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第四十六話 二人の任務

 王城を出た瞬間から、空気は重かった。

 私とミリアの間にあるのは、剣より鋭い警戒心。

 それでも、国王の命令は絶対だ。

 私たちは並んで馬を走らせ、王都北東の小さな村を目指した。


 任務は単純——表向きは。

 北東の国境近くでクレセントの残党が物資を集めているとの情報があり、

 その調査と阻止が私たちの役目だった。


 「……あんた、本当にこの任務をやる気あるの?」

 沈黙に耐えかねて、私が問いかける。

 「あるわ。王都のためじゃなく、自分のために」

 ミリアは前を見たまま答える。

 「クレセントの動きは私にも無関係じゃない」


 村に着くと、表向きは穏やかな農村だった。

 だが、私はすぐに違和感を覚えた。

 井戸のそばに積まれた袋の中身が、ただの穀物ではない。

 兵糧と、武具の部品……。


 視線を感じ、私は振り向いた。

 納屋の影から複数の男がこちらを見ている。

 腰には短剣、腕には赤い布——クレセントの目印。


 「気づかれたわね」

 ミリアが小さく呟いた瞬間、男たちは一斉に動き出した。

 私たちは背中合わせになり、迎撃態勢を取る。


 「こっちは私がやる!」

 ミリアが両手を広げ、魔力の壁を展開。

 私の方に突っ込んできた二人を、私は剣で弾き飛ばす。

 訓練された動き。これは単なる物資集めではない——拠点化の前段階だ。


 数分の交戦で、敵は退いた。

 だが村人たちは怯えた表情のまま、私たちから目を逸らしている。

 「何か隠してるわね」

 ミリアが低く言う。

 私も同感だった。

 この村は、ただの物資拠点ではない。もっと深い闇が潜んでいる——。


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