第六話 不穏な影
「やっ…た…?裕也のシールドを3枚割ったぞ!」
「やられたぜ真人、俺の負けだ」
真人は見事裕也から借りたデッキをものにして、自分の新たなデッキを手にした。
「変則ルールとはいえ、まさか俺が真人に負けるなんてな」
「へへっ、裕也のデッキが強えからだって!今度はちゃんと勝つからな!」
「あれ、そこのお客さん、もしかしてーー新崎裕也くん?」
ふと裕也の存在に気付いたカードショップの店長が裕也に話しかけた。大会の常連である裕也は、この店の店長とは顔見知りである。
「おっ、店長さん。そうですが、どうしましたか」
「実は、裕也くんに相談があるんだけど…いいかな?」
「もちろん、いいですよ」
「ここ最近、この辺りで学生のデュエリストをターゲットにする、黒いパーカーを着たいわゆるカード泥棒がいるらしいんだ。その手口はいつも同じ。‘‘デュエマは好きか?’’と言い寄り、‘‘好き’’と答えたデュエリストに賭けデュエルを申し込むんだ。そいつがとてつもなく強いみたいで、レアカードを奪われたって話を何件も聞くんだよ。そいつは自分を‘‘カラス’’と名乗ってるみたいなんだ」
「それで、俺にその‘‘カラス’’を倒して欲しいってわけですね」
「そうなんだよ〜、優勝経験の多い裕也くんならもしかして、と思ってね」
「そういうことなら、こいつに任せてみたらどうです?」
裕也は真人のことを指差した。
「おっ、俺が⁇」
「俺に一目置かせたんだ、そんな奴なんか敵じゃないさ」
「うーん、裕也くんがそこまで言うならキミに任せてみるよ!」
「期待してるぞ、真人」
「は、はあ…」
つい曖昧な返事をしてしまい、結局依頼を引き受けた形になってしまった。
裕也と別れ、家への近道である裏路地を通る。もう辺りは真っ暗だ。
ー誰かの足音がする。
姿は見えない。
後ろから近づいて来ているのか、はたまた黒い服でも着ているのかー
気付いたときには真っ正面に誰かが立っていた。黒いパーカーを着ている。
「なぁ、お前…‘‘デュエマは好きか?’’ ケケッ」
To be continued…