第34話 妖精界
今回は下品回です(。・ω・。)ゞ
俺達は泣くシャルを宥めた後、妖精の里に向かって道無き道を進んでいた。
「しっかし、妖精界っつっても俺達の世界と大して変わらねぇな」
「そうね、少し気候が穏やかな位かしら」
「そうだなぁ、あとは、人間がいないから野盗の類は・・・あー、物を盗んでく妖精はいたが・・・珍しい魔獣はいるな」
「魔獣?」
「ほら、あれとか」
「ん?うぉっ!あ、あれは・・・ユニコーンじゃねーか!?」
「ユニコーン!?」
驚くゲインの先には、のんびりと草を食む角の生えた馬の姿があった。
「妖精界ではああいう魔獣・・・というか幻獣か?そういうのが結構いるぞ」
「おい、イース。あのユニコーンの角・・・」
「あぁ、霊薬の元として高値で取引されてるな」
「・・・狩ろうぜ?」
「ちょっとゲイン!時間が無いっていうのに・・・それに幻獣を狩るなんて!」
「あー、まぁ角が欲しいだけなら大丈夫だと思うけど・・・」
「本当か!?」
「あぁ。ユニコーンの角ってのは年に一回生え変わるから、そこら辺に落ちてるはずだ・・・ユニコーンの縄張りだから、断らないといけないがな」
「断る?」
「あぁ、もちろん、本人にさ・・・おーい!食事中悪いんだが、2、3本角もらってっていいか!?」
俺がユニコーンに声を掛けると、ユニコーンはどこか馬鹿にした様にブヒヒンと鳴き、そっぽを向く。
「あの駄馬・・・いや、仕方ないか・・・よし、リズ、シャル。色仕掛けだ」
「いっ、色仕掛け!?」
「あぁ。ユニコーンは無類の女好きでな・・・男がいくらお願いしても大体話を聞かないんだ」
「やってみる」
「シャル!?」
「色仕掛けくらいで角がもらえるならいい・・・お馬さん」
「ブルッ?」
「うふ~ん」
「ブヒヒヒヒン」
シャルが無表情のまま身体にしなを作り―凹凸に乏しいのであまりできていないが―ユニコーンに色仕掛け?を仕掛ける。
が、ユニコーンはこちらを一瞥しただけで、また馬鹿にしたように鳴いて食事に戻った。
「・・・馬肉にしてやる」
「シャルお嬢!落ち着け!!」
「・・・どうやらあのユニコーンは巨乳好きみたいだな・・・よし、リズいガッ!」
「わたしはまだ成長期」
「誰も貧乳なんて言っ―わかった!俺が悪かった!だから杖を降ろせ!」
無表情のまま、どこかむくれて杖を掲げるシャルから逃げ惑う俺。
この役回りはゲインだろ!?
「ほれ、お嬢。頼んだぜ!」
「何か釈然としないけど・・・ユニコーンさん!角、もらっていいかしら?」
そういう割にノリノリで髪を降ろし、胸当てを外したリズは両腕を組んで胸を強調するように下から少し持ち上げる。
おぉ、夜会の時にも思ったが、中々の御手前で・・・
カイは若干頬を染めながら目を瞑ってブツブツと何かを唱えている。
僧侶には刺激が強すぎるのか?
「・・・ゲイン、イース、最低」
「なっ!」
「おっ、俺はただ成否を見守ってるだけで・・・!」
「イースは、むらむらしたらわたしで発散してもいい」
「ぶっ!」
「何言ってるの!?」
「ちょっとうるさい!静かに!」
「あー、あついわ・・・」
「ブルッ!?」
リズがわざとらしく胸元をあけると、今までこちらを見向きもしなかったユニコーンがリズを凝視している。
心なしか鼻息も荒い様だ。
「うぅん」
「ブヒッ!」
「・・・男ってみんなこうなの?」
「・・・ノーコメント」
「そりゃぁ、こうして素知らぬ振りをしているリッツの旦那だってブッ!」
「・・・静かにしていろ」
「・・・さいてー」
おっぱいには男の子の夢が詰まっているとです!仕方がなかとです!
「何だか疲れちゃったわ」
「ブヒヒ~ン!!」
「うわっ!」
「えっ、ちょ、きゃぁぁーー!」
「でかしたリズ!そのまま惹きつけておいてくれ!行くぞゲイン!」
「おう!」
「ちょ!ちょっと!これどうにか・・・いやっ!そんな所嗅がないで!」
草原に横たわり、刺激的なポーズを取るリズにもう辛抱できなくなったのか、ユニコーンがリズ目がけて突進し、その鼻先をリズの胸元にうずめ、嗅ぎまわっている。
リズには悪いが、こうして惹きつけておかないと他のユニコーンも呼んで集団に蹴られる事になるからな。
「1、2、3・・・おっ!結構落ちてるぜ!」
「そんなに荷物になっても良くない。3、4本程いただいていこう」
「おうよ・・・で、あれ、どう止めるんだ?」
「いや~~~~!!」
「あー、興奮状態なら異常魔法が効くから眠らせる・・・戻るか」
俺とゲインがリズの元に戻ると、ユニコーンはリズの全身を嗅ぎまわり、股間に鼻をうずめていた。
リッツやカイがユニコーンを押しとどめようと組み付いているが、効果を成していない。
うわぁ、自分でやらせといて何だけど、凄いシュール・・・
「このままじゃ、リズさんが・・・!」
「リッツ!カイ!そのまま抑えててくれ!」
「どうするつもりだ!」
「眠らせる!おい駄馬、こっちを見ろ―『スリープ!』」
「ブヒッ!?ブルルゥン・・・ブゥ・・・」
俺がユニコーンの前に回り込んでスリープを唱えると、ユニコーンの身体が傾ぎ、眠ってしまった。
何とか貞操を守り抜いた?リズを見ると、全身ユニコーンの唾液でベトベトだった。
「あー、その・・・り、リズのおかげで大漁、だったよ?」
「・・・・・・か」
「り、リズ?」
「馬鹿!イースの馬鹿!!」
「うわっ、ちょっ、やめろ、物を投げるな!」
「馬鹿馬鹿馬鹿!イースの馬鹿ぁぁああーー!!」
「うわっ、ちょっ、モルスハインダーは洒落にならな・・・悪かった!俺が悪かったってば!」
「・・・最初から眠らせればよかったんじゃないか?」
「なんでも、興奮状態じゃないと魔法が効かないんだとよ」
「・・・なるほど」
「・・・さすがに今回はリズに同情する」
「ちょっ!悪かったってばぁーー!」
「せきにん!責任!取りなさいよーーー!!」
この後、リズに水浴びを希望されて泉に行ったら水の妖精に悪戯されたり、カイが風の妖精に弄ばれたりと色々あったものの、俺達は5日程の旅路で無事、妖精の里にたどり着く事が出来た。