第参拾伍話『中編完 紫苑の記憶03』
//現実
時斗「そろそろ限界の時間や。あかんかったんか」
紬「……優斗さん……」
その時、からっぽのはずの紫苑の身体から、術力が感じられた。
時斗「紫苑から術力が……?」
時斗と紬は一瞬紫苑に向けた視線を、優斗に戻した。
優斗「……っ……」
紬「優斗さん!?」
時斗「にいちゃん!? しっかりせえ!?」
時斗が二度、三度軽く優斗の頬を叩いた。
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優斗「……ぅ……」
誰だ?
誰かが俺の頬を叩いてる。
時斗「……せぇ……ぃちゃん……にいちゃん!」
優斗「……時斗……それに、紬?」
紬「優斗さん!」
何だ?
何で二人は心配そうな顔をしてるんだ?
俺は……
優斗「――!? そうだ!? 紫苑は!?」
飛び起きた俺に、紬は笑っていった。
紬「紫苑さんなら、大丈夫ですよ」
時斗「術力供給は成功や」
俺は紫苑に視線を向け、安堵の表情をした。
優斗「……よかった……」
そして、そのまま気を失ってしまった。
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時斗「お、おい!?」
紬「優斗さん!?」
倒れる優斗の身体を紬が受け止めた。
紬「時斗さん。ここは一度退いて体制を立て直しましょう」
時斗「せやな。当初の目的は果たした。あとの事は、回復をしながら考えたらえぇ」
そう言うと、時斗は倒れている優斗を担ぎ上げた。
時斗「このにいちゃんは俺が持ってくわ。紫苑の事を頼むわ」
紬「わかりました」
紬も紫苑を担ぎ上げた。
それを見た時斗が、小さく呟いた。
時斗「……随分、簡単に持つんやな……」
紬「え? 何か言いました?」
時斗「いや、何でもあらへん」




