ep.78 集結する【雷撃の閃光】……?
「あ、いた!」
ジャクの後を追ったエルナとアイア。
なんとか追いついた二人だったが、その場にジャク以外の人物がいるのに気が付き、目を見開く。
「あれって、メチャにキザ野郎……?」
「【雷撃の閃光】、集結って訳ですか……そして、もれなく全員様子がおかしい」
二人の視線の先にいたのは、ジャクだけでなく、メチャとワーイがいた。
その三人の様子は全く一緒で、虚ろな様子で何かを呟きながら壁の周りをぐるぐる回っていた。
いや、一人だけちょっと様子が違う気も……?
「あいつら、何やってんだ?」
「あの場所……あっ! あの場所は確かヨミ様が寝ている部屋がある所だったはず!」
「っ! 行くよ!」
「えぇ!」
二人は三人に向かって走り出す。
と、その時──、
「雷魔法・ショック」
「「っ!?」」
走ってくる二人に向かって、ワーイが雷の魔法を放ってきた。
寸前の所で躱した二人だったが、雷が直撃した地面は、燃えて黒焦げになっていた。
「な、何!?」
「邪魔は……させ、ない……」
「くっ……このままじゃ近づけないですね……」
「アイア、私が前線に攻めるから、隙を見て、あの二人の所に行って」
「分かりました」
エルナはアイアにそう言ったが、今、剣を腰に携えてはいなかった。
部屋に置いてきてしまっているのだ。
「剣がなければ、生み出せばいい! 雷術!」
エルナは雷術で短剣を生み出す。
「行くよ!」
「はい!」
エルナがワーイに向かって走り出す。
「邪魔は……させ、ない……邪魔は……させ、ない! 雷魔法・ショック!」
「雷には雷よ!」
エルナは、持っている雷の短剣を上空から迫ってくる雷を弾く。
と──、
「おおぅ!? 雷を吸収した!? これなら、イケる!」
「雷魔法・ショックヘル!」
エルナが吸収できた事に喜んでいると、地面から雷が流れてきた。
「ちょ!? ぐああああああああああ!?」
それに反応するのが遅れ、エルナは感電してしまう。
「エルナ!?」
「ご、ごんなのにぃぃぃぃ!!! 負けるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
エルナは、体の周りに無数の雷の短剣を出現させる。
そして、それを地面に突き刺していく。
すると、その短剣が、地面を這う雷をどんどんと吸収していき、エルナへの感電がなくなった。
「はぁはぁ……」
「エルナ……いつの間にあんな技を……」
「さぁ、かかってきなさいよ……!」
感電のダメージが凄まじかったのか、エルナは全身が焦げたようになり、少しフラフラしている。
が、目の前にいるワーイの事は、油断なく見据えている。
「雷魔法・ショックヘル!」
「それはもう、効かないわよ! 雷術!」
エルナは雷の短剣を地面に突き刺していく。
地面を流れる雷を、その短剣が吸収していく。が、ワーイの魔法はそれだけではなく──、
「エルナ! 上です!」
「はっ!?」
エルナの上空に、大量の稲妻が発生していた。
その大量の稲妻が、エルナに降り注ぐ。
「エルナ!?」
アイアが叫ぶ。
大きな爆発が生じたため、辺りには噴煙が。
それが晴れると──、
「はぁはぁ……」
「エルナ!」
そこには、ボロボロになったエルナが立っていた。
しかし、あまりにもダメージが大きく、足がガクガクしており、今にも倒れてしまいそうだった。
「はぁはぁ……」
「エルナ!」
「あんたは早く行きなさいっ! ここは、私が時間を稼ぐ!」
「エルナ……分かりました!」
アイアは、ワーイの隙を見逃さないように注視し始めた。
「行くわよ、クソッタレぇ!!!」
エルナは、ワーイに向かって走り出した。
両手に雷の短剣を持ちながら。




