ep.69 エルナVSヤーカ・ナツバ
「俺様と戦うのは貴様か！」
「うるさっ……さっさと倒して、ヨミの所に行かせてもらうから！」
「フン！ 貴様のような貧弱な女、一瞬でボコボコにしてやる！」
エルナとヤーカが対峙する。
お互い油断なく見つめ合い、風が軽く吹いた瞬間、ヤーカが動き出した。
「先手必勝！ 拳狩魔法・ナックル！」
「盾持ってんのに特攻すんのかよ！？ 雷術、ボルトラッシュ！」
右手を握りしめ、そこに魔力を収束させ攻撃を繰り出してこようとしているヤーカに、エルナは後方に飛び退きながら雷の短剣を多く生み出し、ヤーカに向かって放つ。
「俺様達は、攻撃も防御も兼ね備えたチームなんだよ！ フンッ！！！」
「なっ！？ 受け止めた！？」
ヤーカは、エルナからの攻撃を躱すでも薙ぎ払うでもなく、全身で全てを受け止めた。
そして、驚き防御の姿勢を取りにくい体勢になったエルナの隙を狙い──、
「拳狩魔法・突貫！」
「ぐっ……！？ ぐはぁ！？」
ヤーカの左拳がエルナの腹部に直撃。
エルナは体をくの字に曲げた後、後方に勢いよく吹き飛んだ。
「がっ！？ ぐっ！？ うっ！？ ぐぅ！？ ぐふぅ！？」
エルナは四回地面を転がった後、なんとか止まった。
「ぐっ……ぐふっ……！？ はぁはぁ……たった一撃でこの威力……これ、何度も受けらんない……！ 下手すれば後数発で死ぬ！」
エルナは痛む腹部を押さえながら、なんとか立ち上がる。
「ほぉ！ 俺様のこの攻撃を受けて立ち上がれるやつがいるとはな！ 貴様が初だぞ！ 正直貴様を侮っていた。だが、改めよう！ 俺様の本気を貴様に食らわせてやる！」
ヤーカは盾を捨て、両拳を構える。そして、魔力を込め始める。
「一気に決める！ はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……！」
「な、なんなのこの感じ……魔術費とも違う何かがガンガン溢れてくる……！ しかも、それが怖いくらい……！」
「避けれるものなら避けてみろ。受け止められるものなら受け止めてみろ！ 拳狩魔法・デス＝レイク！」
ヤーカが両拳を前に突き出し、エルナに向かって魔法を放った。
その魔法が、エルナに直撃。噴煙を上げ──、
「ふっはは！ これで終わりだな」
ヤーカは勝ち誇った様子で、その場を去ろうとする。と、そんなヤーカに向かって火弾が放たれた。
「あ？」
飛んできた火弾を、弾くヤーカ。苛立った様子で後ろを振り返ると──、
「何、勝手に、勝った気になってんのよ……！ 私はまだ、負けてない……！！！」
「あの攻撃を避けたか……はっはは！！！ 面白い！ 次こそ、確実に殺してやる！」
ヤーカは、フラフラの状態で立っているエルナに突進していく。
「負けないって、言ってんだぁあああああ！！！ 剣術、神速の雷剣！ はああああああああああああ！！！」
「何ぃ！？ ぐああああああああああ！？」
エルナは剣を抜刀し、突進してくるヤーカに向かって剣術を振るった。
その剣術がヤーカに直撃し、ヤーカは遥か彼方へ吹き飛んだ。
「はぁはぁ……なんとか、勝てたか……」
その場に膝をつくエルナ。そんなエルナの元に──、
「エルナさん！」
「ユリア……」
ユリアがやって来た。
「大丈夫ですか！ 今治療します！」
「あ、アイアは……？」
「気を失ってはいますが、命に別状はありません。ですので安心してください」
「そ、そう……そういえば、ミャナは……？」
「ミャナさんは……あ、あそこ！」
「はっ！？」
二人の視線の先には、マエオと戦うミャナの姿があり……。
