ep.72 ヨミからもらった力の強さ
「ハァ!」
「フッ!」
エルナとミャナの二人が、前線でマエオと戦い、ユリアとアイアが後方から魔術で支援をする。
「ぐっ……!(上級の魔法を使うんじゃなかった……! 魔力がごっそり減っちまって、力が全然出ねぇ……!)」
マエオは先程放った魔法のせいで、魔力を大きく消費してしまっていった。
その為、思うように力を発揮できずにいた。
その隙を見逃さないアイアは──、
「ミャナさん、先程の技、もう一度使えますか?」
「当然。舐めないで。…………正直言って、使えるのはあと一回が限界」
「分かりました。では、私が合図したら使ってください」
「分かった」
「エルナさん! そのまま攻め続けてください! ユリアさんは私と共にサポートを!」
「「了解!」」
アイアの指示を受け、皆はそれぞれ行動を開始した。
「雷術、ライトニング!」
「水術、水滝!」
「ぐっ……!」
二人の魔術を、マエオは手をクロスさせて防ぐ。
しかし、完全には防ぎきれず──、
「ぐあ!?」
マエオは後退りしてしまう。
その一瞬を見て──、
「ミャナさん、今です!」
「剣技術・刀舞剣乱/ER式!」
アイアの合図で、ミャナが先程の技を使用した。
その技がマエオに直撃。そして──、
「ぐああああああああああああああ!?」
マエオは吹き飛び、建物に激突し意識を失った。
「はぁはぁ……」
「やっと勝てたわね」
「よ、ヨミさんの所に……!」
「えぇ! 急ぎましょう!」
ユリアとエルナがヨミの所に行こうとした時──、
「先に行ってて」
「「え……?」」
ミャナがそう言ってきた。
「どうしたの? いつもなら真っ先に行こうとするのに」
アイアはミャナの方を軽く見て──、
「ここの後処理などをしなければいけないですから、私とミャナさんでやりますので、お二人は先にヨミ様の元に行ってください」
「わ、分かった」
「じゃあ、先に行ってますね」
エルナとユリアは先にヨミの元へと向かった。
残った二人。
アイアは立っているミャナに近づき──、
「大丈夫ですか?」
「…………………なんの事?」
「誤魔化さないでください。体、震えてます。その力のせいですよね?」
「………………気づいてたんだ」
「当然です。大丈夫なんですか?」
「正直、こうやって立ってるのもキツイ。少しでも気を抜くと倒れそうになる。この力、とんでもない……自分が出した技なのに、全く付いていけない……体がぶっ壊れそうになる……」
「あの光り……ヨミ様の時と同じです……もしかしたら、ヨミ様の力、なのかもしれませんね」
「っ! これが、ヨミ君の力……! じゃあ、私、ヨミ君と一つになったって事!」
「言い方に語弊ありませんか!?」
「これが、ヨミ君の力……きょ、強大すぎ、る……」
「みゃ、ミャナさん!?」
ミャナはその場に倒れてしまった。
「ここを離れる訳にはいかない……でも、ミャナさんをこのままにする訳には……」
「トーリさん?」
「え……? あ、リエ先生!」
声をかけられたので、アイアが後ろを振り向くと、そこにはリエがいた。
「せ、先生、どうしてここに?」
「たまたま買い物に出かけていたんですが……トーリさんはどうして……ってシーズさん!? どうしたんですか!? それに、この状況は一体……?」
「詳しい説明は後で。まずはミャナさんの治療を頼めますか?」
「は、はい……!」
「私はこの状況の後処理をします」
そうして、アイアはこの場にやって来る警護官達に向かって、歩き出した。




