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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

黄泉へと誘う声

作者: 野良野 音子

初めてのホラー小説です王道かもですがよろしければご覧ください

少し過激な描写が含まれますので苦手な方はご注意くださいませ。



                             野良野 音子

私は荒戸あらと沙織21歳、先日姉の古い日記が出てきました

今から6年前私の姉におきた恐ろしい出来事が詳細に記された日記でした

そこには、友人の誘いで軽い気持ちで出かけた閉園した遊園地、

裏野ドリームランドでおきた恐ろしい体験と行った事への後悔とが

書かれていました・・それは数年ぶりの猛暑と言われたある夏の暑い日

親友の誘いから始まっていました。




「かおり~おっはよ~」


朝の通学途中、まだ眠い私とは対照的に妙にテンションの高い声が後ろから聞こえた


「なんだ愛美まなみかぁ・・」


彼女は冴島愛美さえじままなみ、私の一番の親友でムードメーカー的な性格の子

本人に悪気はないがたまに暴走することもある・・。


「ちょっとかおり!なんだはないんじゃない?わたしはかなしいぞぉ・・」


「朝からテンション高くない?・・」


「かおりが低すぎなんだよぅ!」


「そうかなぁ・・朝ってこんなものじゃない?」


「そんなだから彼氏ができないんだぞぉ」


「ちょっと!それは関係ないでしょ!」


「あははは」


「もう!笑い事じゃないよ・・」


「ごめんごめんでも大丈夫彼氏がいないのはわたしもだから!」


なぜか胸を張ってアピールする愛美


「何が大丈夫なんだか・・・」


「ねぇねぇ、そんな事よりさもうすぐ夏休みじゃない?

かおり何か予定ある?」


「え?今のところは特にないけど・・」


「やた!ねぇ!じゃあさ恵美めぐみあや誘って最近閉園

 した裏野ドリームランド行ってみない?しかも夜に♪」


「裏野ドリームランドに夜?見つかったらどうするのよ・・」


「大丈夫♪だってぇあそこってもうすぐ取り壊しになるんだって

 だから昼間は結構業者の人とか出入りしてるけど夜は誰も居ないよ」


「だけど危なくない閉鎖されてるんでしょ?」


「つい最近まで営業してたし大丈夫でしょ♪」


「う~ん・・どうしようかなぁ・・」


「え~・・いこうよぉ楽しそうじゃん!

 それにもうすぐなくなっちゃうんだよ」


「まぁ、私はべつにいいけど・・」


「あたし恵美に声かけてみるから綾おねがいね~」


「うん、わかった聞いてみるよ」


私は愛美に頼まれた綾へお誘いの電話をかけてみた

何度かのコールのあと控えめの声がした


「はい・・かおりちゃん?どうしたの?」


彼女は澤部綾さわべあや控えめな性格でおとなしい子

でも面倒見がよくてみんなからの人気は割と高い


「あ、綾?今大丈夫?」


「うん、へいきだよ」


「あのさ綾夏休みって何か予定ある?」


「えっと、初日は生徒会の行事だけどそれ以外は大丈夫だと思う

 夏休みなにかあるの?」


「うん・・実は愛美がね最近閉園した裏野ドリームランドあるじゃない?」


「うん、先週くらいに営業休止になったよね?」


「そうそう、それでねそこに夜行ってみない?って」


「え?・・夜に?・・どうして夜なの?」


「昼間は業者さんとかが出入りしてるから夜じゃないとなんだって」


「そうなんだ・・」


「それともうすぐ取り壊しになるから行っておきたいんだって」


「ちょっと入って見るだけなら・・」


「多分ね・・無理言ってごめんね」


「ううん、気にしないでそれじゃ愛美ちゃんにいいよって伝えておいて」


「うん、わかったありがとね、じゃあまた」


「またねかおりちゃん」


私は電話を切り愛美に伝えた


「やったぁ!恵美はノリノリでおっけ~だって♪」


新島恵美にいじまめぐみ彼女はさばさばして男の子みたいな性格の子

率先してみんなを引っ張っていくリーダータイプかな。


「愛美、くれぐれも危ないのはなしだからね!」


「わかってるって!う~ん!楽しみだなぁ♪」


「閉鎖された遊園地の何にそんなに魅力を感じるのか・・」


「かおりも行ったら楽しくなるって!」


「そ・・そうかなぁ・・」



こうして夏休み昼間は人の出入りがあると言うことで

夜に閉鎖された遊園地へ行くことになった


そして次の日の放課後恵美が話があると言うので

近所のファミレスに4人で集まることになった。


「おーい!かおり!こっちだこっち」


「めぐちゃん早いね~」


「愛美~!めぐちゃんはやめろ!」


「ひぃ♪怒ったぁ~あははは」


「たくっ!愛美はいつもそんなだよ・・」


「べつにいいじゃ~ん」


「はいはい・・二人とも話が進まないから!」


「はぁ~い・・」


「お、おう・・」


「綾はまだ来てないの?」


「うん、あの子生徒会長だからもう少しかかるって」


「大変だねぇ生徒会長って」


「だな・・あたしはぜったい無理だわ・・」


「恵美が生徒会長って・・ぷぷっ!うける」


「おい愛美・・笑いすぎ!」


「まぁ・・間違いなく似合わないけど・・」


「だよねぇあははは」


「だよねぇ・・じゃねぇ!」


「そうだかおり、なんか飲む?」


「そうね、綾が来るまで少しあるし頼もうかな」


「ふたりは?」


「わたしも頼もうっと」


「じゃああたしも頼むかな」


私たちはそれぞれ飲み物を頼んで綾を待つことにした

そして数分他愛もない会話を3人でしていると少し小走りで

綾が店内に入ってきたのが見えた


「あっ、綾来たみたい」


「綾ちゃんこっちこっち~」


「よう、生徒会長!大変だったな」


「ご、ごめんね遅れちゃって・・」


「気にしないで仕事だもん仕方ないよ」


「うんうん気にしないでいいよぉ」


「そういうこと、綾はいちいち気にしすぎだよ!」


「ありがとう」


「綾もなにか飲む?」


「あ、うん、じゃあアイスコーヒー」


「はい、アイスコーヒーね」


私はベルを鳴らし店員さんにアイスコーヒーを注文する


「ところで恵美話って?」


「そうそう実はさ、あの遊園地のアトラクションに

ミラーハウスってあったじゃん?」


「そういえばあったわね、私結局一度も入らなかったけど」


「え~かおり入ったことなかったの?」


「うん、愛美はあるの?」


「もっちろん♪結構たのしいよ~」


「お前は何でも楽しいんだろ・・」


「ちょ!そんなことな~い!」


「はいはい、そうですかっと」


「でさ、そこってちょっとした噂があってね・・」


「噂?」


「あ・・私しってるかも中で声がするって噂かな?・・男の子の」


「お?そうそうそれ、綾さすが!」


「なにそれ・・怖い話?」


「ひょっとしてかおりこういうの苦手?」


「う、うん・・ちょっとね・・」


「まあ、あくまで噂だからさ、でも気にならない?」


「きになるきになる♪」


「愛美・・なんで楽しそうなのよ・・」


「で、せっかくだから入ってみない?って話」


「賛成!入ろう入ろう♪」


「私はそういうのはちょっと・・」


「わ・・私もちょっと怖いかも・・」


「なんだよ・・かおりも綾も大丈夫だって!そんなのただの噂だし

 あたしと愛美含めて4人もいるんだし」


「う~ん・・ちょっとだけなら・・」


「みんな行くなら私もちょっとだけ」


「よし!決まり、じゃあ当日ミラーハウス入ってみよう」


「お~♪」


「乗り気なのは愛美と恵美だけだけどね・・」


「でも恵美ちゃんが言うようにただの噂だし

 閉園するまで何もなかったんだし大丈夫じゃないかな?」


「まぁたしかにね・・それに危なそうだったらすぐに出ればいいしね」


「うん」



それから2週間学校が夏休みにはいった、夏休み3日目が全員の

都合がいいということでその日夜のドリームランドに忍び込んだ。


「なんだか昼間とずいぶん雰囲気ちがうね~」


「な・・なんだか不気味だね暗いし人が居ないからかな・・」


「かおり!後ろ!」


「ひっ!な、なに!」


「ぷっ!かおりびびりすぎ」


「ちょっと!恵美!やめてよ!そういうの!」


「ごめんごめん、なんか一人だけ無言でおとなしいからつい」


「やっぱり昼間とはぜんぜん違うなぁって思ってただけだから・・」


「ねえねえとりあえず色々観て回ってから噂のミラーハウスいこうよ♪」


「そうだね、じゃあとりあえずあちこち見てみよう」


「私と綾は後ろからついて行くよ」


「なになにかおり怖いんだ~♪」


「こ、怖いわけじゃないけど二人ほど興味がないだけ!」


「なんだよ・・まあいいや、じゃああたしたちが先に行くから

 しっかりついてきなよ」


こうして遊園地内をひとおり観て回る、とまった観覧車や

少し劣化して色の薄くなってしまったメリーゴーランド

誰も人の乗っていないジェットコースターなど閑散とした

遊園地は賑わっていた頃の面影などは一切なく静けさと

夜の闇に溶け込み不気味さを感じるほどだった・・。


「ついに来たね♪噂のミラーハウス」


「夜だと雰囲気違うなやっぱり」


「ぶ、不気味ね・・」


「ねぇ・・ほんとに入るの?」


「ここまで来てなにいってるの綾~あったりまえじゃん」


「ただの噂だって大丈夫だよ!」


「う、うん・・でもやっぱり怖いかも」


「恵美!中で脅かすとかなしにしてよ・・」


「しないよ、かおりと綾はほんとにびびりだな♪」


「ね~♪」


「あんたたち二人がおかしいのよ・・」


「よし!いくぞ」


「おぉ~」


「うぅ・・気が乗らない」


「かおりちゃん、離れないようにしようね」


「うん、そうだね」


入り口は錠前が付いていたがなぜか外れていた、少しの違和感を覚えたが

二人の勢いに押され特に気にすることもなく入っていた。

今思えばこの時おかしいと思いやめておけばと今はすごく後悔している・・


「真っ暗だね・・」


「まあ、夜だしねしかし!ちゃんと用意はしてきたよ!」


そう言うとカバンから懐中電灯を取り出す恵美


「ふふん♪ちゃんと人数分あるよ、ほらかおりの分こっちは綾ね

 でこれが愛美の分!」


「おぉ~さすが恵美いざと言うとき頼りになる女」


「愛美・・おだてても何も出ないぞ・・」


「でないかぁ・・残念♪」


「期待してたんかい!」


恵美と愛美のやりとりが夜の不気味な雰囲気を

少し和らげていた


「鏡だらけだね・・」


「ミラーハウスだからね・・」


「ふっまぁそうだな」


「暗くて懐中電灯だけじゃどこがどこだかわからないね・・」


道なりしばらく進んでいると綾が突然口を開いた


「ねぇ・・何か聞こえない?・・」


「え・・ちょっとこんな時に変な冗談は・・」


「ううん、冗談なんかじゃなくて・・ほら」


「ん?あたしには何も」


「しっ静かに・・ほら、また」


「ぁ・・そぼ・・」


「え・・」


「ぁ・・そぼ・・」


「ひっ!」


「な、なんだ!子供の声?」


「ほんとに聞こえる!」


その声はだんだん大きくはっきりと聞こえてくる


「あ・・そぼ・・ねぇ・・」


「いや・・ねえ!早く出よう」


「なんかやばそうだね・・出よう!」


「そ、そうだね出よう」


「早く!」


「どうして逃げるの?あそぼ・・」


私たち4人は全力で出口へと走る!声はどんどん大きくなり

私たちに近づいてくる!


「ねえ!逃げないで!僕と遊ぼうよ!ずっと・・ここで!」


「いやぁぁぁぁ!」


「あっ!」


ドサッ!・・不意に綾がつまづく、恵美が急いで助け起こす


「綾!大丈夫?急ぐよ!もうすぐ出口だから!」


「う・・うん、ごめん」


出口が見えたその時不意に声がしなくなった、4人は息も絶え絶えに口を開く


「声が・・」


「逃げ切れたのか?・・」


「よかった・・」


「はぁ・・はぁ・・なんだったの・・」


一安心して外へ出ようとしたその時!


「ねえ!あそぼ!」


すぐ後ろで声がする!思わず振り返ってしまった、そこには・・


「おねいぢゃん・・あぞぼぉ!」


顔の半分が焼けただれ血を流した男の子がこちらを見つめ

私の袖を掴んでいる!私たちはほぼ同時に声を上げる


「ひぃぃぃ!」

「きゃぁぁぁぁ!」

「うわぁぁぁ!」

「な、なんだコイツ!」


「おい!いそげ!早く!外へ!」


私は声にならない悲鳴をあげると同時にその手を振りほどくと

外へ這い転がるようにように出た・・


「う・・ぐすっ・・」


「外までは追って来ないみたいだね・・だけど、なんだよあれ!」


「し、しらないよ!」


「か、かおりちゃん大丈夫?」


「うっ・・ぅ・・えぐ・・」


「かおり・・ごめんあたしが無理に入ろうなんて

 言わなけりゃこんな・・」


「それなら私だってそうだよまさか噂が本当だったなんて」


私はへたり込んでしばらく動けず泣いていた・・でもこれで終わり

そう思っていた・・


それから数日して夜11時頃だった、不意に綾からの電話

でもその時の綾は少しおかしかった・・


「はい・・あ~、綾?どうしたの?こんな時間に」


「かおりちゃん・・ぅ・・ぐすっ・・たすけて・・声が・・声がするの!」


「え?綾?ちょっと大丈夫声ってなに?」


泣きながら声がするとそれだけをくり返す綾


「綾!しっかりして綾?」


「あの子の声が・・いや・・いやぁぁぁぁ!」


プツン・・ツー・・ツー・・


「綾!綾!」


私はいてもたっていられず上着だけをはおり家を飛び出した


走りながら恵美と愛美に電話をかけ理由を説明した

そして3人で綾の住んでいるマンションの敷地へと入ると

目を疑う光景が広がっていた・・・


「あ・・・綾?・・な・・にこれ・・どういうことよ!

 いやぁぁ!綾ぁぁぁ!」


「かおり!落ち着いて!かおり!」


「綾ちゃん・・なんで・・」


そこには自分の部屋の窓からだろうか・・

飛び降り無残な姿になり物言わぬ綾が倒れていた・・・


「ぅ・・う・・綾・・」


「どういうこと・・何で自殺なんて」


「自殺なんかじゃない!だって綾言ってたもん!

 たすけて声がするって!」


「声?かおり声ってなんなの!」


「わからないよ・・だけど電話で声がするってそのあと電話が切れて・・ぐすっ」


そのあと私たち3人は駆けつけた警察官に連れられ警察署で話をした

声がすると言うような話は信用される訳はなくいいじめや薬物など

そんな現実的話の後自殺として処理された・・・


だけど・・私は・・ぜったいにそんな事はないと確信していた・・

眠れない夜を過ごし次の日私たち3人は集まって話す・・


「かおり、昨日言ってた声がするって他に何か分からないの?」


「そういえば・・あの子って・・」


「あの子?」


「うん・・最後にあの子の声がするって・・」


不意に愛美が声を上げる


「ねえ・・もしかしてあの子って」


「何だよ愛美何か心当たりがあるの?」


「ほら、裏野ドリームランドで・・」


「まさか!あの時の子供だって?」


「ううん!きっとそうだよ!じゃなかったら愛美ちゃんが自殺なんて・・」


「私も・・そのことを考えてた・・」


「おいおい・・かおりまで・・」


「どうしよう・・次は私の番かもしれない・・」


恐怖と不安で震える私に恵美が声をかける


「かおり、大丈夫だよおちつきなよ、幾らなんでもそんな事」


「でも綾が・・綾はそのあとあんな事に・・」


「それは・・」


大して状況を整理できないままその日は解散し各自で調べてみることにした


そして二日後恵美から電話があった


「はい、恵美?」


「かおり!あの話で少し分かったことがあるんだ今から会える?」


「わかっ・・」


そう言いかけたその時だった

男性の叫ぶ声そして恵美の声


「あぶない!!」


「え?!」


ガシャーン!カランカラン!カン!カラカラ・・

突然何かの落下音とともに金属音が響く・・


「恵美?ねえ!大丈夫?ちょっと!恵美!恵美ー!」


即死だった・・・下を歩いていた恵美の頭上に突然ワイヤーの切れた

鉄パイプの束が落ちたのだ・・・こうしてあの時一緒だった4人は

私と愛美の二人だけになった


「どうして・・恵美までこんな・・」


「かおり・・」


私と愛美はどうしていいかわからず途方にくれていたそして私は

恵美が最後に言っていた言葉を思い出す


「恵美最後に言ってた・・分かったことがあるって」


「分かったことって?」


「会って話すはずだった・・だけどあんな事に・・」


「恵美ちゃんが残した何かないのかな?」


「警察の人に聞いてみよう」


始めは遺品の閲覧は厳しいと言われたが私は必死で掛け合った

そして関係者立会いのもと警察の目の届く所でならと閲覧出来る事

になった、私は恵美のご両親にお願いしなんとか了承を得た

始めは悩んでいた様子の両親だったが仲のよかった友人のかおりちゃん

ならと許してくれた


一つ一つ調べていると気になるメモが出てきた


「これは・・」


「かおり、何か見つかったの?」


そのメモにはこう記されていた

昔あのミラーハウスのあった場所は小さな木造の校舎があり

ある日、給食室からの火災により全焼したのだと言う・・その日は

雨がしばらく降らなかったせいか乾燥していて火の回りが速く

一人の子供が逃げ遅れ亡くなったのだと


「ねえ、かおりこの亡くなったって言う子があの子なのかな?・・」


「うん・・このメモ、多分そうだと思うの」


「でも、これだけじゃどうしたらいいかわからないよ・・」


「資料があるかもしれない、図書館でもう少し調べてみよう」


私と愛美は図書館へ行き当時の新聞などを読みあさった


「愛美!これ!」


「あ!これ当時の事件記事だね」


○○県××市に住む△△小学校4年生、関根祐斗せきねゆうと君が

火災により逃げ遅れ死亡・・両親悲痛の胸のうちを語る


「でもこれだけじゃ何も出来ないよ・・」


「事件は10年くらい前・・」


「当時を知ってる人とかいないのかな」


「愛美、この県の市長さんとかに聞いてみようよ」


「そうだね、今はそれくらいしか出来ないよね」


こうして私たちは市長さんを訪ね当時を知っている人がいないか確認をした

すると一人だけ当時この学校の校長でその後市長に数年就いていた人が

退職し偶然にも今は近所に住んでいると言うことがわかった

私たちはその人に会いに行った


インターホンを鳴らし少し待つと声がした


「はい、どちらさまでしょうか・・」


「あの、はじめまして・・私たち△△小学校のことを調べていて

 当時校長先生だったと伺ったのですが、お話をお聞かせ頂けませんでしょうか?」


「・・・・・少々お待ちください」


しばらくして車椅子に乗った70代位の男性が出てきた


「立ち話も難でしょうどうぞお上がりください」


「ありがとうございます、お邪魔します」


「お邪魔しまーす」


「それで?何が聞きたいので?」


「はい、あの、当時火事がありましたよね?

 その時に亡くなった関根祐斗君についてなんですが」


「祐斗君の件ですか・・ええ・・確かに火事がありました・・

 そしてその時運悪く一人のお子さんが逃げ遅れた・・」


「その祐斗君について何か詳しいことが分かりませんか?」


「・・・なぜ見ず知らずのあなた方がそんなことを?」


「信じてもらえるか分かりませんが実は私たち・・」


私はドリームランドで体験した事その後調べるとそこに当時学校があった事

さらに二人の友人が不可思議な死に方をした事を話した・・・


「なるほど・・そういう事ですか・・まだあそこにいるんですねあの子は」


「信じてもらえるんですか?」


「実はね、同じようなことがあったんですよ・・8年位前取り壊される前の

 校舎跡にたまたま来ていた若い方々がいましてね・・」


話を聞くうちに裏野ドリームランドが出来る少し前、取り壊しになる予定だった

校舎跡に肝試しという理由で遊びに来た学生3人がその後不自然な亡くなり方を

したのだと言う


「わたしたちと同じだ・・・」


愛美が震えた声で言う


「何か方法はないんですか?」


「確信はありません・・ですが当時祐斗君はあるものを

 持ち出そうとして逃げ遅れたのだとか・・」


「あるもの?なんですかそれは!」


「写真です・・母親の、祐斗君の母親は早くに病により亡くなっていましてね

 お父さんもお忙しい方だったようでいつも一人でした」

「そんなあの子が唯一拠り所にしていた物が写真だったようです」

「実はその後現場の捜索の際アルミケースに入っていたため奇跡的にたいした損傷はせず

 残っていたその写真が見つかりまして」

「父親は息子の死を思い出す物は持っていたくないと言うことで私が預かることになったのです」


「その写真見せていただくことはできますか?」


「わかりました・・今お持ちします」


私たちはその写真を見せてもらった、どこかの病室だろうかベットの上に体勢を起こし

カメラにむかって優しく微笑む綺麗な女性の姿が写っているその横には祐斗君と思われる

男の子が満面の笑顔で座っていた


「あの、祐斗君のお墓ってどちらに?」


「あぁ、学校があった場所、今は遊園地でしたか?」

「そこから少し離れた場所に高台になった墓地があるのですが」

「そちらに母親と共に埋葬されたとお聞きしましたが・・」


「あの、もしよろしければこの写真をそのお墓に持って行きたいのですが」


「そうですね、あの子の父親は連絡先を告げずその写真を置いて行かれましたし」

「そのほうがあの子も喜ぶかもしれません、どうぞお持ちください」


「ありがとうございます!それでは失礼いたしました

 私たち祐斗君のお墓に行ってみます」


「いえいえ、何もお構い出来ませんで」


「お邪魔しましたー」


こうしてそのドリームランドの近くにあると言う高台の墓地へ

向かい祐斗君のお墓を探した


「あった!かおり多分これじゃない?関根家ってかいてあるよ」


「ほんとだ、あった!間違いないと思う」


お墓を見つけた私たち、しかしそのお墓は見る影もなく荒れ果て

枯れた花、雑草が生い茂り草が墓石に巻きついた状態で何年も

手入れがされていないようだった・・


「なに、これ、ひどい・・」


「かおり、これって・・」


「うん、しばらく誰も来てないみたいだね」


「ねえ、綺麗にしてあげようよ」


「そうだね~これじゃあまりにかわいそうだよね」


こうして私たちはお墓を綺麗に掃除し花を手向け写真を置いた


「祐斗君、祐斗君の大事にしてたお母さんの写真だよ」

 遅くなってごめんねここにおいて行くからね」


「安らかに眠ってね祐斗君」


私たち二人は手を合わし祐斗君の冥福を祈ったそしてそれから

しばらく不可解なことは起こらなくなった


そして次の年の夏私の元に愛美からの着信があった、しかし出ると相手は

愛美の母親だった・・


「かおりちゃん・・愛美が・・愛美が交通事故で・・うっ・・うぅぅ」


「ぇ・・・」


私の耳に飛び込んできたのは信じられない言葉だった、愛美が

交通事故で亡くなった・・そんな内容の話だった・・


「あの・・どういうことですか!愛美が事故って!」


「朝行ってきますって笑って出て行ったのに・・ぁあ・・う・・ぅう」


電話の向こうで号泣する母親、私はひとまず電話を終わらせ急いで病院へ走った

しかし私が見たその光景はとても信じられるものではなかった・・・


「うそ・・愛美・・」


そこは病室ではなく霊安室ベットに横たわる愛美、顔には白い布がかかっている・・


「愛美?ねえ!愛美ぃ・・返事してよ・・どうして!」


赤信号で進入してきたダンプカーにはねられ即死・・運転手の居眠り運転が

原因だと言う・・たまたまそこを歩いていた愛美が運悪くと言うことだった


「どうして・・終わったんじゃなかったの?」


ついに私一人になってしまった、もう何もかもが分からない・・

最後は私・・だけどもうどうでもいい・・もう誰もいない・・

そんな精神状態が数日続いたある日の夜・・私は何かに導かれるように

高層ビルの屋上にいた・・


「かおり~こっちこっち」

「かおりちゃん」

「かおり~こっちだよ~♪早くしないとおいて行っちゃうぞ」


「みん・・な・・待って・・私をおいて、いかないで・・よ」


ドサッ!・・・


「きゃあぁぁぁぁ」

「おい!誰か飛び降りたぞ!」

「救急車をだれか!救急車を!」


・・・・・・

・・・・

・・・

・・


「一緒に・・ザザ・・遊ぼう・・ガピー・・おねえちゃん・・」

「ぼくと・・ず・・ザッ・・っと・・・プツン・・ツーツーツー・・」



私の姉はこの事がきっかけで心の病を患いそのまま帰らぬ人となりました・・

この日記を見るまでは立て続けの友人の死が姉を追い詰めたそう思っていいましたが

きっと姉の死の原因は・・・・・




黄泉へと誘う声 完

読んでいただけた方ありがとうございます、今後も不定期でちょこちょこ書いていこうかと

思っていますので見つけたら読んでみてくださるとありがたいです、それではまた会う日まで。

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