二日目~奈良限定班行動~
修学旅行二日目です。はい。
二日目。
朝4時起床。
「おまえ…朝早い!ふざけんな!昨日の夜大騒ぎしたくせに元気だな!」
風見が怒ってる。
こちらから言わせてもらえば昨日の仕返しである。
「はぁ?早いか?いつも通り何だが…」
調子に乗って言ってみる俺。
「バカか!俺はまだ寝る!」
風見二度寝。
暇だ…。
外はまだ暗い。
「俺も寝るか」
俺も二度寝。
…。
二時間後、二人はモーニングコールによって起こされた。
着替えて食堂へ。
朝飯が美味い!
またここでも…。
「お前!トマト食え!」
そう言ってきたのは森近。
「嫌いなのか…?」
「そうだ!良いから食え!」
強制ですか…。
すると…。
「へぇ~。日高トマト好きなん?じゃああげる。」
隣のやつも、また隣のやつも…。
「おい!待て!お、おかしい!おかしいよ!」
俺の制止は無意味…。
ついには担任まで…。
「トマト残ってる…誰か食べちゃえよ。あ、日高でいいや。食べて。」
「?」
…。最後は15個にまで膨れ上がったミニトマト。
ミニトマトで腹が膨れたのは初めての経験であった。
「で、班長。今日はどこ行くの?」
まともな質問してきたのは渡海。
「ん?ん~…。まずは東大寺。次に平常宮跡。次に薬師寺。最後は法隆寺。寺ずくしの寺ずっきゅんでございます」
渡海どん引き。
悪かったな!!
で、ホテルをチェックアウトした俺らは歩いて東大寺を目指した。
途中興福寺や正倉院展があったがスルー。
「こっち!東大寺!」
俺が自信ありげに言うが…。
「あれ…。こんなんだっけ?ん~…。ん?全然違くね?」
班員の信用を失った。
何とか東大寺にはついたが…。
「おい宇佐美!お前さぁ、あの鹿触ってこいよ!あの目が片方白い奴!独眼竜じゃん!」
「お前…うれしそうだな」
あっさり返された。
入場券を買い、東大寺に入る。
「松永久秀~!!いくずぉぉぉおおおおお!!!」
叫ぶ俺。
「うるさいよ!」
班員全員から叱られた…。
「だからな、いいか?この東大寺はだなぁ、松永久秀って戦国武将が焼き打ったの!三好との戦いで!分かる?で、この近くにな、松永の多門山城というのがあってだな、ホントは行きたかったんだが…。今はただの中学校になってるからやめた」
戦国ファンの俺。張り切って説明。
しかし宇佐美は…
「中学校?止めて正解だ。お前にしては正しい判断だな」
腹が立つやつである。
「昨日の朝さ、家出る前にテレビでみたんだけど、この大仏の下で見つかった剣が正倉院の宝物で無くしたものリストに入ってるやつだってわかったんだって!」
俺の話はつきない。
「だから…?」
班員オール無視!
「あの木の隙間くぐってみ!?」
俺が渡海を促すも…。
「あの中学生が大量に並んでるやつ?嫌だね」
確かにな。俺でも嫌だからな。
そんな話をしてるとき、女子生徒がくぐってった。
何やら宇佐美と森近が話している。
「今の見た?」
「見た」
「残念だったな」
「ああ。残念だった」
…。すくいようがねぇや、こいつら。
そして駅に向かう。
途中で風見がコンビニに寄りたいといいだしたのでコンビニを探しつつ駅に向かう。
「コンビニ合った」
俺が指差す先にあるのはファミマ。
行ってみた。
「残念だったな。開店明日だって」
で、電車乗る。
電車内で俺以外みんな寝る。
トークで繋げられなくて悪かったね!
降りる。
混んでる…。
とりあえず向かう。
「なぁ。これしかないの?」
全員が思っていることを口に出した風見。
「そうっぽいね…。」
俺が答える。
「…。見るもんねぇじゃん」
宇佐美が言う。
確かに、見たものと言えばなんだかよくわからない再現して建てられた建物一つである。
仕方ないのでここで記念撮影して移動。
薬師寺へ。
「東塔が建て替えられる」という学年主任の話だけで選んだここの寺。
「お!なんか分からんがすげぇ!寺ずっきゅん!」
「お前大丈夫?」とすかさず声がかかる。
ざっと見て撤退。
外にあった店で昼飯を食べる。
柿の葉寿司が名物らしいが俺は生モノが苦手なので…。
で、この後若干問題が起きた。
法隆寺を回ると時間ギリギリになってしまうのだ。
しかしこれといって見る場所も無くそのまま集合場所の京都に行ってしまうと3時間ほど余る。
俺は悩んだ。今日は奈良限定の日。
…。「それが何だ!采配を振るうのは我ぞ!この後京都に行く!明日の予定を少しでも減らしゆとりを持って行動するように努力することこそが今できる最善の策ではなかろうか!?」
「どしたの班長…?まぁいいや。京都な!?決定!で、どこ行く?」
「方広寺と豊国神社と耳塚と六条河原を攻める!」
決まった。
こっそり京都を観光することにした。もちろんルール違反。見つかったらどうなるか分からない。
京都に着いたらまずホテルと反対口に降りた。
「歩いて行ける?」
「知らん」
「頼りねぇ」
「うるさい!」
そんな感じで話していたら渡海が地図を見てリードしてくれた。
着いた。
「おお!これが!豊国神社!さて、次!」
「もう終わりかよ!」
班員のツッコミが厳しい
次、方広寺は~え~と…。
道に迷う。
10程彷徨ったのちに…。
「あった!」渡海が発見!
「あれ…?ここってさっきの…。」
風見がつぶやく。
そう。豊国神社と繋がってた。無駄に時間を費やしてしまった。
「これ!日本三大釣鐘の一つらしい!よく知らんけど。
あの白く囲われてるところ見て!国家安康と君豊臣楽って書いてあんの!これが大坂冬の陣を起こしたきっかけ!分かる?」
俺興奮。
「お!なんか上すげぇ!」
変な所に関心する宇佐美。
確かに屋根凄い絵が描いてあるけど…。
「次!耳塚!レッツゴー!」
おれ張り切る。
「どこ?ここか?お!耳塚公園って書いてある」
俺がそういうと…。
宇佐美と風見大爆笑
「あはははは!これ?これかよ?お前…これただの公園じゃねぇか!こんなところ来たかったのかよ!?あははは」
うるさい。
しかし、すぐ隣に発見。
「だ~か~ら~。これはだな、朝鮮出兵の時にだな!」
俺が説明しようとすると…。
「うん。説明書いてある。看板に」
つまらんこというやつは渡海。
「へぇ~。耳塚ってホラーじゃん」
森近が言う。
「ホラーかな?ん~?あの時代普通だったからなぁ…」
「お前…ゲームやりすぎ。現代の感覚を持て!」
言われてしまった。
「よし!最後!六条の河原!あ、ここは期待すんな?ただの河原だから」
「じゃあなんで行きたいんだよ!」
森近が聞く。
「ん~?戦国時代の処刑場でさぁ。石田三成や長曾我部盛親がやられてる場所」
「お前…耳塚とか処刑場とか…そういう場所好きなん?」
「戦国だからな~」
やっぱり地図は渡海が見る。
「ここの先のはずなんだが…。あった!川」
「ん~…やっぱ今はただの川か…。看板すら無いね。」
ちょっと残念だった俺。
その後京都駅に戻る。
「お!!あれは!551の肉まんだぁ!買ってっていいか?な?ね!?」
俺夢中。
「え~…。嫌だ。」
班員が拒否。
「うるさい!無駄口を叩くな!班長は我ぞ!いいか!従え!」
調子に乗る俺。
「やーい!下剋上だー!喰らえ!」
「うぐぅ…」
宇佐美に蹴られた…。
しかしまぁなんとか551の店の前に行くことには成功。
「班長~。奢ってくれるんでしょぉ?ねぇ~。班長~。」
森近が言ってくる。
「ははは。バカめ!俺が奢る人間に見えるか?」
「見える。奢れ!」
ついに班員全員が奢ってくれと媚びてきた。
…。
「あー!分かった!奢ってやるよ!もう!それでいいだろ!!」
奢らされた…。
「うめぇ!これはスゴイ!何だこれ!めっちゃ美味い!」
俺を含め班員全員驚愕の美味さ。
「班長~明日もよろしく~。ごちそうさまです」
「ふざけるなぁぁ!」
その後ホテルにチェックイン。
今日の部屋は宇佐美と渡海と一緒。
班長会議を終え、夕食も食べ、部屋に戻る。
で、風呂。
風呂…。
「おーーい!」
今日も森近参上。
「へへへ!今日のホテルは鍵が付いてるぜ!ざまーみろ!」
俺はすかさず風呂の鍵を閉める。
「おい。森近。ちょっと見てろ。いいか?こうやってだな、コインでこう…。ほら開いた」
宇佐美ぃぃぃいい!余計なことを!!
「おい!鍵がなんだって?小銭で簡単に開くぞ!」
森近参上。
その後なんとか追っ払うも着替えがビショビショに…。
風呂を出た時にはすでに森近は退散していた。
…。もう嫌だ。
「おい!今日水曜どうでしょうやるんじゃね?」
さすが宇佐美。気が効く。
「水曜どうでしょう」は北海道のローカル番組。
しかし人気が出たため全国の地方局で放送している。
もとは俺が宇佐美に教えた。そしたら宇佐美もハマった。
「ん?京都でも水曜なの?」
「知らん」
「京都でも11時からなの?」
「知らん」
あ~…やっぱりねぇ。
しかし11時になるとちゃんと始まった。
やるな京都!
消灯時間がすぎているのに部屋で爆笑。
この番組を知らない渡海が心配そうに「おい、消灯後だぜ?静かにしろよ」などと言っているがお構いなし。
案の定何もなく終わった。
「俺はこの後AKBの番組あるからそれまで起きてる!」
宇佐美が何か言ってる。
「そうかい。俺は寝る」
普通に寝た。
本来修学旅行の夜というのは遅くまで起きて恋愛話なんかをするのであろうがそんなことは一切しなかった。
班長は疲れる…。
翌朝聞いた話によると宇佐美はあの後すぐに寝てしまい見逃したそうな。
これにて二日目終了。
明日の京都・大阪班行動が一番心配な班長でした。
三日目へと続きます。
今回のもほぼ実話です。
本当に疲れたんですよ…。