ep.93 文化祭、開幕 ③
文化祭二日目。
この日も、ヨミのクラスのメイド喫茶は大盛況。
またもや材料が足りなくなり、買い出しに向かう事になった。
今回は、ヨミとユリアの二人で向かった。
「まさか、二日目まで材料が足りなくなるとは……」
「ここまで人気になるとは、誰も思ってなかったですね……ヨミさんのメイド姿を目当てに来るお客さんも多いですけどね」
「ぼ、僕なんかの姿見ても、面白くないと思うんですけど……」
「そんな事ありませんよ! ヨミさんのメイド姿、ものすごく可愛いですよ! ずっと見ていたいくらいです!」
「そ、そうですか……? ありがとうございます……ちょっと恥ずかしいですけど……」
照れてるヨミも可愛いなぁと思う、ユリアだった。
買い出しを終えた二人。
教室に戻る道中、不思議な人に出会った。
「あら?」
「あ、貴女……」
「ん?」
二人の前に現れたのは、薄緑色のドレスを身に纏ったグリエ・チャームだった。
「ど、どうしてここに……?」
「ユリアさん、お知り合いですか?」
「あ、は、はい……前に『魔物の森』で特別授業をした時に、ヨミさんとアイアさんの二人が熱を出して倒れてしまった時があったじゃないですか」
「はい」
「その時に、治せる薬をくださったのが、この人なんです」
「あ、そ、そうなんですか……ありがとうございます」
「い〜え。お役に立てたのなら良かったわ」
「そ、それで、どうして貴女がここに……それに、貴女は一体……?」
「私はグリエ・チャーム。この学園の校長の古い知り合いよ。今日は大事な話があるから来たのよ」
「そ、そう、なんですね……」
「そろそろ私は行くわね。二人とも、ちゃんと今を楽しみなさいね。じゃ」
「あ、はい! ありがとうございました!」
グリエは去っていく。
そんなグリエの背中を眺めながら、ユリアは苦い表情を浮かべていた。
「ゆ、ユリアさん……? どうしました……?」
そんなユリアに、ヨミは恐る恐る尋ねる。
「私……あの人、苦手かも、です……」
普段人の事を悪く言ったりしないユリアが、初めてハッキリと苦手意識を表した。
一体、グリエは何者なのだろうか。




