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運命を超越するささやき声

「間違いはないか」


 俺は自分のスマートフォンを眺めながら思う。

 彼女達と別れたあと、ゲームをクリアした何人かに話を聞いたが、回答は同じだ。

 “左を押した” 正解はこれらしい。


「そういえば」


 質問した人に変な交換代償を持ちかけられたな。

 ここを無事に出られたら、招待を受けてくれだっけか。

 変わった人間もいるもんだ。俺の低スペックなスマホでプレイできるゲームだといいけど。


「…………」


 緊急停止ボタンを連打するが反応は全くない。扉といいこの停止ボタンといい、何かがおかしい。

 機械の不調、という一言では片付けられない気がする。

 何にしろこのゲームをクリアしない限り、生きて脱出はできないらしい。


「よし」


 もう一度左手に持ったスマホの画面をしっかりと見る。

 右上の数字は51に減っていた。これが一体何を表しているのか分からずじまいだ。

 生き残る上で必要な情報じゃないことを祈ろう。


「…………」

 

 高鳴る心臓とは裏腹に、車内は一定の落ち着きを見せていた。

 悲鳴も随分と減り、話し声がよく聞こえるぐらいだ。ぱっと見回した限り、変な人間はいない。

 あの女みたいなのはもう懲り懲りだし、ありがたい。


「覚悟を決めろ、俺」


 自分のスマホの画面には最初と変わらず、


  『ゲームヲハジメマスカ?』    51


  『ハイ』        『ハイ』


 が表示されている。

 一歩間違えれば死が待っている。

 けれど、生き残れる方法を俺は知っている。


 左を押す、それだけだ。

 唾を飲み込む。我ながら肝が小さい人間だ。

 ここまで緊張するとはな。


 俺は目を瞑り左を押そうとした瞬間――――


『右を押すんだ』


 という声が聞こえた。




「あっ……」


 声に反応してしまい、俺は


 右 を 押 し て い た


 幻聴なのだろうか。違う、と思いたい。

 透明感のある声だったが確かに人の声だったと思う。


「ふう、ふう……」


 そんなことよりだ。

 右を押してしまった。目を開き画面を見ると、やはり右を押している。

 指を、右手の人差し指を離せば俺は死ぬ。


「…………」


 そういえば、前に聞いたことがある。

 上手く指をずらせばボタンは反応しないと。

 ……試してみるしか、ないだろう。


 俺は慎重に人差し指を動かし――――ダメだった。


「はっ……」


 ボタンは反応してしまい、俺はスマホを床に落とす。

 

 鈍い音が、空っぽの胴体へ静かに響き渡った。 

 

次の話で打ち切り御免!

と考えてました。oh

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