ep.73 一時的な休息……?
「一体何が起こったんですか?」
「はい。今ご説明いたします。ですが、その前に一つお願いしてもよろしいですか?」
「なんでしょう?」
「あそこで気絶をしている大男を捕らえてほしいんです」
「それは構いませんが……なぜ?」
「あそこで気を失っている少女、見えますか?」
「「えぇ」」
「あの子は、あそこにいる大男に襲われて反撃したんです」
「「っ!?」」
二人の男性警護官は、目を見開き驚いた。
「私と仲間も協力してなんとかって感じです。あの人は私達の大事な人を殺す為に足止めをしに来た、最低最悪な人間です」
「わ、分かりました……! 捕らえて、連行いたします!」
「ありがとうございます」
一人の男性警護官が、マエオの元に行き、拘束をする。そして、そのまま連行をしていく。
「それでは、状況説明を……」
アイアが、この状況について説明をしようとすると、男性警護官が──、
「いえ。もう大丈夫です。今のお話だけで何があったのか、どうしてこうなったのか大体は予想がつきますから。後日、またお話をお伺いすることがあるかと思いますが、その時はご協力いただけますと幸いです。今日はゆっくり休んでください。それでは」
「あ、はい……どうも……?」
男性警護官は、爽やかな笑みを浮かべて去っていった。
「拍子抜け、ですね……もっとしつこく、詳しく聞かれると思っていたのに。まぁ、でもそのおかででヨミ様の元にすぐに向かえます」
アイアはリエの元に駆け寄り──、
「先生、私と一緒に学園に来てください」
「学園に? は、はい! 分かりました!」
リエはミャナを抱き、アイアと共に学園に向かった。
☆ ♡ ☆
学園に帰ってきたアイアとリエ(ミャナはリエにおぶられている)。
アイア達はとりあえず、ヨミと暮らしている部屋に向かった。だが、そこには誰もいなかった。
「誰もいないですね」
「どこに行ったのか……とりあえず今は医務室に行きましょう。ミャナさんを診てもらわなければ」
「そうですね!」
二人は医務室へと向かった。
「あれ? あれは……エルナ、ユリアさん」
「ん? あ。アイア……と、リエ先生?」
「それに、ミャナさん!? ど、どうしたんですか!?」
医務室の外の廊下に、中を心配そうに覗くエルナとユリアがいた。
「詳しい説明をする前に、どうしてお二人がここにいるのか、お聞きしてもよろしいですか?」
「うん。私達が学園に戻った時、寮の部屋にヨミがいなくて。他の子に聞いたら庭に行ってるって聞いたから向かったの。そしたら……」
「ヨミさんがボロボロの状態で倒れていたんです……! 大量に吐血したみたいで、意識をほとんど失っていて……」
「そ、そう、ですか……一体何があったんです……?」
「それが分かんないのよ。ヨミが意識を取り戻してくんないと、何も聞けない。もしかしたらクロノスドラゴンなら何か知ってるかもしれないんだけど、いくら呼びかけても応答がなくて……」
「そう、ですか……」
あの時、謎の男性は消えたが、クロノスドラゴンは残っていたはず。しかし、エルナ達が来た時にはクロノスドラゴンはいなくなっていた。
それは一体どういう事なのか……?
「とりあえず、リエ先生、ミャナさんをお願いできますか?」
「は、はい! 任せてください……!」
そう言ってリエは、医務室の中へと入って行った。
「それで、そっちこそどういう事なの? なんでミャナは意識を失ってリエ先生に運ばれてんの?」
「あっちでゆっくり話しましょう」
三人は、医務室の近くにある休憩スペースに行った。
この休憩スペースには、椅子やテーブル、ソファが置かれており、仕事に疲れた保健医達が休憩を取る場所だった。
丸テーブルを囲うように座った三人。
そこで、アイアは状況を説明し始めた。
「ミャナさんが強力な技を使用したのは、覚えていますよね」
「うん。あの力、すごかった」
「はい。とても強かったです」
「あの力、どうやら使用者の体にかなり負担がかかるらしくて。二度使用した事で、ミャナさんは気を失ってしまったんです」
「「っ!?」」
驚く二人に、アイアが尋ねる。
「ミャナさんの体に集まったあの銀色の光り、見覚えありませんか?」
「え……?」
「やっぱりあれって、ヨミさんの光り、ですよね!?」
「はい」
「確かに……言われてみればそうね……。あれは、ヨミの体に集まる光りと一緒!」
「そうなんです。だから、ミャナさんはヨミ様の力を使ったのではないかと。その力が強力すぎて、体がついて行かず、気を失ってしまった」
「な、なるほど……」
「ヨミさんの力は、それほどまでに……」
しばらく沈黙が流れる。
と、そこに──、
「何……ヨミ君の力、侮ってたの……?」
「「「っ!」」」
「みゃ、ミャナさん!?」
「ちょ、動いて大丈夫なの!?」
三人が声のする方を向くと、そこには壁に寄りかかるミャナの姿が。
「当たり前でしょ……。この程度、どうって事ないから……」
「危ない!」
前に歩こうとしたミャナだったが、足がもたつき、倒れ込みそうになる。そんなミャナを瞬時にアイアが抱きとめた。
「ほら、こちらに」
アイアはソファにミャナを座らせる。
「はぁ……あんた、ヨミ君の力を侮ってたの……?」
「い、いえ……! 決してそんな事は……!」
ミャナがユリアの事を睨む。
その睨みに対し、少し怯むユリアだが自分の気持ちはしっかりと伝える。
「ヨミさんの力はよく知っています。何度も目の前で見てきていますから。でも、自分の体でその力を体験した事はありません。だから、どれほどのものなのか、しっかりと理解する事はできません」
「まぁ、確かにね。私もヨミ君の力を侮ってた訳じゃないけど、ここまでとは思ってなかったし」
「体調の方は、どうなんですか?」
ミャナの隣に座るアイアが尋ねる。
「先生のおかげでだいぶ回復してる。でも、なんでだろう。体のダルさが取れない。まるで鉛でも乗ってるのかと思うほど体が重い」
「治術でも完全に回復させられない力……凄まじいですね……」
「とりあえず、ヨミが目を覚ますまで、それぞれゆっくりしよう。私達も戦って疲れてるから」
と、エルナが提案する。
「そうね。ミャナさん、ヨミ様は──」
「さっきヨミの治療を担当した先生に聞いた。別に取り乱したり怒り散らしたりなんてしない。私も今は横になりたいから」
「そうですか。では、それぞれ一旦解散と言う事で」
「「「うん(はい)」」」
そうして、四人は一旦その場から解散した。
ミャナはこの休憩所で横になり、アイアとユリアは共に寮の部屋に。エルナは一人どこかに向かった。
文字数って、気がつくとものすごく増えてしまいますね……。後半はどうしようとかなり慌ててます……。
文字数は少ない方がいいと思ってはいるのですが、物語の展開上、どうしても増えてしまいます……。
読みづらいかもしれませんが、変わらず楽しくご拝読いただけますと幸いです……!
そして! PV数5000超え、ユニーク数2000人超え、誠にありがとうございます……!!!
とっても! とっっっっっっっっても嬉しいです……!
皆様の応援に応えられるよう、そして、これからも沢山応援していただけるよう、作品の更新を持って応えさせていただきますので、これからも変わらぬ応援の程、よろしくお願い致します!!!
ここから、冒険者達との戦いは佳境に入ります!
どうなって行くのか、楽しみにしていてください♪




