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魔王が求める平穏生活?  作者: アバン
第三章 火の精霊王編
26/37

第26話 夜会

 「ふむ、ではこれで。しめて金貨43,680枚。白貨払い・・・でも嵩みますな。王札でよろしいですかな?」

 「えぇ、いいわ。680の端数は金貨で用意してちょうだい」

 「かしこまりました」


 俺達は宿にケシュマーが取った部屋でミスリルの商談を終えた。

 値段は金貨43,680枚。一人あたり金貨7,280枚。

 各人で使った分があるから俺やリズの手取りはもっと減るだろうが・・・それにしても法外な金額だ。


 ゲインなんて白目を向いて倒れそうだし、シャルは・・・聞いているのか聞いていないのかよくわからない。

 リズ達3人は平然としている。やっぱり貴族には大した金額じゃないんだろうか。

 ちなみに王札とは、取引額が多い時に用いられる手形の一種だ。白貨でも枚数がかさむ時に利用する。


 「そうそう、これは私からの贈り物です」

 「これは?」

 「皆さまのドレスと礼服ですよ。こちらの町長のご厚意で夜会を開く事となりましたので。お仲間の皆様の分もありますよ。サイズは後で侍女に調整させましょう」

 「夜会ぃ?」

 「あのね、ケシュマー。私達はお忍びなのよ?それを・・・」

 「まぁまぁ。詳しくは存じ上げませんが、お父上には婿探しの旅に出ると言ってあるのでしょう?一度は既成事実を作るのも重要かと」

 「相変わらず耳が早いわね」

 「ミスリルが手に入る婿さがしとは、どんな婿をお望みなのか私には見当もつきませんが・・・この夜会にはコートフォルム周辺の有力者しか集めておりませんので、貴族は私以外に参りません。気楽になさって下さい」

 「・・・はぁ、わかったわ。たまにはダンスもしないと忘れそうだしね」

 「それは僥倖。では、後ほどメイドを寄越しますので・・・男性の皆様はこちらへ」


 やっぱり俺達も強制参加か?面倒な事になった。




 ◇◇◇◇◇◇◇




 「よぉ、イース。似合ってんじゃねぇか」

 「嫌味か?そういうゲインは・・・あんまり似合ってないな」

 「ひでぇな。まぁ場違いなのは認めるけどよ。イースもここ数か月で背伸びたな」

 「もうすぐ成人だしな。ケシュマーが連れて来たメイドに着せ替え人形にされ、忌み子だなんだという視線を向けられ、散々だったよ」


 俺達は町長が用意したパーティー会場に来ていた。

 この街は領主の館が無い為、一番高い宿屋―俺達が泊まっている宿屋だ―のホールを借り切って催している。

 貴族を呼んでいないというのは本当なのか、会場にいる女性は皆どこか野暮ったい。

 チラチラとこちらに視線を寄越すものの、俺の髪のせいか近づいてくるものはいない。


 流石にパーティー会場でフードを被る訳にもいかないしな。

 横に居るゲインはいつもの無精ひげを綺麗に剃り、燕尾服に身を包んでいた。

 さすが冒険者といったところか、体格が立派で似合っているは似合っているのだが・・・何というか、小悪党感が出てるんだよなぁ。


 「イース、王子様みたい」

 「うん?」


 声を掛けられ振り返ると、そこにはシャル・・・だよな?シャルが立っていた。

 普段の眠そうな眼はそのままだが、いつもは好き放題に跳ねている髪が撫でつけられ、ショートボブに切りそろえられている。

 化粧もしている様だ。薄い青のスレンダーなドレスを身にまとっている。


 「シャル、か・・・王子様って、見たことあるのか?」

 「ううん。でも、お母さんがよく聞かせてくれたお話に出てくる王子様みたい」

 「おぉ、シャルのお嬢も見違えちまって・・・馬子にも衣装だな」

 「ゲインに言われたくない。ドレスなんて初めてで動きづらい・・・けど、ちょっと楽しい」

 「うん、よく似合ってるぞ、シャル」

 「う、あ、ありがとぅ・・・」


 褒めた途端に顔を赤くしてうつむくシャル。

 何だこれ、可愛いじゃねぇか。

 シャルも初めての格好に興奮しているのか、いつもより口数が多い。


 「じゃあイース。お食事、いこ?」

 「お、おう」


 何気ない動作で俺の腕に自らの腕を絡めてくるシャル。

 む、胸が!普段は全然存在感の無いお胸様が俺の左腕に当たってる!一応あったんだなシャル!

 中身はおっさんとはいえ、身体は14歳の男の子(健康体)だ。

 生まれ変わってから致して無いし・・・刺激が強いな。

 普段はそんな事気にしないが、シャルも女の子らしい。密着すると、おそらく香水の良い香りの中に女の子の匂いというか、何とも言えない香りが混ざっているような、いないような・・・

 シャルは魔性の子だったのだ!


 「あら、イース。モテモテね?」

 「リズ?うぉ・・・」


 リズの声が聞こえ、そちらを向くと・・・真紅のカクテルドレスに身を包んだリズが立っていた。

 流れるようなロングドレスでは隠し切れない程の胸の隆起があり、その存在感が腰の細さを際立たせる。

 髪も普段の後ろでまとめただけとは違い、セミロングの髪をハーフアップにまとめ、飾り針で止めている。

 夜会に開いた花の様に瑞々しさと香り立つような色気を感じさせる出で立ちだ。


 「もう、女の子に向かってうぉは無いでしょう、うぉは」

 「あ、あぁ、すまん。あまりに綺麗だったもんでつい」

 「なっ、きっ・・・もう!褒めても何も出ないわよ!」


 事実、会場の野郎共の目はリズとシャルに釘づけだ。

 貴族はいないって話だったし、この2人の洗練された出で立ちに惹きつけられているんだろう。

 それに、2人ともこういっちゃぁ何だが、方向性は違うものの大層な美人だしな。


 「イースこそ、会場の女の子の視線を独り占めね?」

 「そんなこと無いだろ。みんなこの髪が珍しいだけだよ。遠巻きに見てるだけだしな」

 「はぁ。自覚は無いのね・・・まぁいいんだけど」

 「リッツとカイは?」

 「カイはお休み。神官が夜会に出る訳にもいかないからね。リッツは・・・あそこでご婦人に囲まれてるわ」

 「あぁ、あの人だかりか」


 リッツは長身だし顔もいい。前衛として身体も鍛えられてるし、さぞモテるだろう。


 「イースも出合った頃はあんなに可愛らしかったのに、今じゃもう背も伸びてすっかり男性ね」

 「まぁもうすぐ成人だしな。ここ数か月で伸びた自覚はある・・・ゲインもコラッドもそうだが、みんな背の事ばかり言うな」

 「ふふっ、みんな可愛らしいイースが居なくなって残念がってるのよ。今じゃもう私の背も超えて、こんな事できるんですから」


 そういうとリズは俺の右腕に自分の腕を絡めて、頭をこちらに預けてくる。丁度俺の肩というか胸のあたりに顔をうずめる様に。

 だから胸が!胸が当たってんだよ!


 「むぅ、リズ。イースに最初に腕を組まれたのは私」

 「あら、腕は2本あるのよ?それに最初が優先なんて決まってないじゃない」

 「リズははしたない。女性はもっとおしとやかであるべき」

 「私は十分おしとやかよ。でもシャルには敵わないかもしれないわね。特に胸がおしとやかですもの」

 「・・・リズの胸は下品」

 「何ですって?」


 当ててんのよとでも言わんばかりにシャルに向けて微笑むリズ。

 お前ら。俺をはさんでじゃれ合うのはやめろ。

 シャル。俺が腕組んだんじゃなくて、お前が組んで来たんだろう。

 何だかわからないが嫌な汗をかいてきたぞ・・・腕の感触は天国なんだけどな!


 「おい、お前らいい加減に・・・おい、ゲイン!どこに行く!ゲイィィィーーン!!」


 ふとゲインの方を見ると、ヒラヒラと手を振りながらこの場を離れていくゲインの姿があった。

 さすがスカウト、危機察知能力は半端じゃないな!何が危機なのかは俺にもわからないが!


 「おや、これはこれは。両手に花とは羨ましいですな」

 「ケシュマー・・・様」

 「あぁいえ、無理に敬称を付けずとも結構。今の私は貴族ではなく商人ですからね」

 「そうか、なら遠慮なく」

 「皆さんよくお似合いですよ。用意させた甲斐がありましたね。できればこんな街ではなく、王都でそのお姿を拝見したいものですが」

 「ケシュマー」

 「おっと失礼。町長には、皆様は私の同行者と言ってありますので、ホストに気兼ねなく楽しんで頂いて結構です」

 「そう?それはありがたいわ。またいつもの様に装飾品を見せびらかす様に連れてまわられるかと思ったけど」

 「ははは、ご冗談を。お父上はともかく、私はそんな恐れ多い事できませんよ。では、皆様楽しんでいって下さい」


 ケシュマーの振る舞いは貴族然としているが、リズ達を利用するという風でもなく、純粋におせっかいをしている雰囲気だ。

 本当にリズの為に、気楽なパーティーを企画したのかもしれない。

 まぁ、気軽なパーティーってのも庶民の俺には理解できないし、企画したのは町長らしいが・・・栓なき事だ。

 ケシュマーは立ち去り際、俺の耳に口を近づけ、何事かを呟く。


 「そのままが続くと、その内刺されますよ。エリザベート様をお選びになるなら・・・お覚悟を」

 「えっ、おい」

 「では失礼」


 言いたいことを言って颯爽と去るケシュマー。

 選ぶって、やっぱそういう事?刺されるも何も、2人はただの仲間だ!


 「・・・はぁ、なんだか疲れた。適当に食べて帰って寝る。おやすみ」


 そういうとシャルは腕を解き、料理のあるテーブルの方へ歩いていく。


 「シャルはああ見えて優しい子なの。私がこのパーティーに出されて鬱屈してるのをわかっててイースを譲ってくれたのね」

 「じゃあ断ればよかったんじゃないか?」

 「まさか。取引相手とはいえ、相手は貴族の当主よ?断れる訳ないでしょう。それに、莫大な額の代金を準備して来たのよ。ケシュメル商会の他にあれだけのミスリルを買い取れる商会はこの国に無いし」


 あぁ、まぁそうか。いくらリズとはいえ貴族の、それも当主にそこまで強くは出れないか。


 「でも良かったわ。ケシュマーは純粋に私の気晴らしの為にこの場に連れて来てくれたみたい。ホストや来賓に気を遣わなくていいパーティーなんて初めてだわ」

 「やっぱり、実家ではパーティー多かったのか?」

 「えぇ、それこそ社交界デビュー前の5歳くらいから頻繁にね・・・王都は魔窟だし、子供相手でも一筋縄じゃいかないわよ」

 「やんごとなき生まれでなくてよかったよ」

 「あら?その割には動きが洗練されている様に見えるけど?」

 「まぁ、お嬢様・・・シュトロック領主令嬢の儀礼授業も一緒に受けさせられたからな」

 「お嬢様、ねぇ・・・あ、ほらイース、曲が始まるわ。こんな美人に腕を組まれてる貴方が言う事は?」


 気付けばホールの明かりが若干落とされ、音楽隊が旋律を奏で始める。

 ダンスは苦手なんだがなぁ。まぁ、本人は楽しみたいって言ってたし、ここは乗ってやるか。


 「えー、ごほん。可憐な薔薇も色褪せるご婦人よ。どうかこの私と一曲お願いできませんか?」

 「未だ至らぬ身なれど、ご要望にお応えして一曲お願いいたしますわ」

 「・・・ふふっ、やっぱり知ってるじゃない」

 「・・・ふふっ、まさか俺も実際にこれを使うとは思わなかったけどな」


 社交界では男性が女をダンスに誘う際、名前は言わず、相手を褒める言葉を述べてから誘う。

 女性の返しは応諾なら先程の返し。拒絶なら別の返しで決まっている。


 「さぁ、行きましょう?イース・・・足、踏まないでね?」

 「悪いが自信は無い。鍛えた反射神経で何とか避けてくれ」

 「もう!」


 俺達は蝋燭の火が妖しく揺らめくホールに進み、一夜の幻の様な時間を共有した。




 ◇◇◇◇◇◇◇




 「ここにいたか」

 「イース」


 あの後何曲か踊った俺達は休憩の為に食事をしに行ったんだが・・・そこで遠巻きに見ていた男女にそれぞれたかられ・・・いや熱烈な誘いを受け、分断された挙句、辟易してこのテラスに逃れて来た。

 俺は仕方なく何曲か踊ったが、リズはすべて断って逃げて来たようだ。


 「参ったわ。貴族の子弟とは違う、こう、絡みつく様な視線が多くて・・・いえ、貴族の子弟もそんな視線なんだけど、もっとこう直情的というか・・・欲望丸出しなのよね」

 「まぁ、あいつらはこのあたりの有力商人やら知識人って話だからな。こういった場にも慣れてはないんだろうさ」

 「貴方は随分と慣れているようね?」

 「まさか。まだこれが生まれて2回目だよ」

 「その割にはご婦人達を虜にしていたようだけど?」

 「やめろって。あれは俺の髪が珍しくて構ってるだけだよ。ほら、飲み物」

 「ありがと」


 嘘は言ってない。この身体で生まれてからは2回目だ。

 生前はやれミッドガルズ王国のパーティだ、カルトーン王国のパーティだと引き回されたが・・・今となってはいい思い出だ。


 「あの、ね?ケシュマーがイースの生まれの話とかしてたじゃない?」

 「あぁ、別に隠すつもりはなかったが、言いふらす話でもないしな。俺はただのE級冒険者だし」

 「ね。小さい頃からそんなに落ち着いてたの?」

 「どうだったかな・・・生まれてすぐ、この髪色のせいでお館様・・・領主様に引き取られてほとんど外に出れなかったからな。領主様の令嬢が同い年だったから、その子のお守ばかりだったが・・・まぁこんなもんだったかな」

 「寂しくなかった?」

 「寂しくはなかったな。領主様の一家もよくしてくれたし、父母も領主様に仕えてたからほぼ毎日会ってたし、その令嬢もいたしな」

 「そう・・・」

 「あぁ・・・」

 「・・・・・・」

 「・・・・・・」

 「・・・イースは、何も聞かないのね」

 「事情があるんだろ?ずかずかと踏み込まないのは冒険者の礼儀さ。みんな話したければ勝手に話すさ」

 「ふふっ、優しくなぁーい」

 「俺は優しいさ。仲間にはな」

 「・・・私が貴族の家系っていうのは・・・気づいてるわよね?」

 「まぁ物腰と装備を見ればな」

 「そんなにすぐ分かっちゃってたかぁー」

 「そりゃぁな。あの胸当て。普通の冒険者が持てる代物じゃないぞ」

 「あれがミスリルとアダマンタイトだって気づいたのはイースだけなんだけどな」

 「素材には気づかなくても、その意匠で高そうなもんだとは察しがつくさ。ま、貴族の令嬢にしちゃぁ世間慣れしてるし、腕も良いとは思ったけどな」

 「そこそこ、ね?」

 「まだ言うか。悪かったって」

 「うぅん、いいの。自分でもそうだと思ってるし。この旅に出て、初めて生き物を殺した時・・・震えて食事も喉を通らなかった」

 「意外と繊細なんだな」

 「意外とは余計ですぅ~。ま、これでも昔は真面目に深窓の令嬢してたのよ」

 「そうか」

 「・・・私ね、幼馴染のリッツが病気にかかった時、すぐに治ると思ってた。他の生き物が同じ病気にかかって治らないのを見て、治った例が無いのを知って私がなんとかしなくちゃって思った」

 「周りを頼れば良かったんじゃないか?」

 「私の周りには頼れる人なんていなかった。リッツは別よ?でもリッツ本人は病気を受け入れて、そのままでいいんだって・・・私の周りには、私やお父様の機嫌を伺う大人しかいなかった」

 「カイは?」

 「カイはもうその頃には神官の修行に出てて・・・真っ先にカイに病気を治せないか聞いたんだけど、無理だって」

 「そうか」

 「それでお父様に無理を言って剣のお稽古をして、戦える様になったら家を飛び出して・・・思えばここまで長かったわ」

 「頑張ったんだな」

 「もちろん頑張ったけど、まだ始まったばかり・・・あと3人の精霊王に助力をもらわないとね」

 「乗りかかった船だ。俺もついて行ってやるから安心しろ。すぐに終わるさ」

 「ねぇ、イース。何で貴方は私に着いてきてくれたの?こんなに危ない旅なのに」

 「そりゃぁリズが来いって言ったんじゃないか。報酬も破格だし」

 「私が来いって言ったから?報酬が良かったから?」

 「どちらかといえばそうだな・・・リズ達を放っておいたら心配だから、かな」

 「心配だから着いてきてくれたの?」

 「あぁ」

 「私を?それとも他の・・・シャルとかを?」

 「お前らみんな危なっかしいが、一番危なっかしいのはリズだな」


 ふと横を見ると外を眺めていたリズがこちらに向き直っており、俺の目の前に立っていた。


 「何でイースはそんなに優しいの?」

 「優しくないさ。俺はスパルタなんだ」

 「うそ。さっき仲間には優しいって言った」

 「まぁ、たまに優しい時もある」

 「優しいのは仲間だから?」

 「あぁ」

 「仲間じゃなくなったら、優しくなくなるの?」

 「どうかな」

 「この旅が終わったら、一緒に居てくれないの?」

 「そうだな・・・ミスリルのおかげで暫く働く必要もないし、ひょっとしたら途中まで着いて行くかもな」


 リズの顔が目の前にあり、こちらに倒れ掛かる様に俺の胸に手を当て、俺を見上げている。


 「何であの時、危険を冒して助けてくれたの?」

 「あの時?」

 「ゴーレムに私が潰されそうになった時」

 「そりゃぁ仲間なんだ、助けるだろ」

 「仲間だから?」

 「あぁ」

 「トレントの時は?」

 「あの時は人が居るって気づいてなかったんだ」

 「うそ。気付いてなければあんなに的確にできないもの」

 「まぁ・・・目の前で人が襲われてれば、助けるさ」

 「それが私じゃなくても?」

 「あぁ」

 「ふふっ、これだけ言っても欲しい答えをしてくれない。優しくなくて、優しいひと・・・」

 「おい、リズ?」


 気付けばリズは俺の腕の中で寝息を立てていた。

 弱いくせに飲み過ぎなんだよ。ったく。


 今言った理由も本当だが、一番大きな理由はお前があいつの縁者だからだ。

 昔果たせなかった約束をその子孫に投影するとは・・・自分で自分が嫌になる。

 しかし、お転婆なところも、酔うとめんどくさい所も、お前はあいつそっくりだよ。


 「今は眠れ、リズ・・・よい夢を」


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