いまのきもち
「カナエおねーちゃーん!もっとだよ!たんたん!」
少女が言いながら足をぴょんぴょん動かしてぶどうをつぶす。
他の子達も合わさって、みんなで踊ってるみたいだ。
「わぁ!素敵!こう?」
カナエも真似てみれば、子供達もお母さん達も、素敵ねー!上手上手!と笑ってくれる。
最初は上手く合わせられなかったが、なんだか肩の力が抜けてきた。
「お!カナエちゃん!いいじゃないか!仕事も楽しんだもん勝ちさ!これはいい酒になるよ!」
豪快なおばさんがガハハと笑えばみんなの空気が明るくなる。
汗をかく程みんなで踊って、ぶどうをつぶした。
「あ、足が……膝が笑うってこういう事なんですね」
日が高くなるまで踊って、桶から上がると子鹿のような有様に子供達に盛大に笑われてしまったけれど、子供達があんまり可愛くて一緒になって笑った。
「ふふふ、楽しんだみたいで嬉しいわ。さぁ、お昼にしましょう!」
少女の母親達が手桶に水を汲んで来て足を洗う。子供と並んで一緒に足を洗われてしまい、流石に赤面してしまった。
「カナエおねーちゃんと一緒!」
懐いてくれる子供達が救いだ。
お母さん達が作ってくれる昼ごはんにお呼ばれした。
サチさんとヒロさんは大丈夫だろうかと気にすれば、「男どもなんて好きに上手くやってるもんさ!ほっときな!」と、一喝されてしまって、また笑った。
魚が多いが、海藻とぶどうを使ったサラダが彩り鮮やかで女子会の雰囲気だ。
子供達はそうそうに食べるのに飽きてぶどう畑でかくれんぼをしたり、ぶどうを摘んだりと楽しそうだ。混ざろうかなと腰を浮かしかけたところで、お母さん達にむんずと腕を掴まれた。
「それで、あんたは誰といい仲なんだい?」
お母さん達の笑顔の圧がすごい……。
「えっと……」
「あ!誤魔化さないでよ!サチもいい男だけど、もう一人はあそこに座ってる男だろう?」
お母さんの一人が遠くて座ってるヒロさんを指差す。
ヒロさん、何やってんだろ……できたら助けに来て欲しい。
「あの男もいい男だねえー!ここいらの男に無い感じだし、ククリの石を弾いたのには痺れたね!あいつは強いよ!」
豪快なおばさんが言えば、周りの女子達もうんうんとうなづく。
「で、だ……カナエはどうなんだい?」
「えと……」
サチさんとヒロさんをそんな目で見た事は無かった。多分、こんなふうに言われたからと言って、何か変わることも無いだろう……。
でも、二人とも、私にとって、とても大切だ。
「二人には……大切な事、たくさん気づかせてもらえました。とっても大切で、大好きですよ」
ほんとにそう思ったし、照れ臭くても、嘘にしたく無かった。……旅が終われば、さよならなんだろう。けど、だからこそ、大切だし、大好きをお土産にしたいと思えた。
これまでの旅をおもいだして、ほんの少し目を伏せた。
「わかって無いねぇ……」
豪快なおばさんがニヤリと笑った。
お母さん達がすくりと立ち上がった。
「あんた達!準備はいいね!?」
「ええもちろんよ!」
「腕がなるわ!」
「わかったような顔してんじゃ無いよ!若い時なんて一瞬なんだから!!やらない後悔よりやる後悔なんだよ!!」
「え……えぇ!?」
私は女子のエネルギーと言う物をこの時程感じた事はなかった……。
「おかーさんたちなにしてるのー?」
「わかんない、けどたのしそー!!」




