それでも、私は。
掲載日:2026/03/23
胸が苦しい。呼吸が乱れる。肺がちぎれそう。
もうどれくらい走っただろう。一体どこに向かっているんだろう。
『今のままだと難しいぞ。人の命を救うなら医師ではなく、看護師という道もあるだろう。』
正しい。
『受けるなとは言わないけど、別の道も考えなさい。』
正しい。
なのにどうして正しい道を選べない?どうして逃げている?
私は一体どうしたい?
すると記憶の中のあの人の言葉が、優しさが反芻される。
痛々しい手術痕の残る胸を撫でながら『痛いの痛いの、飛んでけ〜』と優しく穏やかに言ってくれた医師。
あぁ…そうだ。私はあの人のようになりたいんだ。あの人のおかげで今逃げれる、走れる体があるんだ。あの人のように誰かを“救いたい”んだ。
私はゆっくりと歩み、そして立ち止まり
「うわあああああああ!!!!!」と大声で叫んだ。
見上げると遠くで海の蒼と空の青が混ざり合いながら、水平線の向こうの水面が太陽の光に反射して世界が輝いて見えた。
私は息を整え、唇をキュッと噛み締め、また一歩踏み出そうとしていた。




