいいの。」

「いいの。」

やった。やった。これでやっとやりたい場所で自由に出来る。

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