ep.91 文化祭、開幕 ①
迎えた文化祭当日。
学園には、学園に通う生徒達の知り合いだったり、家族、さらには他の学園の生徒達が訪れたりしていた。
『いらっしゃいませ〜!』
数多くの屋台が出店され、教室では色んな出し物がされている中、ヨミ達のクラスのメイド喫茶はとてつもない人気を博していた。
『いらっしゃいませ〜!』
教室の中は満席で、皆は忙しなく動いている。
「パンケーキのお客様〜!」
「メロンジュース、お待たせしました〜!」
「材料足りてる? あと十個追加が入ったけど!」
「あ〜足んないかも! 誰か買い出し頼める?」
「あ、じゃあ、僕行ってきます!」
「ヨミ君、ありがとう〜! じゃあ、お願い!」
「はい!」
ヨミはトレイを置いて、買い出しに向かう事に。
その格好はメイド服。ユリアが作ったメイド服だった。
「う〜なんで僕まで……」
文化祭が始まる数時間前。
『え〜〜!? こ、これ僕が着るんですか!?』
教室に入ったヨミに待ち受けていたのは、メイド服を持ったユリアと、ニヤついている生徒達だった。
『これはヨミさん専用のメイド服です! 可愛く仕上げたので、ぜひ着てください!』
『い、いや、僕には似合わないと思いますけど……』
ヨミが回れ右をして逃げようとすると、後ろには──、
『ヨ〜ミ? 逃さないよ〜?』
『ヨミ様、可愛くなりましょう?』
『ヨミ君、変身しよう!』
『あ、あわ、あわわ、あわわわ、いいいやあああああああああああ!!!!』
エルナ、アイア、ミャナに逃げ場を奪われ、ヨミは強制的にメイド服を着せられてしまった。
そして現在。
「はぁ〜……しかも、僕の服だけスカートの裾短いし……すっごくスースーする……」
ヨミのメイド服は、他のメイド服よりもスカートが短く、いわゆるミニスカメイド服と言うやつだった。
ツインテールのウィッグを被っているので、見た目は完全なる女の子にしか見えない。
そのせいで──、
「よぉ嬢ちゃん。君可愛いね〜」
「ふぇ……?」
「俺達と一緒に遊ばない?」
「お茶ご馳走するからさ〜」
ナンパをされてしまった。
「あ、あの……」
「ん〜? オドオドしちゃって可愛いね〜」
「胸は小さめだけど、それがまたいい感じだよ〜」
「ほら、行こう?」
「あっ……!」
一人の男がヨミの手首を握り、引っ張った瞬間──、
「私のヨミに、何してんだーーーーーーー!!!」
「ぐぇ!?」
エルナが飛び蹴りを一人の男に食わわせる。
その衝撃で、男は仲間の二人と共に吹き飛んだ。
「ヨミ! 大丈夫!?」
「え、エルナさん! は、はい……大丈夫です……! ありがとうございます……!」
「痛てて……おいテメェ! 何しやがんだ!」
「あんたが私のヨミをナンパしてるから悪いんでしょうが! ヨミは、あんたらみたいな野蛮な奴らに興味ないの!」
「わ、私のって……そっち系かよ……」
「萎えるわ〜」
「行こうぜ」
そう言って、三人の男は歩き出す。と、そんな三人に向かって──、
「ぼ、僕は男ですーーーー!!!」
と、心から叫ぶヨミだった。




