6、裏の裏の仕事
「そういえばさ、今年もお墓参り行った?」
トイフェルが珍しく真面目な声でそう聞いてきた。
「あぁ、行ったよ。」
「そっかぁ。メルダーに会えると思って行ったんだけど、入れ違いだったのかなぁ。」
トイフェルは車の中で手を上に伸ばして大きく伸びをした。
「まぁ、今こうして会えてるからいいんだけどね。」
「そういうのは女に言えよ。鳥肌が立つ。」
俺はトイフェルを横目で見て、呆れ顔で言った。
「ツンツンしてるのは変わらないね。良かった。」
トイフェルは安心したのか、静かに目を閉じる。深夜2時の山道は静寂に包まれた。
アラームが鳴った。6時30分。睡眠時間は3時間。この仕事に睡眠不足は付きものである。
「朝か…。」
俺は大きく背伸びをした。
アラームが鳴れば仕方なく起きる。いつものことだ。今日も鉛のような体を起こして、身支度をした。
「天ヶ瀬先生、おはようございます。」
「おはよう。昨日の資料は目を通しておいたから進めておいてくれ。」
「分かりました。あの、これ沖縄に行っときのお土産なので良かったらどうぞ。」
「ありがとう。」
看護師から可愛らしい包みが渡された。
「先生、良さそうなハンドクリーム見つけたので良ければ使ってください。」
「天ヶ瀬先生、このお菓子食べてみてください。」
メルダーこと天ヶ瀬時雨は病院に来てすぐに、看護師と患者に囲まれた。
両手に次々とプレゼントが置かれ、今にも溢れそうになっている。
「めっちゃモテモテじゃん。いいなー、時雨は。」
モルスこと七国椿は俺を遠目から見てからかっていた。
「おい、椿。見てないでどうにかしてくれ。」
「もう、仕方ないな。今行くかっ…ら。」
椿が一歩踏み出そうとした時、ダダダっと音がして何かが椿にまとわりついた。




