ep.86 文化祭の準備 ⑥
文化祭本番まであと数日。
準備も佳境に入ってきていて、みんな大忙しだった。
そんな中、生徒が入れないとある一室で。
「どうですか? 調整は済みそうですか?」
「そうね……あともう少しってところかしらね。文化祭が始まる前日くらいには、済みそうよ」
「そうですか。それなら計画に間に合いそうですね」
「本当に大丈夫なの? あの子達がいる中で実行するなんて」
「正直不安はありますが……怯んでいては何もできませんからね。覚悟を決めて行わなければ」
「そ。まぁ、本人がやる気なら止めたりはしないわ。準備ができ次第連絡するから、もうちょっと待っててちょうだい」
「分かりました。では、頼みます。グリエ・チャームさん」
その部屋には、学園の校長であるグルスと薄緑色のドレスを身に纏った女性──グリエ・チャームがいた。
そして、そんな二人の視線の先には拘束された一人の人物がいた。
その人物とは、前に街で暴れていた謎の女性だった。
その女性は、気を失っているようで、両手を吊るされ強制的に立たされた状態だった。
「そう言えば、残りの ”二人” はどうしたの?」
「あぁ、あの二人なら別室で眠ってもらっていますよ。目を覚まされて厄介な事になっても困りますから」
「この子のように記憶をいじれないの?」
「試してはみたんですが、どうやっても無理だったんです。なので眠らせておいてます」
「なるほどねぇ〜。じゃあ、あの ”四人” は?」
「あの方々は私の考えに賛同してくださっているので、自由にさせています。来たるべき日の為に強くなってもらわなければならないので、特訓だけはせさていますがね」
「なるほどね〜。その四人には、あれを宿させたの?」
「えぇ。あの ”四体の神龍” を宿させました」
「しっかり操れるといいわね」
「はい。そう願っています。では、後任せます」
「えぇ。任せてちょうだい」
グルスは部屋を出ていく。
「さてさて、これからの計画がどう転ぶのか……神のみぞ知る、ですかね」
そう呟き、どこかに去っていった。




