第06話 初めてのおつかい
「よし、もうすぐコートフォルムだ。ようやく一息つけるぜ」
俺がシュトロックを発ってからはや2ヶ月。
俺達はコートフォルムという街に近づいていた。
ようやく街らしい街に着いたか・・・今までは街というより村だったからな。
「ここで消耗品を補充して、剣も鍛冶屋で砥いでもらわないとな・・・あぁ、あと食料もか」
道中で盗賊が出なかったとはいえ、狼や弱い魔物は出たので、武器もそれなりに手入れをしないといけない・・・らしい。
護衛の2人がちょっと走って行って切り捨ててきてたみたいだから、俺魔物見てないんだよなぁ。
この時代の魔物がどんなもんか見ておきたかったんだが・・・まぁ、優秀な護衛ってことか?
「そうだねぇ、ポーション類は使ってないからいいとして・・・あとは馬車の整備かね」
「うーん、そうなると最低でも3日は逗留しなきゃだめだな」
「年の為に宿は5日取っておこうよ。羊の草むら亭なら馬車も置けるだろうし」
「なんだその名前の宿は・・・」
「なんだイース、知らないのか?あそこは飯がうまい割に宿代が安いんだ。結構大きな箱だから、馬車なんかも停めておけるしな」
「シュトロックから出た事のないイースが知る訳ないだろう、バカが。あそこは一人一泊銅貨2枚だから・・・5泊だと・・・えーと・・・」
「バカはどっちだ。計算もできねぇくせによ」
「なんだって!」
「はいはい、じゃれるなじゃれるな。一泊銅貨2枚なら3人5泊で銅貨30枚だろ。あとは馬車の駐車代と馬の飼葉、あと食事なんか込みだと・・・大体銅貨50枚、銀貨で5枚もあればいいんじゃないか」
「う、そ、それが言いたかったんだよ」
「おっ、イース、お前計算できるのか?」
「この位普通だろ?」
「そうでもない。その速さで暗算できるなんて、商人でもそう見ないぜ」
「あ、アタシだって時間をかければ・・・」
「よく言うぜ。俺らがパーティー組むきっかけになったのは、お前が商人にボられそうになってるのを助けたからじゃねぇか」
「ボられてない!あれはあそこから反撃する所だったんだ!それを・・・」
「はいはい、街に入るぞ、お前ら。その羊のなんたら亭ってとこに早く案内してくれ」
2人はじゃれながらも門番にギルドカードを提示し、街に入る。
俺も同行者ということでそのまま入っていいようだ。自分で言うのも何だが、どう見ても子供だし、この2人の信用があるせいだろう。
ちなみに俺は街や村に入る際、面倒をさける為にローブのフードをすっぽりかぶっている。街に入る度に忌み子だ何だと言われたら面倒だしな。
「あ、そうだ、イース。計算できるならマイムについて買い物行ってきてくれよ。俺は馬車で宿取っとくからさ」
「お、そりゃいいね。時間も短縮できそうだし、イースと買い物なんて楽しそうだ。じゃ、行こうか、イース」
「えぇー・・・めんどくムグッ」
「ほらいくよイース!」
「おー、ゆっくりいってこーい」
「モガモガ!!」
俺は後ろからマイムに締め・・・いや抱きかかえられ、馬車からどんどん離れていく。
「まずはどこに行こうかねぇ・・・この街も久しぶりだし、まずは・・・飯だね!!」
「モゴグ、モグモゴモガ!」
「うん?ミートパイがいいのかい?ここはパイが有名な所が多いからね」
「モガ・・・っぷはぁ!違げぇよ!何でまず飯なんだよ!っていうか離せ!周りの目を考えろ!!」
「先に買い物したらかさばるし、鍛冶屋に行くと時間かかるし、最近野宿だったからロクなもん食ってないし・・・まず飯だろ?」
「う、うーん、そう言われると飯でも・・・いや羊のなんたら亭で食うんだろ?っていうかいい加減に離せ」
「なぁに、こんなもんオヤツだよ。おっちゃん、ミートパイ2つおくれ!」
「オヤツ呼ばわりは心外だがよ、味は病みつきだぜ。ほい銭貨2枚だ」
「ほら、イースも食ってみな」
「食うから離せ」
「えー、もうちょっとくらいいいじゃないか」
「服にパイの汁つけるぞ?」
「う、わかったよ、ほら・・・あぁ、子供の温もりが・・・」
「子供じゃねぇ」
「小さい頃はみんなそう言うんだよ」
「あー、もうめんどくさい!冷めないうちに食うぞ!」
そう言うと俺はマイムからもらったミートパイにかぶりつく。
サクサクとした生地の歯ごたえと共にバターの香りが口いっぱいに広がり、そこに肉汁と絶妙な塩気が舌をくすぐる。
「ぐ・・・うまいじゃないか・・・」
「はっはっは!だから言ったろう?ここはパイがうまいってさ」
「うまいと言ってくれるのはありがたいし、この街を褒めてくれるのもうれしいが・・・俺の店の味がいいんだよ。そこん所忘れんなよ」
「言うねぇ、おっちゃん」
「こちとらここでパイ一筋30年だってんだ。あたぼうよ」
「むぐむぐ・・・この味は、ブルホーンの肉・・・か?」
「おっ、坊主、いい舌してるじゃねぇか。全部って訳じゃねぇが、何割かは使ってるぜ。普段からブルホーン食ってるなんて贅沢してんな」
「アタシらに隠れていつの間にそんなもん食ってたんだい?」
「いや別に隠れて食ってねぇよ。昔、ちょっと食べたことがある位で」
「あー、まぁ屋敷なら出てもおかしく無いね」
まぁ、食ってたのは前世だけどな。
ちなみにブルホーンは牛に似た魔物で、強い個体程肉の味が良いとされている魔物だ。
草原に群れで生息しており、一匹一匹はそこまで強くないが、群れの突進力は軍隊をも壊滅させる威力がある。
食肉需要もある事から、年間を通して一定の討伐以来がある魔物だ。
火と水の複合魔法で倒すと、肉が若干蒸されて焼くといい塩梅になったのを覚えている。
魔法使えるようになったら倒しにいくのもいいな・・・主に食用に。
「ごっそさん。まだ何日かいるからまた食いに来るよ」
「おう、坊主。次は野菜入りのパイも食えよ、でっかくなれねぇぞ」
「余計なお世話だ!じゃあな」
その後、俺とマイムは魚パイの屋台やら果実パイの屋台やらクレープパイの屋台やらで買い食いしながら鍛冶屋に向かった。
っていうかもう食えねぇから。マイムは大人だし冒険者だから余裕なんだろうが・・・
それよりパイの屋台多すぎだろ。むしろパイしか売ってねーぞ。この街の奴らはパイしか食ってないの?身体がパイでできてるの?
でも、こんなのもたまにはいいもんだな。よく考えてみれば、街を散策なんて生まれ変わってから初めてだしな。マイムも意外とそんな事情を汲んでくれたのかもしれない。
「あ、ほらイース。焼き飯パイがあるよ!」
「さすがにもう食えない。食いたいなら買ってこい・・・って、それパイにする必要あるのか?」
「まぁ、パイが名物だし・・・うまいんならいいんじゃないかい?」
やっぱり食い意地に導かれているだけかもしれない。
ちなみに一口もらった焼き飯パイは悔しい事に結構うまかった。不思議。
「あ、ここだよ。このアイアンキングはドワーフのくせに人の街に住み着いてる変り者がやってるのさ。腕は確かだけどね」
「いらっしゃ・・・なんだ、おめぇか。今日は金持ってきたんだろうな?」
「ドワーフのくせに昔の事をいちいち蒸し返すんじゃないよ。男らしくない」
「けっ!俺様の素晴らしい技に対価を差し出すのは当然の礼儀だ。職人ナメんな・・・で、そこの坊主はお前ぇのガキか?ついにあのフリッツとくっついたのか」
「はっ!アタイにこんな大きな子供がいる訳ないだろう。もう耄碌したかい?それにフリッツとはそういう仲じゃないのさ」
「じゃあとっとと出すもん出して帰りな。ここは託児所じゃねぇんだ」
「あぁ?」
「こら、落ち着きなイース。こいつは口が悪いだけで他意は無いんだ。ドワーフなんて皆こんなもんだよ」
「はんっ、お前ぇも大人になったもんだな」
「コラッド。言っとくがこの子は私らの依頼主だ。今回の修理費も元をたどればこの子が出すんだからね。あんまりからかうんじゃないよ」
「はぁん?貴族のお坊ちゃまか何かかい。そりゃぁご大層なこって」
あー、久しぶりにカチンときたわ、このクソヒゲ。なんでこいつは初っ端からこんなに喧嘩腰なんだ。
ここまで言われたら実力行使・・・はできないからご自慢の作品でもけなしてやろう。
店を軽く見回すと、刃渡り40㎝程のナイフに鈍色の石の付いた短剣が目に入る。
「はん!しかしその素晴らしい技をもつおクソヒゲ様の割には随分チンケなもん並べてるじゃないか。そこのファイアナイフなんて何だ?子供の玩具か?精霊石の中の火精霊がてんで纏まって無い。刃との親和性も無く、ただくっ付けてるだけじゃないか。あれじゃぁ湯も沸かせないぜ。ここは鍛冶屋じゃなくて玩具店だったのか。じゃあもっと愛想よくしたほうがいいんじゃないか?その汚らしいヒゲにリボンでも付けてよ」
「い、イース・・・ドワーフに作品とヒゲの悪口はまずいんじゃないかい・・・」
「何だと!てめ・・・まて、そのナイフの出来が分かるのか?」
「んなもん見れば一目瞭然だろ。捨て値で置いてる所を見ると、作品の出来位はわかるようだがな」
魔術付与のされた武具は比較的高額だ。付与の種類にもよるが、鍛冶屋だけでなく魔法使い何かも制作に関わるし、何より素材が高額だ。見たところこのファイアナイフは一般的なナイフに火精霊を封入した精霊石を付けて火属性にするオーソドックスな作りらしいが・・・これじゃあファイアナイフというよりヒートナイフだろう。
「ありゃぁ弟子の作品でな。初めて属性付与を試させたんだが、魔法石の仕入先も運悪く普段使ってる奴が品切れと抜かしやがってな。練習だからと新しい所から仕入れて作らせてみたんだが・・・坊主の言う通りてんで駄目よ。それこそ玩具と言われても仕方がねぇ。それでも初めての作品は誰かに使ってもらいたいってうるせぇんで情けで並べさせてやったんだが・・・いや、確かに並べるのを許したのは俺だ。責任は俺にある。お前の言葉は真摯に受け止めよう」
「ふん」
どうやら職人の誇りは辛うじてあるようだな。急に殊勝になりやがって、このクソヒゲ。
「まぁまぁ、イース。こいつは口が悪いが、腕は確かなんだ。こいつも言い過ぎだと思うが、イースが子供なのは事実だし・・・許してやっとくれよ」
「あぁ、ガキだ何だとすまなかった。お詫びに何か店のものを一つやろう。こいつの剣の手入れもただでいい。その歳でそこまでの鑑定眼があるのは素直に感心した」
そう言ってドワーフ・・・コラッドは俺に頭を下げる。
まぁ、謝るんだったら許してやらんことも無い。
「・・・わかった、謝罪を受け入れよう。あと、俺は貴族じゃない」
「貴族じゃないのにこいつらを雇うだけの・・・まぁ、いいか」
「まぁ、色々と事情があるのさ。で、コラッド。アタイの剣だけじゃなく、もちろんフリッツの剣もだよな?」
「あー、はいはい、わかったよ、やってやるよ。あのフリッツにも後で来るように伝えとけ」
「へへっ、サンキュー。得したぜ」
「ほれ、坊主・・・イースだったか?好きなもん選べ」
「んー、じゃあ、このファイアナイフをもらおう。あと、少し鍛冶場を貸してくれ」
「うん?散々こき下ろしたそれでいいのか?まぁ、お前ぇがそれで良いなら別にいいんだが・・・それだけじゃ何だ。他にももう一つ持ってけ」
「いいのか?言っちゃぁ何だが、これ完全に赤字だろう」
「さっきも言ったが、それは弟子の記念みたいなもんだ。使ってもらえるだけ幸せだろうよ」
「じゃあ遠慮なく。うーん、もう一つとなると・・・お、このグローブ・・・おい、何だこれ、もしかして竜皮じゃないか?」
「おう、そりゃぁ鎧に使った竜皮が半端に余ってな・・・もったいないんでグローブならいけるかと思ったんだが、やっぱり少し足りなくて片手だけだ。それも女子供サイズ」
「うん、じゃあこれで」
「お前ぇも妙にキワ物ばっかり選ぶな・・・こっちは不良在庫がはけていいんだがよ」
「俺が普通の剣や斧なんて振れる訳無いだろう。心得もないし、鎧じゃ重くて動けないし」
それにグローブならマナ・レストレイションを使う時にも便利そうだしな。竜皮製だし。
「まぁいい。次はちゃんと客として来な。いいもん作ってやるからよ。で、後は鍛冶場だったか・・・貸すのはいいが、何か作るのか?」
「いや、鍛冶は流石にできないよ。ちょっと火を貸して欲しいだけさ」
「火を?まぁいいが・・・ほれ、こっちだ。あぁマイム、お前の剣もあずかろう」
「はいよ。どの位でできる?」
「そうだな、今ちぃとばかし立て込んでるから・・・3日ってとこかな」
「わかった、フリッツにも伝えとく」
「おう」
俺とマイムは喋りながらコラッドに先導され、鍛冶場に足を踏み入れる。
店とは違い、火のむわっとした熱気が充満しており、何人かの職人が作業している。ここはこの街でも比較的大きい工房のようだ。
「んーと、ここでいいかな」
俺はマイムとコラッドが興味深げに見守る中、先程もらったファイアナイフを炉の近くの地面に突き刺す。
「よし、じゃあやるか・・・『檻に囚われし火の精霊よ。今その軛を解き放ち、弾けて混ざれ。循環せよ。そしてその刀身と檻を新たな住処とし、新たに私の力になっておくれ』」
俺は少ない魔力を糸の様に伸ばし、精霊石の中の火精霊と炉にいる精霊を循環させ、精霊石に新たな火を灯す。
精霊を導いて整えるだけだから、多分今の魔力でも何とかなるだろう。
「お、こりゃぁ凄げぇ・・・固着化した精霊を解放して再付与した・・・?こんな事ができるのかよ、エルフか?いやエルフでも・・・」
「ん?何か凄いのかい?」
「普通、精霊石ってのは精霊を閉じ込めたらもうどうにもできねぇんだ。砕いて使いつぶすか、武具に使うか・・・封じ込めた魔法使いの腕で封入済精霊石の品質も変わってきちまう」
「へー、意外な才能だねぇ。イースはれっきとした人族だから、天性の才能なんじゃないかね」
「それにしたってこんな・・・いや、実際に目の前で起きてるんだ、認めるしかねぇか」
「そうだよ、イースは凄いんだよ。可愛いし」
「わかったわかった、俺の完敗だよ。人を見る目はある方だと思ったんだがな・・・」
外野をよそに、俺は精霊を導き、循環させて整えていく。
俺の魔力が無くなる頃、元々鈍色だった精霊石は熟れた林檎の如く真紅の輝きを放っていた。
「・・・・・・ふぅ、こんなもんかな」
「まさか本当に再付与しちまうとは・・・」
「今更金払えったって払えないぞ?」
「まさか。ドワーフに二言はねぇ。それに、こんな事ができる奴なんて見たことねぇよ・・・どうだ、今度別の精霊石もやってみないか?」
「おい、俺を仕事に使うな。それに、あと数日もしたら学迷都市に行かなきゃいけないから、そんなに滞在しないしな」
「そうか、学迷都市に・・・そりゃぁ残念だ。また近くに来たら寄りな。生まれ変わったこいつをシェリーに見せてやりたかったな」
「シェリー?あぁ、その制作者って弟子か。別に見せるくらいいいが・・・」
「あぁ、昨日から別の街に配達でな。もう1週間程は帰ってこねぇ」
「そうか。まぁ、また寄った時にでも居れば見せるさ」
「すまないな」
「じゃあ俺達はそろそろ・・・おい、マイム!行くぞ!」
「じゃ、また3日後取りに来るからね。よろしく」
「あぁ、キッチリやってやるぜ」
その後、俺達は消耗品の補充やら、羊の草むら亭の料理―ちなみにパイだった―に舌鼓を打ったりしながら過ごし、コートフォルムを後にする。
一路、学迷都市シャザラーンを目指して。
◇◇◇◇◇◇◇◇
俺はまた馬車に揺られながら、ぼんやりと空を見上げる。
馬車は楽でいいけど、暇なんだよなぁ・・・ドラゴンでも召喚できればもっと早く着くんだけど・・・魔力がなぁ。そういえば召喚ってできるのか?魂で盟約を結んでるから大丈夫だとは思うが・・・
そこで俺は、生まれてこの方自分の魔法の考察をしていなかった事に気づく。
あと1週間もすれば学迷都市に着くだろうし・・・その前に最低でも封印解放したらどうなるか位は確かめておかないと。イザという時に何もできないな。
そう思い立った俺は馬車の荷台に腰かけながら、魔力の外殻封印を解除する。
「『第三外殻封印限定解除―リベレイション!』」
俺は自ら改造した精霊封印だったよく分からない魔法の封印を解除してみる。危ないから外殻封印だけだ。いきなり全部解除したら身体がはじけ飛んでもおかしくない。
外殻封印を解除した途端、身体の中から魔力が噴き出すのがわかる。
何かを感じ取ったのか、馬が嘶き、馬車を止めてしまった。
「うぉっ!お、おい、どうしたんだ!どうどう!!」
「ん、なんだい?盗賊か魔物かい?」
「いや、どうもそんな感じじゃないな、何かに怯えたというか、驚いたというか・・・」
「そう言われてみれば何かこう、空気がかわったね」
「だな。しかし危険は感じないな・・・」
この2人は魔法使いの素養が無いようで、魔力を感じ取れないようだ。
いや、少し違うか。殺気を伴った魔力なんかは感じ取れるんだろうが、純粋な魔力感知はできないのだろう。
外殻封印を解除すると、一般的な高位魔法使い並の魔力は使えるっぽいな・・・体調に変化もないし、これならいけるか?
と、思った矢先。心臓がどんどん激しく脈打っていくのがわかる。
あ、これちょっとまずいかも・・・
「・・・がはっ!」
「ん?イース!?」
「おい、どうしたイース!何があった!!」
やはり体が耐えきれなかったのか、全身が軋み、目や耳から血が流れ始める。ついには吐血してしまった。
どうやら体中の毛細血管から破裂していっており、出血してしまったようだ。
って、冷静に分析してる場合じゃない!再封印しないと!
「ぐっ・・・だ、『第三外殻封印再匣―リシール!』」
今のこの身体じゃ、外殻封印を解除しただけでも保つのは2分ってとこか・・・奥の手として短期決戦で使う分には何とかなるな。
再封印前に漏れ出た魔力で治癒魔法を―って、何かクラクラする・・・
「おっ、おい!しっかりしろ、イース!おい!マイム!ポーション持って来い!!」
俺は意識を手放す寸前、視界に入る空を見ながらこう思った。
平穏に生きればこうなる事も無いよな、と。
あ、初めてのおつかいなのに、金使ってない・・・(゜∞゜)
※2015/8/9 通貨をG表記から貨幣表記に変更