前編
はい。
皆様こんにちは。
いえ、こんばんは のお時間でしょうか?
私は今…
どこにいると思いますか?
私…
自分でも信じられないことに衆人環視の中でトアルお方の膝の上に座っております。
このお方…
私の身体に手をまわして私を逃がさないようにガッチリ抱きしめております。
身動きしてもまったく動けなかった状態から考えると、少しだけでも力が緩んだだけましというものでしょう。
さてさて、なぜこのような状況になったのか…
思い起こせば今日の事。
いつものことと思いつつも、睡魔に負けて寝てしまったのが原因でしょう。
※・※・※
そう。
今日は日曜日。
ノルマに追われ一週間の仕事に疲れ果て、ようやく訪れた休日。
24歳 会社勤め4年目彼氏いない歴年齢の私は家に引きこもってのんびりとした休日を楽しんでいたのです。
そしてお昼頃まで睡眠をむさぼり朝食兼昼食でお腹を満たしました。
その後はいつものようにPCで大好きなネット小説を楽しんだあと…
私はのんびりとお昼寝の体制に入ったのであります。
引きこもりといわれればそうかも知れませんが、仕事で対人関係に疲れた私には人とかかわらない至福の時なのであります。
天気も良く、5月という清々しい本日。
夢の世界に引き込まれるのにそれほど時間が必要ではありませんでした。
そしてゆっくりと睡眠を満喫し寝るだけ寝て自然と目の覚めた私の見た光景は…
すでに自分の部屋ではありませんでした。
そう、私の部屋は四畳半。
物にあふれた部屋の真ん中に万年床となった布団が鎮座している狭い部屋。
その布団でいつものように眠っていたハズ。
なのに今私がいるのは…
どこの御貴族様の部屋でしょう?と思わずにはいられない天蓋付きの豪華なベット…その中央に私は寝ていたのです。
思わず起き上がりその掛布に手を添えてみます。
この肌触りの良いシーツ…
これはそう、この肌触りだけで高級感がわかるというものです。
周りを見渡してもこんな豪華な私の部屋が5つくらい平気で入ってしまいそうな空間に覚えはありません。
そして何より私が驚いたのは…
私を見つめているベット脇にいる男性の存在でした。
その男性は…
そう。
まさに童話に出てくる王子様。
ブロンドの髪に淡いブルーの瞳でこちらに視線を向けてくるこの男性はこの部屋にしてこの人ありといえるような美しさを兼ね備えておりました。
服装は、中世のヨーロッパ貴族を思い浮かべていただければと思います。
その男性に見つめられる私…
服装は休日だったこともあり何の変哲もない無地のスウェットです。
髪もぼさぼさでお肌のお手入れもその…怠った私はなんてこの部屋に似合わないのでしょう。
女を捨てている…そうかもしれません。
あぁ、一応会社に行くときはそれなりに整えていますよ。
でも、今日はお休みでしたし…楽にしていても良いじゃないですか…
と、こんな感じの私です。
男性からこんなにも見つめられる経験などありません。
もう、普段ではありえない状況のダブルパンチで言葉もないほど混乱中なのでアリマス。
あっ!
皆様 言い忘れました。
日本人としての礼儀ですよね。
では、自己紹介を少々失礼します。
私は 九条 悠里と申します。
日本在住 黒目黒髪 中肉中背 の普通の女でございます。
どうぞ良しなに…。