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幹の終わりに灯るもの――帰れなくなった少女の異世界旅――  作者: 河居


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浜仕事

浜に上がって、網は男達が倒れ込むと支えを失い、雪崩のように大漁の魚を吐き出した。

小魚が多いが中には子供の背丈はありそうな大きな魚やエビやタコまで混じっている。


「はは!すごい量だな……食べきれないんじゃないのか?」

ヒロさんは目を輝かせてタタラに聞く。

「はい!こんな大漁は初めてです!……今食べる分以外はこれからみんなで干物や燻製にするんですよ」


タタラくんの声が若干落ちた。


「……?」

ヒロさんが、言葉を探すしていると、サチさんがが叫び出した。

「はぁ!?これで終わりじゃないのかよ!?」

隣で大の字になっていたサチさんがガバッと起き上がって情けなく眉を下げている。


「さぁさぁ!!もう一仕事だ!みんな!宴までもう一息だよ!」

威勢のいいおばさんが女子供を引き連れてやって来た。

「サチ!あんたの心意気、最後まで見せてもらうからね!」


「くそがぁぁあ!!やったらぁああ!!」




それからは怒涛の仕事量だった。

お魚の鮮度が落ちるといけないので、子供達がバケツに魚を集めてお母さん達のところに持ってくる。私を含めた女性陣がどんどんワタを出して開いていく。バケツ運びをしていた小さな子達も小魚を手で開いていた。お母さん達がさっと差し出したザルに次々開いた小魚を置いていく。

男の人達も一休みを終えると干物を置く棚を組み立てたり簡易な燻製小屋を建てたりと動き出した。

一人残らずみんな働く。笑い声も絶えないが、手も止めない。


いつの間にかタタラくんが指揮をとっている。

ムクタさんはニコニコと様子を眺めていた。


「燻製小屋に火を入れました!魚をお願いします!」

「あいよ!こっちが仕上がってるよ」

「ありがとう。カナエさんでしたね、燻製小屋まで運んで下さい」

「あ、はい!」

「……先日は弟がすみませんでした」

それだけ言って、何か言おうと思う頃には彼は次の仕事に向かっていた。




なんとかあらかたの作業に目処がつくともう夕暮れだった。今日も夕陽は海面にあったかい光を溢れさせている。


本当に本当に、クタクタ……


今日一日で、人並み以上に魚を捌けるようになった。指先どころか身体中生臭い気がする。燻製が気に入ったサチさんは村の人と一緒に燻製小屋の世話に張り付いていたので顔が真っ黒だ。

ヒロさんは途中からタタラと一緒になってみんなをまとめていた。今はまた呆けた顔で夕陽を見てる……きっとフリーズ中だ。



クタクタだ…………

でも、最高。



「みんな!!お疲れ様でした!宴にしましょう!!」

タタラくんの声が響いた。

子供も大人もみんなわぁっと湧き立った。


「っっつしゃあああ!!飲むぞ!!」


サチさんが真っ黒の顔で村人とハイタッチした。

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