おめかし
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夕暮れ、村の女衆が夕飯を持ってやって来た。
その中に一人……やけに着飾った娘がいた。
他の女達と同じ麻のワンピースだが、ムクタの家で見た織物を腰に巻き、貝や花をあしらった冠から手編みのレースが下がり目元が見えない。そのせいか、赤く飾られた唇が妙に艶めいて見えた。
こいつら……女をあてがうつもりか!?
サチは固まった。なぜならヒロがいるからだ。こいつ、こういう事は大丈夫なのか?
柄にもなく焦って言葉が出ないでいるうちに、ヒロが娘の手を取った。
「なっ!!……バカ!お前ぇ――」
「カナエ?……何してるんだ?」
「……へ?」
一生の不覚。自分でも信じられないくらい間抜けな声が出た。
娘はレースを退けると、綺麗に化粧されたカナエの顔だ。
「だいぶおめかししてもらったんですけど……ヒロさんなんでわかったんですか?」
着飾った自分が恥ずかしいからか――カナエの頬は色づいて見える。
「指にタコがある。努力した手だ。…………俺が忘れるものか」
「…………ヒロさん」
***
「ヒューーーー!!いい雰囲気じゃないか!!サチは完敗だねぇ!」
おばさん達が指笛を鳴らして囃し立てる。
「な!バカ言うな!落ち込むだろうが!」
「子供が巣立った親の気分かい?老け込むには早いよ!」
サチさんはおばさん達にバシバシ叩かれながら笑っている。
私とヒロさんはもみくちゃだ。子供達もわらわらとやって来て、おねーちゃんきれー!おにーちゃんはおーじさまなのー?とひっついてくる。
「おねーさんは確かに綺麗だな」
ヒロさんがまた爆弾を落として、わっと盛り上がった。




