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幹の終わりに灯るもの――帰れなくなった少女の異世界旅――  作者: 河居


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潮汐


***


ヒロは一人、砂浜に座っていた。

短い桟橋に、大きなものと小さなものを細い棒でつなげた原始的なボート。今日は漁に出ないのか、離れたところで男たちは網を繕っていた。


「何をしているんですか?」

タタラがやってきて隣に座った。

「……時間を数えている」

「時間、ですか?」

「自分の心拍を数えて、塩の満ち引きの時間を数えている」

ヒロは集中したように波間を眺め、指先で小さく拍を打っていた。

「え?」

「……あまり動揺させないでくれ。脈が乱れるとズレる」

言いながら、波打ち際まで移動して、ポケットから小石をいくつかだした。

「あぁ、緊張させたらすまない。そこまで繊細では無いよ」

言って、ヒロは波打ち際に石を並べては崩し、並べてはまた崩した。

「……何をしているのかきいても?」

タタラが遠慮がちに小声で聞いてくる。

その様子が少しカナエに似ていて、微笑んでしまう。

「大丈夫だ。ムクタは島を作って欲しいと言ったが、砂を運んだだけでは波に流されてしまうだろう?」

微笑んだことで、少し距離を縮めてタタラは聞いた。

「はい。干潮の時に運んでも、きっと次の干潮の時には無くなっています」

「だろう?だから、砂は運ばない」

ヒロはなおも波打ち際に石を並べている。


「砂は波に運んでもらうんだ」


ヒロはその後、干潮がはじまり、終わるまで、そこに座っていた。

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