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第5話 動揺

 沢村さんが私の肩を軽く叩いて現実に引き戻した。


「春日さん、大丈夫?顔色が悪いけど」

「あ、はい。少し緊張していて」


 過去を忘れて新しくスタートしようとした矢先の再会。

 沢村さんは少し私を気にかけつつも、部署の人たちを紹介してくれた。そして、あの人の前で立ち止まった。


「こいつは早川」


 早川蒼真はさっきとは打って変わって、表情は穏やかで、初対面の人間を見るような自然さを装っている。


「早川蒼真です。よろしく」


 私も平静を装わないと。


「春日葵です。よろしくお願いします」


 心は激しく動揺している。


「早川は頼りになるから、困ったことがあったら相談してね」


 沢村さんの言葉が重くのしかかる。


「はい、ありがとうございます」


 そう答えながら、彼の視線を感じる。でも、彼は何事もなかったように仕事に戻った。

 こんなことになるなんて。まさか彼とまたこんな形で再会するなんて。私はこれからいったいどうすればいいのだろう……。

 それから他の社員に仕事の具体的なやり方を説明され、私は必死にメモを取っていた。その間もずっと視線を感じていた。


 ◇


 夕方、周りの社員たちが片付けを始める中、私も慌てて荷物をまとめた。

 一刻も早くここを出たい。彼と同じ空間にいることが、息苦しくて仕方がない。

 エレベーターホールに向かう。ボタンを押そうとすると、後ろから足音が近づいてくる。

 嫌な予感がした。案の定、隣に立つ気配を感じる。振り返らなくても分かる。早川蒼真だ。


「話がある。時間をくれ」


 緊張して鼓動が早くなる。返事もできないまま、頭の中が真っ白になっていく。

 その時、エレベーターが止まって扉が開いた。中には運悪く誰もいない。

 彼は何も言わずにエレベーターに乗り込む。私も仕方なく後に続いた。

 彼は最上階のボタンを押した。


 彼は私に何を話すつもりなのだろう。

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