ep.96 動き始める闇
文化祭も終わり、クラスは通常通りに戻っていた。
しかし、いきなり授業があるわけではなく、数日間は文化祭の思い出だったり、出来事を振り返る時間になっていた。
ヨミ達がクラスで、それぞれ振り返っていると──、
「ミリア先生!」
「どうしました? リエ先生」
突如、リエがドアを勢いよく開けて入ってきた。
息を激しく切らしている事から、よほど急いでいるというのが分かる。
「ま、ま、魔物の森から、何かがものすごい勢いで街に向かってきています!」
「っ!?」
『っ!?』
リエの口から、とんでもない事が告げられた。
☆ ♡ ☆
「事態の把握を行った結果、以前に特別授業を行った【魔物の森】にて、大量のモンスター……のような生き物の大群が発生している事が確認された」
『モンスターのような?』
生徒達は、ミリアの言った『ような生き物』と言う言葉に首を傾げた。
「先生、モンスターと断言しないのはなぜですか?」
アイアが代表して尋ねる。
「あぁ。教師陣で魔術を使って、【魔物の森】を見てみたんだが、そこに蔓延っていたのは我々がこれまで見たことがない生き物ばっかりだったんだ」
ミリアの答えに、生徒達がざわつき始める。
「モンスターと断定するには判断材料が足りないとの事で、モンスターのような生き物、と言わせてもらった」
「先生達でも、その正体は……」
「あぁ、分からない……」
と、ミリア達が苦い表情を浮かべていると──、
「魔物」
と、アイアが呟いた。
「し、シーズ? 謎の生物の正体を知っているのか?」
「知ってるも何も、先生達さっきからその正体の名前を連呼してるじゃない。魔物魔物って」
「た、確かに言っているが……あの森にいるのは魔物とモンスターであって……」
「だから分かってるじゃない。魔物がいるって」
「で、でもね、シーズさん……私達が確認したあの生き物は、モンスターでも魔物でもなかったの。初めて見る生き物で……」
「もしかして……先生達って魔物とモンスターの違いを分かってない?」
「「え……?」」
「しょうがないな……」
ミャナは席を立ち、教壇の方へ向かう。
そして、黒板に何かを書き始めていく。
黒板に書き終えたミャナは、振り返り──、
「いい? モンスターと言うのはドラゴンなどの空想上の生き物の事を言うもので、動物や昆虫、海洋生物の姿をしたものを魔物と呼ぶの。それを踏まえて聞く。先生達が見たのはどっちだった?」
「「…………………」」
ミャナに尋ねられたミリアとリエ。
普通であれば答えられる質問だが、二人の表情は険しいものだった。
まるで、答えにくいかのように。
「お、お姉ちゃん……?」
ミリアの様子に、ユリアは心配そうな表情を浮かべる。
しばしの沈黙があった後、ミリアが口を開いた。
「……………ない」
「え?」
上手く聞き取れなかった為、ミャナが聞き返す。
すると、ミリアは額に汗を浮かべ、握りこぶしを作り叫んだ。
「そのどちらでもないんだ!」
『っ!?』
ミリアのその答えに、その場にいた誰もが息を呑んだ。




