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聖女の座を取られた (1)

シツール国の第一王女であり聖女の役割を持つミリア・シツール。

妹の第二王女のレノア・シツールは聖女の力である光の知恵という能力に恵まれなかった。

そのため、レノアはずっと両親から溺愛され育ったが、レノアもついに光の知恵を使えるようになった。

レノアを溺愛している両親は、レノアを新しい聖女とし、ミリアは聖女から'ただの一般人へ'と引き下げられた。

それに怒ったミリアは、シツール国を出て、聖女の力を駆使して商人としてポーションを売る旅に出た。

「お姉様が偽物の聖女で、私が本物の聖女、などと噂が出回っておりますわ。」

香水の匂いがキツくこの部屋に染みつく。紅茶も混ざって不愉快な匂い。

水色ロングヘア。紫色のショートカットの二人。

美しくエメラルドグリーンに輝く瞳。

二人の姿は美しかった。

ここは紫色のショートカットのレノア・シツール、シツール国第二王女の部屋。

「何が言いたいの、レノア。」

水色ロングヘアのミリア・シツール。

シツール国第一王女であり聖女の称号を持つ。

紅茶を優雅に飲む二人は、外面は仲の良い二人に見える。

「まだわかりませんの?私が聖女に相応しいと誰もが思っているのです。」

だが、レそノアは聖女と呼ばれるミリアを毛嫌いし、嫌がらせを続けていた。

「けれども、聖女に必要な光の知恵をあなたは持ち合わせていないでしょう。」

光の知恵。聖女が持つ、人を癒す知恵、能力。

生まれた時、王族の血を引くものは聖女か診断される。

レノアは才能に恵まれず、ミリアが聖女の力を授かった。

そして、怪我人、精神的不健康者を見ることが多いのが聖女に、この香水をいかがなものか。それは心に飲み込んで、光の知恵のことだけを指摘すると、レノアはまるで魔女のような不敵な笑みを浮かべ、こう言った。

「私、光の知恵を授かったのですよ。

お姉様のように無愛想な方より私の方が聖女になる素質がある、国民やお母様達に聞いてみなさい、全員がそう答えることでしょうから。」

「愛想良くするのが聖女。そう思っているの?

私がなぜ無愛想に接しているかわかっていないのね、レノア。」

「はあ…?」

「聖女は怪我人も見るけれど、精神的不健康者を見ることの方が圧倒的に多いのよ。

そんな時、眩しい笑顔を見せてみなさい。自分への責任と自分への嫌悪感ですぐに死ぬわよ。」

「そんなに国民を弱くしないでくださる?私へ、国民への侮辱ですわ!」

「聖女はそのぐらいの重症者を見るのよ。

しかも聖女のいない加盟国なんかからは日常茶飯事。

貴女も無愛想を知りなさい。もし、聖女になりたいのなら。

話はこれで終わり。紅茶、美味しかったわ。」

最後まで香水の券を言えなかったことに後悔をしながら部屋を出ると、そこには母親のリーハナ・シツールがいた。


ミリアside


「ミリア。本当に出来損ない。レノアに指摘をするだなんて。」

あぁ、まただ。リーハナ様は私によく突っかかる。

きっとレノアのことが大好きだからだ。

「レノアに対して一応先輩聖女として、'最後に'教えておいた方が良いことを伝えたまででございます。ご機嫌損ねてしまったのなら、申し訳ない限りでございます。」

きっとこの後、私は聖女という肩書を取られる。それを覚悟している。

だけど、大好きな国民が苦しむのは嫌だから、叱られることは避けられないがレノアに伝えたのだ。

その意図が伝わるはずがない。

「出来損ないがでしゃばってんじゃないわよ。

ミリア。あなたは存在する意味もない。レノアが嫌がること、絶対にしないことね。」

「はい、リーハナ様。」

「気安く私の名前を呼ばないで!!」

「申し訳ありません。」

お母様と呼べばお前の母じゃない、リーハナ様と呼べば私の名前を呼ばないで、か。

どう呼べば気が済むんだろう、この人は。

「無愛想な貴女は嫌われてる。自覚を持ちなさい。

もし、レノアまでそうなったら、死ぬと思いなさい。」

「…はい。」


もー!なんなんだよコイツーー!

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