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鬼人神鬼  作者: saku
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第弐拾肆話『中編10 それぞれの戦い03』

//////真城家



紬「くっ……」


 紬の身体はいくら動かそうとしても、全く動かせなかった。


美鬼「あははははは!! これでお嬢様は、私の可愛い、可愛いお人形さんよ!?」


 そう言って、美鬼が指を一本動かした。

 すると、その動きに連動する様に、紬の左腕が動いた。


紬「くっ……」


 紬の意思と関係なく、自分の身体が動いていた。


美鬼「さて、どうやって遊ぼうか、お嬢様?」

紬「一人で遊んでいなさい。私はあなたに付き合ってる暇はないのです!」


 その瞬間、耳障りな渇いた音が響き渡った。


紬「くっ……あぁぁぁぁ!!」

美鬼「あら、あら。お嬢様が変な事言うから、つい力が入っちゃたじゃない」

紬「あ……ぁ……」


 紬の左手の人差し指が、ぷらぷらと揺れていた。

 伝わる激痛を紬は唇に血が滲む程堪えて言った。


紬「許さない……みんなのカタキ……私が、絶対……」

美鬼「良い目だわ。今までにもいたわ、そんな目を私に向ける方々が。――ただ、最後には泣きながら私に助けを求めて来たけどね。お嬢様はいつまで耐えられるのですか?」


 そして、再び、渇いた音が響き渡った。


紬「あぁぁあぁぁ!!」

美鬼「二本目。まだ、あと八本あるわ。ゆっくり楽しみましょう」

紬「……ぅ……」


 紬は痛みで震える身体を懸命に動かした。


美鬼「無駄な悪足掻きは美しくないわ」

紬「……そ、それは、どうかしら?」


 そう言った紬の袖口から、人型の術札が落ちた。


紬「……八……々……」

美鬼「式鬼!?」


 その瞬間、紬の身体の拘束が解かれ、地面に崩れて落ちた。


八々「――紬!? 紬、大丈夫!?」

紬「……え、えぇ……助かりました、八々……」

美鬼「ただのガキじゃない。そんな式鬼を呼び出してどうするの?」


 すると、八々はじっと美鬼に視線を送った。


八々「あいつが、紬を……」

紬「……八々……」

八々「大丈夫。紬はそこで休んでて。紬の声は聞こえてるから」


 八々は紬に背を向けた。


美鬼「ガキが……火遊びが過ぎると、痛い思いをするわよ」

八々「――紬を傷付ける奴、許さない!」



//////安里家



優斗「父さん、母さん。どこに行ったんだ?」


 先ほどまでいた景色から一転、何もない真っ暗な部屋。

 俺はふらふらと手探りで歩き出した。


優斗「一体、何なんだ此所は?」


 自分がどこにいるのかわからない。

 だが、はっきりしている事が一つある。

 こんな事が普通に起るわけがない。

 つまり、これは敵の攻撃と考えて間違ないはずだ。

 その時、後ろの方で小さな物音がした。


優斗「誰だ!?」


 俺が振り返っても、そこには誰もいなかった。

 そして、今度は別の方向から物音が聞こえた。


優斗「そっちか!?」


 しかし、誰もいない。

 段々と高まってくる不安。

 すると、突然、何かが俺の背中に倒れてきた。


優斗「――ッ!?」


 驚いて一度距離を取り、改めてそれを確認した。


優斗「なっ……」


 俺は自分の目を疑った。

 そこには、血だらけの紫苑が倒れていた。


優斗「紫苑!?」


 急いで紫苑の側に行き、抱き起こした。


優斗「紫苑! おい、紫苑!!」

紫苑「……ゆ、優……斗……? に、逃げるのよ……」

優斗「紫苑! 何があった!? 鬼人にやられたのか!?」


 紫苑の身体から力が抜けた。


優斗「……紫苑……? 紫苑!!」


 今度は、背後から何かを引きずる様な音が聞こえた。

 俺は恐る恐る、視線を向けた。


優斗「……ぁ……ぁ……」


 声が出なかった。

 余りにも、目の前の光景のショックが強かった。


紬「……ゆう……と……さん……に、げて……くだ……」

優斗「紬!?」


 抱き起こした紬の身体は既に冷たかった。

 紬の身体は手足の骨が砕かれ、まともに自分の身体を支える事すら出来ていなかった。


優斗「……紬……紬! 死ぬな!!」


 そして、また別の方向から物音がした。


時斗「……あ、あかん……しくじったわ……」

優斗「時斗!?」


 俺の中で言葉にならない感情が、ぐるぐると回り巡った。


優斗「うわぁぁぁあぁぁ!? 止めろ! 止めろーーーー!!」



//////安里家



絶鬼「ふぇ、ふぇ、ふぇ。そろそろ壊れてきたかの?」


 絶鬼の目の前で、優斗の身体は拒否反応を起こす様に痙攣を繰り返していた。


優斗「……止めろ……みんな……紫苑……紬……」


 優斗の言葉は、もはやうわ言の様に、か弱い声になっていた。


絶鬼「ひやぁ~ひゃひゃひゃ! もうすぐ、もうすぐで壊れる! この瞬間の至福。これだから、止められん!」

夜鬼「――相変わらずだな、絶鬼」

絶鬼「お前は!?」


 突然、背後からした声に素早く絶鬼は反応した。


絶鬼「……何をしにきた、夜鬼?」

夜鬼「――――――」


 夜鬼は絶鬼と対峙し、一瞬、優斗に視線を向けて戻した。


夜鬼「こいつを今殺されては困るのだ」

絶鬼「そんな事、儂には関係ない」

夜鬼「そうか。なら、仕方ない」


 夜鬼の身体から、殺気が発せられた。

 それを感じ、絶鬼も臨戦態勢になった。


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