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幹の終わりに灯るもの――帰れなくなった少女の異世界旅――  作者: 河居


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***


サチは大盛り上がりのぶどう畑を後にした。

咆哮のあと、「さぁ仕事だ」と女たちが集まり、樽にぶどうを詰めて上から踏み潰す。

子供たちに混じって、カナエもはしゃいでいた。


その様子がどこかぎこちなく見えて、

——あぁ、いい子ちゃんでいるのも、疲れたろうな。


女たちに任せて、サチは静かに席を外す。

ああいう時の女の連帯感は、信頼できる。




ブラブラと集落を歩いていたら、昨日ククリに会った穴の側まで来ていた。

ククリはこちらに気づかず穴の天井を三角になるように整えようとしているようだった。


なんだ、意外と素直じゃねぇか。


「おい坊主。精が出るな」


声をかけると、坊主はビクッとこちらを見たが、すぐに作業に戻った。

手斧を天井に叩きつけてなんとか削ろうとしているが、手斧の石が削れるばかりでなかなか進まない。

それでもククリは辞めない。


「坊主、貸してみろ」

「ククリだ!」


坊主が喚くがお構いなしに手斧を奪い、手斧の柄を岩の隙間に差し込んでグッと力を入れた。

岩は思った以上にあっけなく崩れた。綺麗ではないが、さっきより三角型に近い。


「頭を使え。そんなんじゃジジィになっちまうぞ」

言って、手斧を放って坊主に返した。


「…………そんな時間あるかよ」

「あぁ?」


坊主が何か呟いたがよく聞こえなかった。


「なぁ、あんたなんでそんなに俺に構う?」

こっちに目を合わせもしない。

ただ強く手斧を握り締めて俯いていた。


「……別に。死んでねぇか見に来ただけだ」


俺に似てんだよ……とは言えなかった。


ククリの手は繰り返し作ったマメで歪んでいたけれど手斧に沿うようだった。


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