ep.84 文化祭の準備 ④
ヨミとエルナが買い出しをしている頃、ミャナは飾り付けを、アイアはメニュー決めなどをしていた。
「全く……なんで私がこんな事を……」
ミャナは飾り付けをしながら愚痴をこぼしていた。
と、そんなミャナに声をかける者がいた。
「あ、あの……し、シーズさん……」
「え……? えっと……何?」
「そ、そこにこれを一緒につけてほしくて……」
「あ〜はい。分かった」
一人の女子生徒が、おどおどしながら部品を手渡してくる。
その際、静電気が走りお互いに手を弾いてしまう。
部品が床に落下。その音は教室中に鳴り響いた。
「ちょ、大丈夫!?」
生徒達は、ミャナの方には集まらず、か弱そうな女子生徒の方に集まった。
そして、ミャナの方を見る。
これは別に睨んだりなどしてる訳ではないのだが、過去に色々あったミャナにはそう思えてしまったらしく──、
「あ〜もうやってんらない! ヨミ君がいないんじゃなんにも意味ないから!」
そう言って、手に持っていた部品を床に投げ捨て、教室を出ていってしまった。
その様子をあえて静観していたアイアは、そっとミャナの後を追いかけていった。
☆ ♡ ☆
「あ、いた」
「……………なんで来たの?」
「心配だからです」
「ふっ……」
ミャナは屋上に繋がる階段におり、体育座りをして不貞腐れていた。
そこにアイアが現れた事で、ミャナの機嫌はさらに悪くなってしまった。
「よいしょ〜」
「隣座んな」
アイアはミャナの隣に腰掛ける。
「さっき、何があったんですか?」
「別に。なんにも」
「あなたがあの方の手を弾いた。みんながそう思ってると思ってるんですか?」
「あの状況なら誰だってそう思うだろ。そういうあんたも思ってるんでしょ」
「いえ。全く思ってません。それは、私だけでなくクラスのみんなも」
「は……?」
「部品が落下する音がする前、バチンッと言う電気の音が聞こえました。そしてその後に物が落下し、二人が手を弾いていた。全員分かってるんですよ。静電気のせいでこうなったって」
「そんな事……」
「ありますよ。だって、私が教室から出る時、皆さんシーズさんの事を心配してましたから」
「……………信じらんない……」
「なら、行きましょう」
「え……?」
アイアはミャナの手を取り、階段を下った。
そして、教室へと向かう。
「ちょっと、何……!」
教室のドアの所に着くと、アイアは手を離しミャナだけを中に入れた。
すると、教室にいた生徒達がミャナに気づき──、
「あ、シーズさん!」
「どこ行ってたの! 心配したんだよ!」
「さっき、怪我とかしなかった?」
「静電気走ってたよな? 二人いっぺんに確認すればよかった、本当にごめん……!」
「え……」
ミャナは戸惑っていた。
クラスのみんなが自分を心配し、自分に対し謝っている。
前の学園では、絶対にありえなかった事。
「ミャナさん。あなたはヨミ様とだけしか仲良くしたくないと思っているかもしれませんが、ここにいるみんな、あなたと仲良くしたいと思ってるんですよ」
「な、なんで……」
「なんでって、そんなの決まってるじゃん! 仲良くなりたいからにきまってるじゃん!」
「そうそう! せっかく同じクラスになったんだからさ!」
など、生徒達はミャナと仲良くなりたい理由を述べていく。
と──、
「し、シーズさん!?」
突然、ミャナは泣き出してしまった。
「お、俺達なんか変な事言っちゃったか……!?」
「嫌な気持ちにさせちゃった……!?」
「ち、違うの……これは、う、嬉しくて……!」
ミャナのその言葉を聞いた生徒達は、顔を見合わせ微笑んだ後、ミャナを囲みだす。
そして、女子を中心にそっとミャナに抱きついていく。ミャナを軽く優しく抱きしめるために。
皆は泣きじゃくるミャナを優しく抱きしめ、泣き止むのを待ち続けた。
泣き止んだミャナ。今は皆と仲良く……いきなりはできないが、最初の時よりは距離感が近めな状態で飾り付けの作業を行っていた。
少し休憩をしようとなったタイミングで、ミャナはアイアの元に行くことに。
「んっ」
「あ、ありがとうございます」
ミャナは飲み物をアイアに手渡す。
二人して教室の椅子に座る。
「「……………………」」
二人の間に、しばしの沈黙が流れる。
と、その沈黙を破ったのはミャナだった。
「あ、あの、さ……」
「はい?」
「あの……その……」
アイアは、ミャナが何かを頑張って言おうとしているのを察して、何も言わずミャナを見つめる。
「さ、さっきは……さっきはありが、とう……」
「っ!」
ミャナからのお礼がとても嬉しくて、泣きそうになるアイア。
しかし、その涙をグッと堪え、アイアはミャナに言う。
「当然の事をしたまでですよ。私だって、ミャナさんともっと仲良くなりたいですから」
「うん……」
アイアのその言葉に、照れて俯くミャナ。
そんなミャナを見ながら、微笑ましく思うアイアだった。




