ep.76 【灼熱の陽炎】の二人
「おい、おい! 起きろ! おい!」
「ん……んん……?」
とある林の中、一人の男が倒れている男を引っ叩きながら乱暴に起こす。
「あれ……ここは……?」
「やっと起きたか……」
「ヤーカ……俺、なんでこんな所に……」
「俺もそうだが、お前も負けたんだろう?」
「負けた……俺が……はっ!? そ、そうだ……! 女二人に負けたんだ!? クソ女共……!!!」
二人の男とは、マエオの仲間で【灼熱の陽炎】のメンバーである、モカ・コツイとヤーカ・ナツバだった。
二人とも、ボロボロの格好で見るからに敗者と言うのが分かった。
「ぜってぇ許さねぇ……今から戻って、ぶっ殺しに行くぞ!」
「やめとけ」
「あぁ!!! なんでだ!!! やられっぱなしでお前はいいのか!!!」
「いいわけはない。だが、ここがどこかも分からないのに、無闇に動くのは危険過ぎる」
「あ? 確かに、ここはどこなんだ?」
「どっかの森……いや、この感じは林かな?」
「どっちでもいいけどよ、これからどうすんだ?」
「とりあえず何日か野宿をしながら、帰るしかないだろうな」
「そうなるか〜……まぁしゃぁねぇか〜」
「んじゃ、行くぞ」
「おう」
二人は、とりあえず移動を始めた。
怪我をしていたはずの体が、治っている事に気づかずに。
「俺様! 俺様!」と言っていたヤーカが、まさかの冷静沈着な男で、落ち着いた感じで状況を判断していくとは……。
書いている僕自身、驚いております(笑)
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