ep.70 ミャナVSマエオ
「貴様一人で俺を相手にできるとでも?」
「当然。お前ごとき、私一人で十分。さっさと終わらせて、ヨミ君の所に行かせてもらう!」
腰に携えた剣に手をかけ、いつでも抜刀できる体勢に入るミャナ。
「そうか。舐められた……ものだな!」
「っ!? がっ!?」
そんなミャナは、一瞬で背後に回ったマエオの蹴りで吹き飛んでしまった。
吹き飛んだミャナは、勢いよく建物に衝突し、吐血をする。
「な、何、今の……全く見えなかった……はっ!?」
「油断大敵、だぜ?」
「がぁぁあああ!?」
いつの間にか再び背後に回ったマエオが、ミャナの背中を思い切り蹴り飛ばす。
ミャナは蹴られた勢いのまま吹き飛び、地面を転がっていく。
「ぐっ……! がはっ……!」
大量に吐血をしながら、地面に横たわるミャナ。
「な、なんなのよ……! あの図体でなんでこんなに素早く動けるのよ……!」
「人を見た目で判断するからそうなるんだ。俺は、攻撃、耐久、速度、全てを最大値まで鍛えた。すなわち、最強なんだ!」
「ぐがぁ!?」
マエオが、横たわっているミャナの腹部に蹴りを入れる。
その蹴りは凄まじく、ミャナは後方へ吹き飛んだ。
「ぐはぁ!? がはぁ……!?」
ミャナは腹部を押さえながら、大量に吐血をする。
(しょ、正直侮ってた……あんな奴、簡単に倒せると思ってた……なのに、実際はこの体たらく……こんなんじゃ、ヨミ君に笑われちゃう……)
と、そこでミャナは思い出したように──、
「そうだ……ヨミ君……ヨミ君の元に行かなきゃいけないんだ……! こんなところで、倒れてる訳にはいかない……!」
ミャナはなんとか立ち上がる。そして、剣を抜刀し──、
「ほう。防ぐか」
「当然……!」
後方から盾を振り下ろして来たマエオの攻撃を、剣で防ぐ。
そして、弾き返しミャナはマエオと睨み合う。
「さっきから後方ばっかり狙って、卑怯者」
「戦いにおいて、卑怯も何もないだろう。勝ちこそが全て。負ければ死ぬ。それだけだ」
「そういう考え方は、嫌い……! 前の学園を思い出す……!」
「何を言っているのかよく分からんが、貴様はここで殺す! 激昂魔法・リベリオンブレイク!」
「剣技、連続斬!」
二人の魔法と魔術がぶつかり合う。
マエオの拳、ミャナの剣。その二つがぶつかり合い大きな衝撃波を生み出す。
「剣術をここまで巧みに操るとは……貴様、中々やるな。どうだ? 俺の女にならないか?」
「冗談は顔だけにして。キモッチ悪い。私はヨミ君のものだから。他の男になんて全く興味ない!」
マエオを弾くミャナ。
「ふっ。その強気な性格。ますますいいな。あの男が気に入るのも分かるかもしれん。よし。ボコボコにして連れ帰ってやる!」
「本当にキモい……返り討ちにしてやる!」
ミャナが剣を構え、マエオに向かって行く。
ミャナは剣をマエオに向かって振り下ろす。が──、
ガキン!
「くっ……!」
それをマエオは盾で簡単に防いでしまう。そして、そのまま──、
「フンッ!」
「ぐはぁ!?」
剣を持つミャナの腕を掴み、鳩尾に拳を打ち込むマエオ。
鳩尾を殴られたミャナは、大量に吐血をして後方に吹き飛ぶ。
その際、剣を落としてしまう。
「ぐふっ……! どうすれば……」
ミャナは腹部を押さえながら、考えていた。
どうすればマエオに勝てるのか。
どんなに攻撃をしても防がれ、向こうの攻撃を防ごうとしても威力が半端なくて防ぎきれない。
しかも、先程から腹部ばかりを狙われているので、限界が近づいてきている。
「さぁ、そろそろ終いにしようか」
マエオが魔力を溜め始めた時──、
「ミャナさん!」
「あんたら……」
ユリアとエルナの二人が駆けつけてきた。
「仲間が加わったところで何も変わらん! 激昂魔法・リベリオンダイナマイト!」
「「「はっ……!?」」」
マエオが放った魔法が、三人に直撃。
大きな爆発を巻き起こした。




