ミステリアスな彼女の全て。
うん何故か自信作。
『私』は初めの人格だったそうだ。
淑やかで清らかで、お嬢様ってカンジで…いや、実際お嬢様なのだが。
喋り方も彼らの中で一番良い…らしい。
私的には目の前の『彼』の方が余程丁寧だと思うが。
まぁ、そんな彼女だからこそ彼らが出来たのだと言う。
『私』は相当な人生をおくってきたらしい。
一日15時間の勉強と、5時間のマナー、作法。
自由時間と呼ばれていた睡眠時間はたった4時間。
…確かに、一般人なら耐えられない。
そして、そんな彼女の【自由が欲しい】という願いから、
『あたし』が出来たと言う。
『あたし』は『私』と真逆と言っていい程の性格だ。
活発で勉強ギライ、喋り方でも伺えるほどだ。
作法の「さ」の字も知らないだろう。
あぁ、後…そんな彼女の最大の欠点はあの我侭な所だろう。
自己中心的、よ言える部分があった。『私』も思っているのかも知れない。
だが、それも『私』の前では無に等しい。
『あたし』は『私』を最優先にしていたらしい。
まぁ、創ってもらったのだから当たり前だという。
…あまり私でも理解できないが、読者なる皆さんが分かってくれる事を祈る。
言い忘れていたが、『私』は彼らが起こした事全てを把握できる。
彼らと通じる事も出来る。だがしかし、
彼らは『私』以外とは通じる事もできなければ、
記憶の共有すらされないらしい。
『彼』の話に嘘偽りは一切無いので、本当の事なのだろう。
そして、ある日の事だ。『あたし』が暴走した。
【自由】から生まれた彼女…いや少女にしておこうか。
少女にとって、それを奪われたのは
『あたし』の存在を否定するようなものだから。…だ、そうだ。
そして、その『あたし』は『俺』という別のものになった。
『俺』はただただ破壊するのみだった。
彼らの中で凶暴なのは彼ぐらいらしい。
確かに『私』、『あたし』…目の前の『彼』全て当てはまらないだろう。
その感情だけの『俺』は最早、ヒトでは無いのでは、と思わせるほどらしい。
実際の映像は残っていないし、私も見ていないので何ともいえないが。
そして、その…一時間も無いうちにもう一人。
先程から出てきている目の前の『彼』…『僕』だ。
この話を私にしてくれている人物となる。
『僕』は彼らと違い、『私』が自ら作り出した。
『あたし』とは別なのか、と聞くと、
あの少女は彼女の思いから出来たのであって、
少し違うのだと言う。
さっぱり分からないと言う気もするが。
『私』は恐れ、怖がったのだと言う。
自分の中の凶暴なソレが。
怖くてたまらなくなって、そんな『俺』が出てこないように
いつでも冷静沈着な『僕』をつくりメインにした。
―――――――これが真相だと『僕』は言った。
冷静な話し方の敬語は、一度たりとも乱される事は無く、
ただ淡々と続けられた。
この本ももうすぐ終わりだ。私なりにまとめておこうか。
いや、まとめる事は出来ない。では書き方を書いておこう。
まず、初めの『私』。この『私』の表現をしているのは、
『私』と、彼女。
『あたし』と少女が『あたし』
『彼』、『僕』が、『僕』で、『俺』とソレ、が『俺』。
…少しでも読みやすくなるとうれしいのだが。
後、私は『僕』の事を彼と呼んでいるが、性別が変わるワケではない。
ただ、私―――――――――ウィリアム・アルヴァーがそう記しているだけだ。
こうして、彼女の全てが知る事が出来たのだが、一つだけ、疑問が残った。
―――――――――――――――――――――『彼』は何故、全てを知っているのだ?
【ウィリアム・アルヴァー著作 『ミステリアスな彼女の全て。』】




